目次

  1. 日本一の企業から中小サプライヤーに
  2. トヨタ式の「生産管理板」を作ろうとするも……
  3. 「生産管理板」の代わりを自ら構築
  4. まずは率先垂範――「賞賛・報告・共有」が重要
  5. 反発は気にしない。色々な人や意見があって当たり前
  6. 新たなビジネスモデルとして他企業へ展開
  7. CO2削減にも寄与、データ活用も期待

 「3歳ぐらいから機械もの、特に車が大好きで、幼いころは車に関する本をよく読んでいました。成長するにつれ実際に運転したり、いじったりするようになりました」

 大学院時代も研究に没頭するよりは車に夢中だったという木村さん。トヨタ自動車の研究所に就職し、操縦安定性や乗り心地のなどの実験を行うテストドライバーの資格も持つエンジニアとして、速度制限のない海外の公道で車を走らせるなど、仕事は充実していました。

 旭鉄工を継ぐことになったのは、結婚相手が2代目である現会長の娘だったからです。「まったくやりたくなかった」と言いますが、18年携わったエンジニアからトヨタ式の生産方式“カイゼン”を学び家業に活かそうと、3年間同業務に従事した後、旭鉄工に移ります。

 トヨタの一次サプライヤー、いわゆるTier1である旭鉄工は、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ボデーなどの部品を製造しています。社歴は80年を超え、従業員は約400人、売上高は約150億円で横ばい状態が続いていました。

 旭鉄工に入った木村さんが驚いたのは、社員のマインドも含めた会社全体の体質でした。課題は山積みなのに昔から連綿と続くことを粛々とやるだけ。スピード感もまったくなし。業績が悪いのはトヨタ自動車から発注される仕事が悪いから。そんな雰囲気で、赤字が数期続いている状態でした。

 「家業を継ぐと決めたからには、共倒れするわけにはいかない」。もともと課題解決や新しいことにチャレンジする性分だった木村さんは、社長直轄の改善部署を設立し、抜本的に会社を変えていきます。

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