JR秋葉原駅の高架下に昨秋、自称「日本一の缶詰売り場」が生まれた。全国各地からえりすぐりのご当地缶詰を集めたところ、売り上げが以前の5倍以上になった月も。ここ数年の缶詰ブームは、コロナ禍でさらに盛り上がっており、追い風になりそうだ。

 缶詰売り場「カンダフル」があるのは、JR秋葉原駅の高架下にある「日本百貨店しょくひんかん」。全国各地から厳選した350種類以上を販売する。コロナ禍で経営が厳しくなるなか、「日本百貨店」創業者の鈴木正晴さん(46)が「缶詰なら賞味期限が長く備蓄食になるし、売る側は管理しやすい。味もすごくおいしくなっている」と目をつけた。

 店内に点在していた缶詰を集めて昨年9月、専用売り場にしたところ、月30万円ほどだった缶詰の売り上げが、初月は100万円超と3倍以上に。今年3月は5倍以上に達した。

 「缶はリサイクルできて、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組める。今の時流に合っています」と鈴木さん。

 缶詰人気は全国的な傾向だ。

 全国のスーパー約1千店の販売動向を集計するPOSデータ提供会社「KSP―SP」(東京)によると、初めて政府の緊急事態宣言が出された昨年4月の缶詰全体の販売額は前年同期比で30%増。このうち水産物や野菜は20~30%、果実・デザートは42%、畜産は53%増えた。

 昨年1年間では、缶詰全体の販売額は5%増だが、畜産缶詰は23%増。特に新型コロナの感染が広がった昨年3月は、6割も増えていた。

 缶詰を紹介する著書が多数あり、カンダフルにも協力する「缶詰博士」の黒川勇人さん(54)は、「外でお酒を飲む機会が減り、家で肉をおつまみとして食べたい人が増えた」と分析。特に焼き鳥やポークランチョンミートが人気という。

 果実・デザート缶詰もよく売れており、産地を明記した高級志向の商品の人気が高まった。

 ここ数年の「サバ缶ブーム」で、缶詰自体が身近な食品として認知されてきたことも背景にあるといい、「今年もこの傾向は続くのでは」と見る。

 これまで世界50カ国1500種類以上の缶詰を食べてきたという黒川さんのおすすめは「温めること」だという。「作りたての味と香りが再現できますよ」(小瀬康太郎)=朝日新聞デジタル掲載2021.04.24