政府は2日、今後取り組む経済政策を盛り込んだ成長戦略実行計画案を公表した。先端技術をめぐる米国と中国の対立を受け、留学生らを通じた技術流出を防ぐために規制を強化。コロナ禍で打撃を受けた企業の再生をしやすくする法制度の検討や、政権が掲げる脱炭素に向けたインフラ整備なども盛り込んだ。

 計画案は今後、与党などとの調整を経て、月内に閣議決定する予定。今回の特徴の一つは、最近の米中対立を背景に、経済安全保障政策を柱に据えたことだ。

 具体的には、武器などに転用できる技術の流出を防ぐ外国為替及び外国貿易法(外為法)の運用を厳格化する。外為法では、日本国内でも外国人にこうした技術を提供することは「みなし輸出」として、経済産業相の許可がいることになっている。しかし、いまは国内に半年以上滞在する外国人留学生や研究者らは「居住者」として扱い、許可を求めていないため、来年度にも規制の対象に加える方向で検討する。このほか、外国の資金を受け入れている大学や研究機関が公正な研究をしているかどうか、情報開示の対象を広げるとした。安保の観点から特許の非公開化を行う措置も検討を進める。

 外食産業などを念頭に、コロナ禍で大きな借金を抱えた企業が増えていることを受け、コロナ後の事業再生に向けた環境整備も進める。事業の価値をなるべく落とさずに早期の再生をめざす「私的整理」について、使い勝手をよくするための法制度の見直しや指針づくりを検討する。

 政権が掲げる脱炭素化の実現に向けた施策も多い。走行時に二酸化炭素を出さない燃料電池車用の水素ステーションを2030年までに1千基、電気自動車向けの急速充電設備も3万基整備するとした。

■成長戦略実行計画案の主な項目

・2030年までに水素ステーションを1千基、電気自動車(EV)向け急速充電設備を3万基整備

・次世代データセンターの中核拠点を最大5カ所、地方にも10カ所整備・配置。最先端半導体やEV用電池の開発、製造拠点を誘致

・経済安全保障の体制を強化。外為法の「みなし輸出」の管理強化や特許の非公開措置などを検討

・事業再構築・再生の環境を整備。私的整理の利便性拡大に向けた法制面を検討。私的整理などの指針策定を検討

・量子技術などの研究開発を加速。今後5年で官民120兆円の投資目標を設定

・ワクチンの国内開発・生産体制を構築=朝日新聞デジタル掲載2021.06.03

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