1年以上続くコロナ禍。ある就職情報会社の調査によると、昨年入社した新入社員の教育・研修制度への満足度は、例年より低かった。企業側も十分な準備ができないまま、オンラインでの対応などを迫られたことが影響したようだ。不安と孤独の中で1年を過ごした新社会人たちからは、「会社に放置されている」という声も。企業側も模索を始めている。

 20代の男性は昨年4月、食品卸の会社に入社した。最初の1カ月間は「研修」。ただ、1週間のうちオンライン研修があるのは1日だけで、あとの4日は埼玉の自宅で自学自習。簿記などの資格の参考書などを読むほか、ビジネスマナーなどの映像を見るだけだった。

 報告はまとめて週1回。学習した内容をエクセルに書き込み、会社にメールするだけだった。会社からのフィードバックも電話で1週間に1回で、5分ほど。質問があれば学習報告とともにエクセルに書きこむことになっていたが、質問がなければ電話はすぐ終わったという。

 「研修は放置されてる感じが半端なく、それでいきなり地方に配属されて、ハテナしかなかった」

 配属後も、コロナ禍で社内の先輩との交流ができず、話しかけづらい雰囲気だった。取引先の食品メーカーとも電話だけのやりとりで、どう思われているかわからず、不安は大きい。

 就職情報大手ディスコ(東京)が2020年に入社した人に、教育・研修制度への満足度を尋ねたところ、「満足」の合計が前年の計67・3%から6・4ポイント下がった。新入社員研修がオンラインになったり、中止になったりした影響が大きいとみられるという。

■企業も対応を模索

 コロナ禍の中での新人教育は、企業にとっても悩みの種だ。

 富士通では、オンライン研修後の6月以降もテレワークを続けた。昨年入社した社員を対象に今年3月、調査したところ、仕事などの魅力に関する項目が、例年に比べて低かった。

 調査結果などを踏まえ、今年入社した新人に対しては、フォロー体制を強化。指導役を増やしたほか、公募制にして社員教育に関心の高い人を面接で選んだ。また、去年入社した社員に対しても、仕事との向き合い方など2年目の特性を意識したオンラインのワークショップなどを今年度から進める予定だという。

 働き方評論家の常見陽平・千葉商科大学准教授(労働社会学)は、「昨年入社した社員には特に、入社したら思い描いていた業務内容などが全く変わり、コロナにどう対応するか、皆が手探りの中を過ごした。これまでの新入社員に比べて今後のフォローが必要だ」と指摘する。=朝日新聞デジタル掲載2021.06.19