バイデン米政権は16日、反体制派の抑圧が進む香港で事業を営む企業に対し、「中国政府の行動に伴うリスクの高まり」に強く警戒を呼びかける「勧告」を出した。あわせて中国政府の香港出先機関「中央駐香港連絡弁公室」の高官ら7人を新たに制裁対象とした。

 勧告は、昨年の香港国家安全維持法(国安法)の施行以来の「法的情勢」が、香港で活動する企業や個人に「悪影響を及ぼしうる」と指摘。国安法による逮捕や、データの抜き取り、言論の自由の侵害や検閲などのリスクを列挙し、米国の制裁対象となっている中国高官や企業との取引にも改めて注意を呼びかけた。

■中国は「反外国制裁報」を成立

 中国は6月10日、外国から制裁を受けた際に報復する「反外国制裁法」を成立させている。米政権の「勧告」はこの法律の適用地域について「中国本土と香港、マカオを明確に区別していない」と述べ、香港の企業も報復措置の対象になりうると警鐘をならした。

 香港に進出する金融機関などの企業は、米国の制裁を順守しなければ米国法で罰せられる。さらに、中国側からの報復措置のリスクも織り込まなければならない。香港での事業環境の先行きはより見通しにくくなり、国際的な金融センターとしての地位を中長期的に弱める可能性がある。

 香港への進出企業は「データ」を事業の核とする金融業などが多い。約1400の加盟企業がある香港米国商工会議所が20年12月~21年1月に実施した調査では、回答企業約180のうち4割が今後の事業環境の「不安定化・悪化」を、3割が香港の国際ビジネス拠点としての競争力低下を見込んだ。

 ブリンケン米国務長官は16日の声明で、中国政府による「香港の民主制度の組織的な弱体化」を非難し、「香港の人々の権利や自由のため、米国は立ち向かい続ける」と強調した。(ワシントン=青山直篤)=朝日新聞デジタル掲載2021.07.17