コロナ禍で増えたおうち時間に、ギターを弾く人が増えている。特に、電気を使わないアコースティックギター(アコギ)は音が比較的小さいため、騒音を気にせず手軽に楽しめると人気だ。弾き語りのアーティストの人気にも後押しされ、ギター市場は復活の兆しを見せている。

 楽器販売大手の山野楽器によると、同社が2020年度に販売したアコギの本数は前年度比190%にのぼり、楽器の中で最も伸びが大きかった。エレキベースも同120%、エレキギターも同105%など、ギターは軒並み前年を上回った。

 同社の店舗「ロックイン難波」(大阪市)の渕上真佐安店長によると、昨春の1回目の緊急事態宣言が明けたあとにギターを買い求める人が急激に増えた。昔ギターを弾いていた中高年の男性が再び始めたり、若い女性が新しく弾き始めたりするケースが目立つという。同社が運営する音楽教室の21年上半期の体験レッスン申込数でも、200以上あるレッスンのうちアコギが2位で、特に女性からの申し込みが増えているという。

 渕上店長は「弾き語りのアーティストをユーチューブで見るなどし、ギターに興味をもつ人は増えていた。そこにコロナ禍で外出できないからと、弾き始める人が一気に増えた」とみる。

 メーカーも商品開発に力を入れる。ヤマハは19年、初心者でも弾きやすく、デザイン性を高めたアコギ「STORIA(ストーリア)」シリーズを発売。売り上げは好調という。

 経済産業省の統計によると、ギター・電気ギターの出荷数は直近のピークの07年は約32万本で、14年には12万本にまで落ち込んだ。だが、その後は増加傾向で、20年には約17万本にまで回復した。世界全体での市場も伸びており、英調査会社テクナビオによるコロナ禍前の予測では、20年から24年まで年平均3%の拡大が続くと見込まれている。

 メモ ヤマハのアコースティックギター「ストーリア」は、初心者でも弾きやすいように、ボディーは小ぶり、ネックは細めだ。室内に置いて映えるように、色や質感をインテリアに合いやすいデザインにした。希望小売価格は税込み6万500円。写真は同社提供。(井東礁)=朝日新聞デジタル掲載2021.09.12