コロナ禍対応の特例として、国が整備した「休業支援金」の支出が9月中旬までに1800億円を超え、利用者の7割弱が雇用保険の未加入者だった。勤務先から休業手当を受け取れなかった働き手を国が直接支える緊急策として一定の役割を果たしている。ただ雇用保険から漏れる働き手の多さを示しているともいえ、議論になりそうだ。

 24日の厚生労働省の審議会で利用状況が示された。政府は、雇用保険料を財源とする「雇用調整助成金」(雇調金)をコロナ禍における働き手支援の柱に据え、休業手当を払った企業を助成。特例として、週の労働時間が20時間に満たないパートといった雇用保険の未加入者も、税金を活用して対象に含めている。

 だが勤務先が雇調金を使わなかったり、パートを対象に含めなかったりして休業手当を受け取れない働き手も続出。そこで働き手が国に直接申請して受け取れる休業支援金も、雇用保険の枠組み内に創設した。

 9月中旬までの休業支援金の雇用保険加入者への支給決定は約67万件(支出額約587億円)。未加入者は約177万件(1236億円)だった。雇調金は加入者が約350万件(4兆1392億円)、未加入者が約106万件(3262億円)となっている。

 この日の審議会では、8月末までの休業支援金の支給決定のうち20代、40代、50代の女性への支給がそれぞれ30万件ほどに達し、特に多いことが示された。厚労省は、雇用保険未加入者への支給が多いことも踏まえ、「特に中高年のパートを中心に利用されているのではないか」(担当者)と分析する。20代男性も25万件ほどに及ぶことから、未加入である学生アルバイトへの支給も多いとみている。

 野村総合研究所の武田佳奈・上級コンサルタントは休業支援金について「新型コロナが雇用のどの部分に影響を与えたのかを顕著に示している」と役割を評価。そのうえで「非正規や多様な働き方の人たちでも雇用や生活を維持ができるセーフティーネットを構築し、自分が対象と知らない人にもしっかり届ける仕組みが必要」と指摘する。

 これらの支援策は失業率上昇を抑えたといわれる一方、雇調金の支出が想定以上に膨らんだため、雇用保険財政を圧迫している。審議会は年末にかけて、特例をいつまで続けるのか議論していく予定だ。

 休業支援金の申請期限は今年12月末まで(休業期間が10~11月の場合は来年2月末まで)。オンラインでの申請(https://knwguest.kyuugyoushienkin.mhlw.go.jp/login)も可能だ。問い合わせは、コールセンター(0120・221・276)へ。(橋本拓樹、山本恭介)=朝日新聞デジタル掲載2021.09.25