「鶴乃子」で知られる福岡市の老舗菓子メーカー「石村萬盛堂」が1日、地場企業でつくる新会社に全事業を譲渡した。コロナ禍で土産物需要が急減し経営が悪化していた。鶴乃子の名は変えず販売を続ける。

 地場の6社が設立した新会社が発表した。めんたいこ製造「ふくや」の親会社かわとしが過半を出資し、上村建設、やずや、福岡地所などが参画する。社名は石村萬盛堂のまま変えない。かわとしの担当者は「地場企業として、石村萬盛堂の菓子をより多くのお客様に届けられるよう努めていく」と話した。パートを含む従業員約1千人の雇用は維持する方針。旧会社は今後、清算手続きに入る。

 石村萬盛堂は1905年創業。あんをマシュマロで包んだ鶴乃子が主力商品。バレンタインデーのお返しに鶴乃子を贈るマシュマロデーを70年代に企画。ホワイトデーが広まるきっかけとなったと言われる。今年7月には本店をリニューアルオープンした。関係者によると、2020年6月期の売上高は約28億円で、5年前の半分以下に落ち込んでいた。債務超過が続いていたとみられる。(女屋泰之)=朝日新聞デジタル掲載2021.10.01

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