料亭やカレー専門店、和菓子店など地元の味を並べた無人販売所が、新潟県三条市に登場した。営業は24時間。家に居ながら名店の料理を楽しめる一方、飲食店にとってはコロナ禍で来店客が減る中、新たな販路の可能性を秘めている。

 JR東三条駅から西に徒歩15分。古民家カフェやへぎそば店、洋服店などが並ぶ「一ノ木戸商店街」の一角に「むじん商店」がある。空き店舗を改装した店内には大型の冷凍ショーケースが二つ。中には、冷凍された「料亭の蟹(かに)釜飯」「酢もつ」「レモンチキンカレー」「燕三条鉄饅頭(まんじゅう)」など約30品が並んでいた。値段はどれも1千円(税込み)。市内八つの飲食店やキッチンカーのメニューを冷凍食品にした。

 店内は無人で、代金は備え付けの「さい銭箱」に入れる。万引きや「さい銭泥棒」を見張る防犯カメラが3台。商品は、それぞれの業者が在庫管理や補充をする仕組みだ。

 販売所は、三条市内のネット通販会社「ヴィヴィッドリー」が8月末にオープンさせた。もともとは女性用農作業着のネット販売をしていたが、地元の食品の全国発信と新型コロナで苦しむ飲食店支援のため、昨年8月に、まず食品のネット販売を開始。その商品を中心に、今回、無人販売所もつくった。

 「新型コロナで、飲食店はどこも苦しい。三条で頑張る仲間が少しずつ減っている。いろんな飲食店の商品を自宅で一度に楽しんでもらって、気に入った店に行くきっかけにしてほしい」と同社の小野塚雄也社長(40)。無人販売所に出品する場合、業者は食品製造業とみなされるため、新たに「そうざい製造業」の営業許可が要る。今の出品業者はすでに許可取得済みだったが、出品業者を広げるため、小野寺さんは申請手続きの手伝いもするという。今後、さらに販売所を増やす考えだ。

 釜飯などを出品している料亭「魚兵」の結城靖博社長(37)は「法事や結納といった特別な日にしか食べられない料亭の味をいつでも楽しんでいただける。気に入れば、冷凍よりもおいしいできたての料理を食べに来ていただきたい」と話している。(宮坂知樹)=朝日新聞デジタル掲載2021.10.01