経産省の補助金、「リピーター」が3年で15% 財務省が問題視

中小企業を支援する複数の補助金について、財務省は1日、制度の抜本的な見直しが必要だと表明した。補助が手厚すぎたり、競争力の強化につながっているのか疑問があったりするという。来年度の予算編成の中で、補助金を所管する経済産業省に改善を求める。
1日にあった有識者会議「財政制度等審議会」で財務省が説明した。
同省が指摘したのは二つの補助金。一つは新型コロナ禍で打撃を受けた中小企業の事業転換の費用を支援する「事業再構築補助金」だ。補助額は最大1億円、補助率も費用の最大4分の3という手厚さで、同省は「補助金依存や適正な市場競争の阻害が懸念される」とした。
補助金の受給が決定した企業の業種をみると、ニーズがあるはずの飲食・宿泊業が2割程度にとどまっており、「真に必要な企業に適切な支援が行き渡る見直しが必要」だと指摘した。
もう一つは生産性を向上させる中小の取り組みを支援する「ものづくり補助金」だ。直近3年でみると、採択事業者のうちの15%が過去にもこの補助金を受け取った実績があり、どこまで生産性を向上させたのかみえない面もある。
記者会見した審議会委員の土居丈朗慶応大教授は「補助金をもらった後、パフォーマンスの改善が見られたかを問うなど、補助金の『リピーター』を生まないような出し方を検討する必要がある」と話した。(榊原謙)=朝日新聞デジタル掲載2021.11.01
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