約32%のマンションにあるという機械式駐車場(国土交通省、2018年度調査)。都市部を中心に車を持たないライフスタイルが広がったことや高齢化を背景に、空きが目立つようになり、維持管理に悩む管理組合も少なくない。

 大手マンション管理会社「大和ライフネクスト」(東京都港区)のマンションみらい価値研究所は昨年7月、「消えゆく機械式駐車場」と題してリポートを公表した。

 同社が管理を委託されているマンションのうち、駐車場の有無が確認できる3994について調べたところ、分譲時に機械式駐車場が設置されていたのは2039だった。

 そのうち、すでに機械式駐車場を撤去して跡地を平面化したマンションは298あり、機械式駐車場が設置されていたマンションに対して14・6%を占めた。

 「すでに機械式駐車場の平面化工事は、特別な事例ではなくなってきている」。リポートはそう指摘する。

 年ごとの工事件数は、2009年の1件から始まってその後は増加傾向が続き、15、20年には、ともに44件に達して最も多かった。

 平面化した298マンションでは、跡地を平置き駐車場にしたケースが283で大半を占めた。以下、平置き駐車場と駐輪場の組み合わせ(8)、駐輪場(3)などだった。

 機械式駐車場をすべて、もしくは一部を撤去した後、新たに設置した平置き駐車場の分を含め、駐車できる総台数の残存率を調べると、「70%以上80%未満」(26・8%)が最も多く、「80%以上90%未満」(23・8%)、「60%以上70%未満」(15・4%)の順だった。

■利用者減少、一方で反対の声も

 工事を実施した管理組合の総会議案書をもとに工事理由を調べると、「将来にわたって多額のメンテナンスコストや修繕費用がかかり、その削減をするため」「駐車場の利用者が少なく、駐車場が必要ないため」といった記載が多かったという。

 一方、工事に反対する住民の声も議案書や総会議事録などには記されていた。「中古マンションとして販売するとき、駐車場の区画数が少ないのは売買価格にマイナスでは」「平面化よりも前に、周辺住民への貸し出しなどほかにやるべきことがあるのではないか」などだった。

 同研究所長を務める久保依子さんは「マンションと車を取り巻く環境は、急速に変化しています」と話している。(井上道夫)=朝日新聞デジタル掲載2022.09.10