「縦流し」から「横流し」へ ダイハツ、主力の工場を半世紀ぶり改修

ダイハツ工業は7日、操業を始めて以来、約50年ぶりに大規模な改修を施した主力の京都工場(京都府大山崎町)を報道陣に公開した。塗装と組み立てのラインをいちから作り直すことで、生産能力を底上げしたうえ、二酸化炭素の排出量を大幅に削減した。
京都工場では、自社の軽乗用車「トール」や「ブーン」のほか、親会社のトヨタにOEM(相手ブランドによる生産)供給している「ルーミー」など計7車種を生産している。
大規模な改修は1973年の操業以来、初めて。2018年に着工し、約350億円をかけて、別々の建屋に分かれていた塗装と組み立てのラインを、新設した4階建ての「塗装・組立棟」に集約した。
塗装ラインでは塗料が混じった空気をフィルターに通し、空調に再利用することなどで、二酸化炭素の排出量を4割減らした。さらに、これまで手作業だった車内の塗装を自動化。組み立てラインでも、車体を縦向きに送る「縦流し」から横向きの「横流し」にすることで工程を縮め、1台あたりの生産にかかる時間を3割縮めた。生産能力は年13万台から同23万台へと、ほぼ倍増する。ダイハツの国内工場では滋賀工場(滋賀県竜王町)に次ぐ規模となる。
同社は、30年までに自社ブランドの全車種を電動化(ハイブリッド車などを含む)、35年までに工場から出る二酸化炭素の排出量を「実質ゼロ」にする目標を立てている。
奥平総一郎社長はこの日の会見で、「カーボンニュートラルはそう簡単ではない。シンプル、スリム、コンパクトな生産のあり方をこれからも追求し続け、環境への負荷を下げていく」と述べた。(中村建太)=朝日新聞デジタル掲載2022.10.08
リニューアル後のダイハツ京都工場では組み立てラインの一部を「横流し」にして工程を縮めた=7日、京都府大山崎町、中村建太撮影
リニューアル後のダイハツ京都工場ではこれまで紙だった作業の指示書をデータ化した=7日、京都府大山崎町、中村建太撮影
リニューアル後のダイハツ京都工場では車体の塗装が自動化された=7日、京都府大山崎町、同社提供
ダイハツが京都工場に新設した塗装と組み立てのラインの建屋=京都府大山崎町、同社提供
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