APEC・ビジネス・トラベル・カード、APEC域内の入国審査を短縮も

APEC・ビジネス・トラベル・カード(APEC Business Travel Card: ABTC)は、アメリカ・カナダ・東南アジア諸国などアジア太平洋地域のAPEC域内を短期商用目的で渡航する場合、事前に各国・地域の承認を得ることで、一部査証なしで入国審査を受けることができ、入国審査時に、外交官などが通る専用または優先レーンを利用することができます。ただし、新規交付申請には1.3万円がかかります。
APEC・ビジネス・トラベル・カード(APEC Business Travel Card: ABTC)は、アメリカ・カナダ・東南アジア諸国などアジア太平洋地域のAPEC域内を短期商用目的で渡航する場合、事前に各国・地域の承認を得ることで、一部査証なしで入国審査を受けることができ、入国審査時に、外交官などが通る専用または優先レーンを利用することができます。ただし、新規交付申請には1.3万円がかかります。
目次
外務省の公式サイトによると、APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)は、ABTC制度参加国・地域の政府が自国・地域のビジネス関係者に対して交付するカードです。
ABTC所持者は、APEC域内を短期商用目的で渡航する場合、事前に各国・地域の承認を得ることで、査証なし(旅券とABTCのみ)で入国審査を受けることができ、入国審査時に、ABTC専用または優先レーンを利用できます。
ABTC制度参加国・地域は以下の通りです。
オーストラリア
ブルネイ
カナダ
チリ
中国
香港(ホンコン・チャイナという名称で参加)
インドネシア
日本
韓国
マレーシア
メキシコ
ニュージーランド
パプアニューギニア
ペルー
フィリピン
ロシア
シンガポール
台湾(チャイニーズ・タイペイという名称で参加)
タイ
アメリカ
ベトナム
ABTCの主なメリットは以下の通りです。
ABTCを所持するビジネス関係者は、APEC域内を短期商用目的で渡航するとき、一部の国を除いて渡航先の国・地域で査証(ビザ)なしで入国審査を受けることができます。急な出張にも対応しやすくなります。
各空港の入国審査時には「ABTC専用レーン」または「優先レーン」を利用することができるため、待ち時間の節約につながります。
一度の申請で最長5年間利用できます。ただし、ABTCを発行する時点でパスポートの残存有効期間が5年未満の場合は、発行されるABTCの有効期限はパスポートの有効期限と同一になります。
ABTCは日本の場合、2003年4月から外務省が交付してきました。ABTCの申請はこれまで紙の書類を外務省に郵送する必要があり、交付までに平均6ヵ月かかっていました。また、紛失時には再交付手続きが必要でした。
これに対し、2024年4月1日から、バーチャルABTCの交付が始まりました。入国審査時に審査官に対し、スマホの端末アプリ上のバーチャルABTCを提示することになります。
バーチャルABTCは次のような特徴があります。
バーチャルABTCはインターネット経由で申請可能です。郵送による申請は受け付けていません。
バーチャルABTCは、スマートフォンなどの端末のアプリ上で表示されます。これにより、交付までの期間が短縮され、カードを紛失する心配もなくなりました。アプリはGoogle Play StoreやApp Storeからダウンロードできます。
各国・地域からの承認後、リアルタイムで承認状況がアプリに表示されるため、すぐに渡航に利用することができます。これにより、「CHNが表示されたら中国で利用OK」といった形で、承認された国・地域から順次利用を開始できるのが大きな利点です。
プラスチックABTCを所持している人も、バーチャルABTCへの切り替えられます。切り替え後もカードの有効期限はプラスチックABTCと同じままで、承認国の状況も引き継がれます。
さらに、バーチャルABTCでは情報がリアルタイムで更新されるため、交付後に承認国・地域が増えていれば、その最新状況がアプリに表示されます。
万が一、スマートフォンを紛失しても、新しい端末にアプリをインストールし直せば、すぐに利用を再開できます。
パスポートを更新すると、ABTCはカード記載の有効期限に関わらず失効するのが原則です。そのため、引き続きABTCを利用する場合は新規交付申請が必要となります。
ただし、直近の新規交付から5年以内であれば、パスポート番号の変更による再交付手続きがオンライン申請で可能になりました(氏名など身分事項の変更が生じている場合を除く)。
アプリ自体は現時点では英語のみで運用されていますが、日本語の利用マニュアルが提供されています。
ABTCの申請はオンラインからで、手数料の支払いに注意が必要です。新規交付申請の手数料は1.3万円です。この手数料はオンライン決済ができないため、収入印紙を購入し、手数料納付書に貼付して郵送する必要があります。
手数料納付書はオンライン申請後にダウンロード可能です。申請には以下の書類が必要です。
申請から利用までの流れは以下の通りです。
一部の国・地域では利用に制限があります。アメリカとカナダ: アメリカとカナダはABTC制度への暫定参加メンバーです。そのため、ABTCによる査証免除は認められておらず、これらの国への渡航には引き続き査証の取得が必要です。しかし、入国審査でABTC専用または優先レーンが利用できます。
2025年2月時点で、ロシア政府はバーチャルABTCによる入国を認めていません。そのため、ロシアへ渡航する際は入国査証が必要となります。
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