代表取締役の住所非公開、「する」「しない」が拮抗 5390社調査
これまで会社登記簿謄本(登記事項証明書)などで公開されていた代表取締役の住所を非公開できる制度「代表取締役等住所非表示措置」が2024年10月1日から始まりました。東京商工リサーチが中小企業を含む5390社にアンケートしたところ、すでに非公開を申請済みや1年以内に選択予定と回答した企業が26.6%に対し、「しない」との回答も25.9%あり、評価は拮抗しています。
これまで会社登記簿謄本(登記事項証明書)などで公開されていた代表取締役の住所を非公開できる制度「代表取締役等住所非表示措置」が2024年10月1日から始まりました。東京商工リサーチが中小企業を含む5390社にアンケートしたところ、すでに非公開を申請済みや1年以内に選択予定と回答した企業が26.6%に対し、「しない」との回答も25.9%あり、評価は拮抗しています。
これまでの会社法は、会社代表者の住所を登記事項としていました。
法務省の公式サイトによると、「代表取締役等住所非表示措置」は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役または代表清算人の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービスに表示しないことができます。
「代表取締役等住所非表示措置」について東京商工リサーチは2024年10月1~8日、5390社(このうち中小企業は4672社)に対し、アンケート調査を実施しました。
すでに非公開を申請済みや1年以内に選択予定と回答した企業が26.6%だった一方、「しない」との回答も25.9%とほぼ同数となりました。
中小企業の回答に絞っても、すでに非公開を申請済みや1年以内に選択予定と回答した企業が26.90%だった一方、「しない」との回答は26.50%という結果で、大きな傾向は変わりませんでした。
ただし、回答で最多だったのは「わからない」で、非公開の措置を知らない企業もまだ多いとみられます。
住所の非表示措置はプライバシー保護につながる一方、一般的な商取引では代表者住所から資産状況、差押の有無、破産歴などを確認するため、住所非公開により情報取得が煩雑になる懸念もあると東京商工リサーチは指摘しています。
アンケートで非公開にしない理由について尋ねました。すると「非公開にできることを知らなかった」が31.3%(1238社中、388社)でした。
次いで、「非公開手続きが煩雑と感じるため」の25.6%(318社)、「取引先の与信判断の硬化が懸念されるため」の21.8%(271社)、「行政手続きで提出書類の増加が見込まれるため」の20.8%(258社)と続きました。
逆に、売掛先や前払い先、貸付先など取引先の代表者住所が非公開となった場合の与信判断の変化を尋ねたところ、最多は「判断に影響はない」が68.0%で、「ややマイナス」「大いにマイナス」「マイナス」は合計19.7%でした。産業別で、「マイナス」の回答が高かったのは、「金融・保険業」「卸売業」「農・林・漁・鉱業」でした。
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