「攻めのDX」で事業成長を実現した中小企業の共通点とは
(最終更新:)
コロナ禍を経て、中小企業にもデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が一気に押し寄せています。DXは、業務効率化やコスト削減という「守り」の側面で語られがちですが、実際には、中小企業が新規事業を作ったり、既存製品の販路を急拡大したりするための大きな武器になります。本記事では、「攻め」のDXで事業拡大に成功した中小企業の例を取り上げながら、経営資源の一元管理などデジタル化への取り組みの第一歩として活用された、クラウド型のERP(企業資源計画)について紹介します。
中小企業が抱えるDXの課題
デジタル技術の進化や人材獲得競争が激しさを増す中、中小企業にとってDXの重要性は高まる一方です。
中小企業庁では企業におけるデジタル化の取り組み段階を、以下の四つに分類しています。
段階1:紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態
段階2:アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
段階3:デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
コロナ前後で企業のデジタル化の取り組みは大きく進みました。
中小企業白書(2024年版)によると、最もアナログな「段階1:紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態」の企業の割合は、61.3%(2019年)から30.8%(2023年)に半減しました。
一方、デジタル化に最も積極的な「段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態」の企業の割合は増加傾向ながら、6.9%(2023年)にとどまっています。
中小企業白書では、DX推進の課題として「費用負担の大きさ」、「DX推進人材の不足」、「具体的な効果や成果が見えない」を挙げています。
関東の精密部品メーカーは、製造部や技術部、品質管理部を抱えていますが、特に製造部の仕事が他部署から見えにくく、機械や作業に不具合が生じても、実際に現場の担当者のところへ行かないと進捗がわからない状態になっており、全体最適の実現が難しくなっていました。
そのため、従業員は「モヤモヤした思い」を抱えながら作業を進めていたといいます。
また、手芸用品などを扱う関西の卸売会社ではかつて、営業や在庫管理の担当者が電話、電卓、手書きの複写伝票を用いていました。当時の社員の平均年齢は60代後半で、DXを進める人材はおらず、入社したばかりの後継ぎ経営者が経営に関するデータを社員に聞いても、「半年前の数字が最新」と言われました。
棚に並べた商品在庫は、熟練した社員だけが並べ方を把握し、ほかの社員は全くわからない状態だったといいます。後継ぎ経営者はDXに取りかかる前に、約20万点もの商品を、仕入れ先のメーカーやシーズンごとに、50音順やアルファベット順で分類せざるを得ませんでした。
「攻めのDX」を成功させるには
それでも、こうしたボトルネックを乗り越え、「攻めのDX」で事業成長を成し遂げた中小企業は少なくありません。
中小企業のDXといえば、合理化やコスト削減という「守り」の側面が強調されがちです。しかし、ビジネスの規模を拡大する「攻め」の部分でも、DXは欠かせないものになっています。
例えば、事業拡大のために営業力を強化した結果、処理する帳票が倍になったとします。その時に注文を処理できるだけのIT基盤が無ければ、ビジネスチャンスを逃すことになりかねません。
また、20年前と比べ各企業のIT依存度も大きく高まっています。自社が現状維持で対応できたとしても、取引相手がDXを大幅に推進していた場合、取引停止となるリスクも増しています。
DXを支えるITツールは「大企業向け」という印象も根強いですが、実際には、中小企業向けのものも多く広がっています。
前述した精密部品メーカーと手芸用品卸会社も、後継ぎ経営者が先頭に立ち、ITツールの導入や活用、従業員への浸透を進めた結果、生産性向上や新規事業の創出などで、事業成長に成功しました。
導入にあたってボトルネックになるのが、費用面とDX人材の不足です。これらの課題を解決するには、外部コンサルタントの協力を得る手段が考えられます。
「外部コンサルを入れれば、かえって費用がかかる」と思う方もいるでしょう。 しかし、自社の課題にあった要件定義ができていないために、導入までに時間を要したり、導入後も何度もシステムの組み直しが発生したりして、失敗に終わるパターンが少なくありません。
結果的に、自社の課題に寄り添ってくれるコンサルタントの支援を受けた方が導入コストを抑えられ、DX人材が社内に不足していても、課題解決にたどりつくことができるかもしれません。
クラウドERPで経営を前に
中小企業の「攻めのDX」を後押しするツールとして、注目されているのがERPです。「Enterprise Resources Planning」の略で、企業資源計画と訳します。製造、購買、在庫管理、営業、経理、人事といった企業の基幹データを一元管理できるパッケージシステムです。
中でも、自社にサーバーやデータを置かないクラウド型のERPが、中小企業にも広がろうとしています。
「ERPは大企業の経営企画部署が使うシステム」という先入観も根強くあります。しかし本来、人事や労務、経理などを少人数で担当するような中小企業こそ、ERPは効果を発揮します。各部署でデータを二重入力していたり、複数のシステム間でデータを連携する際、不整合が発生するなどという業務やシステムを運用するための負担が軽減されるからです。
ある食品販売会社は以前、輸入管理、販売管理、在庫管理、店舗管理、人事管理などを別々のソフトウェアを使って管理していたため、業績をリアルタイムに把握し、業績予測を出すことが難しい状況でした。
そこで、クラウドERPを導入したところ、部署ごとに点在していた業務システムが一元化され、データの再入力、転記などが不要となり、月締めの作業がスピーディーになりました。経営に関する作業や判断を前倒しにでき、人件費を効率的に活用することで、目に見えないコスト削減につながったといいます。
スポーツ関連製品を扱う専門商社は、創業以来の事業拡大に伴い、会計管理、販売・在庫管理、顧客管理、生産管理と段階的にシステム化を進めました。そのため、データ連携が夜間の作業になったり、一部の部署のシステムが老朽化し、入力前のデータをExcelで加工したり、日次で締めたデータをExcelで再集計してレポートを作成したりする作業が発生していました。
同社もクラウドERPを導入したことで、Excelを用いたレポート作業がなくなり、全体の業務処理のスピードが向上しました。また、データをクラウドで一元管理したことで、社内システムの老朽化や、災害、盗難などのリスクも回避することができました。
クラウドERPの中には、膨大なデータを収集するBI(ビジネスインテリジェンスツール)を標準機能として搭載し、企業内の分析データを自動的に収集するものもあります。
まずはERPで、1年くらいかけて業務プロセスの可視化やデータ統一を進めて合理化を図り、自然にBIに蓄積された顧客や在庫、財務などのデータを活用して、事業拡大に向けた経営戦略を考えていくのもおすすめです。
クラウドERPが秘めた可能性
クラウドERPは、中小企業のDXのボトルネックを解消する大きな武器になります。二の足を踏む企業が多い今だからこそ、いち早く導入することが差別化にもつながります。
ERPはさらなる進化を遂げる可能性を秘めています。
近い将来、ERPに一元管理された膨大な企業データをAIに学習させることで、ビジネスを大きく前進させることも考えられます。例えば、ある商品の在庫が無かった時に、AIと連携したERPが瞬時に代替品を指し示すといった使い方が想定されます。
こうした既存のERPと新たな技術を組み合わせることで、中小企業経営者も抵抗感なくツールを使いこなし、需要予測や配送や在庫の最適化の提案といった、迅速な経営判断のサポートにつながります。
クラウドERPは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも寄与します。ペーパーレス化はもちろん、事業部ごとに、電力や水道の使用量、二酸化炭素排出量を可視化することで、持続可能なビジネスを展開するための基礎データを得ることができます。
また、特に欧州を中心に取引をする際は、二酸化炭素排出量の抑制や、再生エネルギーの使用などが条件となる動きが広がっています。直接取引する大企業だけでなく、そのサプライチェーンに組みこまれる中小企業にとっても、SDGsに関する指標の把握が求められています。
逆に言えば、クラウドERPの活用などで、そうしたデータの可視化を進めた中小企業は先んじて海外との取引を広げられる可能性があるということです。
現状維持ではなく、攻めのDXで事業を拡大させるため、クラウドERPの活用を考えてみてはいかがでしょうか。
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