目次

  1. トランプ政権と中国の対立 自由貿易めぐる駆け引き
  2. 中国の日本への接近 経済的誘惑と地政学リスク
  3. 日本企業の対応 脱中国依存の継続
    1. サプライチェーンの多角化
    2. 地政学リスクへの備え
    3. 中国市場とのバランス
    4. 技術流出の防止
  4. 日本企業に必要な冷静かつ戦略的な判断

 今日、トランプ政権は再び世界経済に大きな影響を及ぼしています。

 特に、対中関税の強化や一律関税の導入は、国際貿易のルールを揺さぶる動きとして各国に波紋を広げています。トランプ政権は、中国に対して始めから一律関税を課すことで、米国内の産業保護を優先する姿勢を明確にしました。これに対し、中国は当初、比較的冷静に対応し、自由貿易の擁護者を自称する姿勢を強く示しています。

 習近平政権は、トランプ政権の関税政策が自由貿易の脅威であると強調し、国際社会に「中国こそが自由貿易の守護者である」とアピールしています。

米中の「囲い込み」(2025年4月時点)
米中の「囲い込み」(2025年4月時点)画像は経産省の資料から(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/tsusho_boeki/pdf/012_03_00.pdf)

 たとえば、2024年のAPECやG20などの国際会議の場で、中国は多国間の自由貿易体制の重要性を訴えました。この「スマートな中国」の姿勢は、特に日本や欧州など、自由貿易を重視する国々との連携を強化する狙いがあります。

 しかし、トランプ政権が4月になって相互関税を打ち出す段階になると、中国の対応は変化しました。米国に対して一律関税で対抗する方針を打ち出し、「強い中国」の姿勢を国内外に示しています。

 この対応は、中国国内のナショナリズムを高揚させ、国民の支持を固める一方、外国に対しては経済的・政治的影響力を誇示する意図があります。中国は、関税戦争においても屈しない姿勢をアピールすることで、国際社会での地位を維持しようとしています。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。