目次

  1. 台湾有事とは 政府は先島諸島からの避難受け入れ計画
  2. トランプ政権の台湾政策の「不透明さ」
  3. 日米首脳会談で台湾への関与継続を示唆か
  4. 日本企業への具体的な影響と求められる対応

 台湾有事とは、中国が台湾統一のために想定される一連の武力行使シナリオのことを指します。2024年版防衛白書は「中国は、台湾周辺における威圧的な軍事活動を活発化させており、国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定については、わが国を含むインド太平洋地域のみならず、国際社会全体において急速に懸念が高まっている」と指摘しています。

 台湾は世界の半導体産業の中心地であり、特にTSMC(台湾積体電路製造)はグローバルサプライチェーンの要です。日本企業は半導体や電子機器の生産で台湾に大きく依存しており、有事が発生すれば供給網の寸断や経済的損失が懸念されます。

 また、地理的に近い日本は、軍事的な影響や邦人保護の課題にも直面する可能性があります。台湾有事などを想定し、政府は、沖縄県の先島諸島の住民ら約12万人を九州・山口各県に避難させる初期的な計画を3月にも取りまとめる方針です。

 帝国データバンクの調査(2024年)によると、台湾に進出する日本企業は約2988社で、その多くが製造業や卸売業を展開していますが、「戦争・テロ」をリスクとして想定する企業は2割未満と、有事への備えが十分とは言えません。

台湾に進出した日本企業の動向
台湾に進出した日本企業の動向(グラフ・地図はいずれも帝国データバンクのプレスリリースから https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000973.000043465.html)

 トランプ政権の台湾有事への対応は不透明さが際立っています。第1次政権時(2017~2021年)、トランプ氏は中国を「戦略的競争相手」と位置づけつつ、軍事的なコミットメントは慎重でした。

 2025年2月の記者団への発言でも、「台湾有事への対応はコメントしない」と述べ、明確な軍事介入の意思を示していません。これは、米国が介入するかも知れないと「戦略的曖昧さ」を示すことで中国を抑止する狙いがあります。

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