1966年6月30日、イギリスの4人組バンド「ビートルズ」の日本初公演が東京・九段の日本武道館でありました。

7月2日までの3日間で5公演を実施。

若者を熱狂の渦に巻き込み、日本には103時間滞在しただけで嵐のように去っていきました。

来日しタラップで手を振るビートルズ=1966年、東京・羽田空港、朝日新聞社

ビートルズは1962年にデビュー。

朝日新聞の記事データベースを「ビートルズ」で検索すると、最も古いのは1964年3月6日付夕刊(東京本社版)の記事です。

アメリカでの人気ぶりに触れ、「ロカビリー下火の日本でどんな反響をしめすか」と結んでいます。 

 

その2年余り後の初来日は大騒ぎになりました。

ファンの過熱が予想されたことから、警視庁は総合警備本部を設置。

4人は6月29日未明に羽田空港に降り立つと、前後をパトカーに守られて車でホテルに向かいました。

 

1966年6月30日付朝日新聞(東京本社版)夕刊には、「ビートルズに会いたい」と上京したものの、窃盗の疑いで逮捕された4人組の家出少年の記事が載っています。

公演の切符が入手できず、金を使い果たし、各地で盗みを働いたといいます。 

1966年6月30日のビートルズ日本初公演の様子を報じた翌7月1日付朝日新聞朝刊(東京本社版)

武道館での公演では、約1万人の観客に対し、2千人近い警察官が警備に当たりました。

会場の様子を書いた当時の記事は「歌なんて、ロクに聞えない」「ハンカチが振られ、客席の少年少女がはねあがり、金属製の叫びが、ただ、炸裂」と伝えています。 

 

ビートルズは1970年のアルバム「レット・イット・ビー」を最後に解散。

それでも人気は衰えず、1995年のエイプリルフールには、ビートルズそっくりのイギリスのコピーバンドが武道館で、本家のかつての武道館公演を再現するという企画もありました。 

1966年の武道館公演の警備態勢を記録した映像の公開を求める訴訟に関する記事=2018年5月5日付朝日新聞朝刊(名古屋本社版)

最近では、1966年の武道館公演での警備態勢を記録した約35分の映像について、市民団体が「歴史的な資料」だとして警視庁に公開を求めた裁判がニュースになりました。

伝説のバンドは公演から半世紀余りを経てなお、私たちに話題を提供し続けています。 

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年6月30日に公開した記事を転載しました)