日本の出生数、2024年に初の70万人割れ 少子化に対応する中小企業も

厚生労働省が発表した「人口動態統計月報年計」によると、2024年の日本の出生数は68万6061人となり、前年(72万7288人)から約4.1万人減少し、初めて70万人を下回りました。これに伴い、合計特殊出生率は1.15となり、前年の1.20からさらに低下しました。少子化が急速に進むなかで、中小企業が生き残る戦略について事例をもとに紹介します。
厚生労働省が発表した「人口動態統計月報年計」によると、2024年の日本の出生数は68万6061人となり、前年(72万7288人)から約4.1万人減少し、初めて70万人を下回りました。これに伴い、合計特殊出生率は1.15となり、前年の1.20からさらに低下しました。少子化が急速に進むなかで、中小企業が生き残る戦略について事例をもとに紹介します。
目次
厚労省の公式サイトによると、2024年の出生数は、前年と比較して約4万1千人の大幅な減少を記録しました。出生数の年次推移を見ると、1949年の269万6638人をピークに、日本の出生数は減少傾向が続いています。
2015年には5年ぶりに増加したものの、2016年からは再び減少に転じています。今回の2024年の数値は、過去最少の出生数となっています。
出生数を母の年齢(5歳階級)別に見ると、全ての年齢階級で前年より減少していることが分かります。同様に出生順位別に見ても、第1子、第2子、第3子以上のいずれの順位においても、出生数が前年より減少しています。
これは、特定の年齢層や出生順位に限らず、全体として子どもの出生が減少している現状を浮き彫りにしています。一方で、第1子出生時の母の平均年齢は31.0歳で、前年と同年齢でした。
合計特殊出生率とは、合計特殊出生率は「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、1人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当します。この指標は、女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の合計特殊出生率」であり、年次比較、国際比較、地域比較に用いられています。
2024年の合計特殊出生率は1.15と、前年の1.20から低下しました。
合計特殊出生率の年次推移は、2006年から上昇傾向が続いていましたが、2014年に低下し、2015年に再上昇したものの、2016年からは再び低下傾向が続いています。
この合計特殊出生率をさらに詳しく見ると、母の年齢(5歳階級)別では、30歳から34歳の年齢階級で最も出生率が高くなっています。しかし、全ての出生順位(第1子、第2子、第3子以上)において、出生率が低下している状況です。
都道府県別に合計特殊出生率を見ると、沖縄県(1.54)が最も高く、次いで福井県(1.46)、鳥取県・島根県・宮崎県(1.43)が高水準を示しています。一方で、東京都(0.96)が最も低く、宮城県(1.00)、北海道(1.01)が低い水準にあります。
出生数の減少と合わせて、日本の人口動態には他の重要な変化もあります。
2024年の死亡数は160万5298人と、前年より約2.9万人増加しました。死亡数は1980年ごろから増加傾向が続き、2003年には100万人を超えました。
特に、2024年には全死亡者の8割が75歳以上の高齢者で占められています。死因順位の第1位は悪性新生物(腫瘍)、つまり、がんで全死亡者に占める割合は23.9%でした。第2位は心疾患(同14.1%)、第3位は老衰(同12.9%)となっています。
がんによる死者が増えているのは高齢化が影響していると考えられます。
2024年の婚姻件数は48万5063組で、前年より約1万組増加し、婚姻率(人口千対)は4.0と上昇しました。これは2年ぶりの増加ですが、近年は減少傾向が続いています。平均初婚年齢は、夫が31.1歳で前年と同年齢、妻が29.8歳で前年より上昇しました。
離婚件数は18万5895組で、前年より2081組増加し、離婚率(人口千対)は1.55と上昇しました。離婚件数は2002年をピークに減少傾向でしたが、2023年からは2年連続で増加しています。
急速に進む少子化は、中小企業の子どもを対象とした事業にも大きな影響を与えます。ツギノジダイではこれまで、少子化の社会にも対応したビジネスに取り組む事例を紹介してきました。
名古屋市の三恵社は、少部数出版を得意とする出版社兼印刷会社です。印刷受注の激減や、電子書籍の台頭による不安から、先代の哲也さんが社員に新規事業を募りました。そうして生まれたのが、「広告絵本」というアイデアです。少子化のなかでも売り上げは伸び続けているといいます。
駄菓子の卸売りを手がけるナカムラ(名古屋市)は少子化のなかでも近年、企業のロゴやメッセージをオーダーメイドで飴(あめ)にいれられる商品「まいあめ」で大きく知名度を伸ばしています。
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神奈川県で3校を展開する芸大・美大受験予備校「湘南美術学院」は少子化にもかかわらず、生徒が増加傾向で約千人を抱えています。
その背景には、DXや待遇改善、人事考課の見直しなどで、財務改善と教育の質の向上を両立し、従業員への情報公開や権限委譲も進めて組織を強化したことがあります。コロナ危機を乗り越えて経営を上向かせ、常設スタジオや通信制高校、企業研修などの新規事業に挑む基盤を作りました。
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