目次

  1. オルツとは 8月末で上場廃止へ
  2. 不正スキームの核心 実態を伴わない「循環取引」
  3. 不正スキームの進化 背景に上場志向
  4. 不正の根本原因と再発防止への提言

 オルツの公式サイトによると、オルツはパーソナルな人工知能(P.A.I.)で注目され、デジタルクローンを手がけたり、議事録ソフト「AI GIJIROKU」を提供したりしているAIスタートアップです。J-Startupや日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社」にも選出されています。

 そのオルツが、2020年12月期から2024年12月期に、過大計上していることが明らかになりました。オルツの公式サイトに掲載されている第三者委員会の報告書によると、次の通りです。

• 売上高: 119億853万円(財務諸表上の売上高の最大91.3%を占める期間も)
• 広告宣伝費: 115億5743万円(同期の財務諸表上の広告宣伝費の最大98.1%を占める期間も)
• 研究開発費: 13億1300万円(同期の財務諸表上の研究開発費の最大77.2%を占める期間も)

 これらは、オルツの収益構造と費用の実態を著しく歪めていたことを示しています。こうした結果、東京証券取引所は7月30日に、東証グロース市場に上場しているオルツを8月31日付で上場廃止にすると決定しました。

 オルツの不正取引の中心は「SPスキーム」という、AI GIJIROKUのライセンス販売における実態を伴わない売上計上でした。このスキームは、2021年6月ごろから2025年3月までの長期間にわたり実行されていたといいます。

 具体的には、オルツは「スーパーパートナー(SP)」と呼ばれる一部の販売パートナーに対してAI GIJIROKUのライセンスを販売し、売上を計上していました。しかし、この売上は、SPが実際にエンドユーザーにアカウントを発行し、利用料を受け取っていませんでした。

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