日米関税合意の条件に航空機100機・防衛装備品も ホワイトハウスが発表

アメリカのホワイトハウスは2025年7月23日、日本の「相互関税」を15%とする「日米戦略的貿易投資協定」の合意内容についてファクトシートという形で公表しました。ここにはボーイング製航空機100機の購入合意や、アメリカ製防衛装備品の年間数十億ドル規模の追加購入など、石破総理の記者会見に含まれていない内容も記載されています。一方、石破首相ら日本側の説明との温度感に差がある項目もあり、慎重に見極める必要があります。
アメリカのホワイトハウスは2025年7月23日、日本の「相互関税」を15%とする「日米戦略的貿易投資協定」の合意内容についてファクトシートという形で公表しました。ここにはボーイング製航空機100機の購入合意や、アメリカ製防衛装備品の年間数十億ドル規模の追加購入など、石破総理の記者会見に含まれていない内容も記載されています。一方、石破首相ら日本側の説明との温度感に差がある項目もあり、慎重に見極める必要があります。
ホワイトハウスの公式サイトに掲載されたファクトシート「President Donald J. Trump Secures Unprecedented U.S.–Japan Strategic Trade and Investment Agreement」によると、トランプ大統領は、アメリカの最も近い同盟国であり、最も重要な貿易相手国の一つである日本との画期的な経済協定を発表したとして、合意内容について以下のように記載しています。
ファクトシートによると、日米で合意した5500億ドルの投資資金は、次のようなアメリカの戦略的産業基盤の活性化に向けられると説明しています。
• 液化天然ガス(LNG)、先進燃料、送電網の近代化を含むエネルギーインフラと生産の強化
• 設計から製造までアメリカ独自の能力を再構築する半導体製造と研究の推進
• 必須の投入物へのアクセスを確保するための重要鉱物の採掘、加工、精錬
• 外国製医薬品や供給品へのアメリカの依存を解消するための医薬品および医療品の国内生産の拡充
• 新しい造船所の建設や既存施設の近代化を含む商業および防衛造船の強化
アメリカがこの投資から利益の90%を保持し、米国の労働者、納税者、地域社会が圧倒的な利益を享受できると説明しています。
これに対し、石破総理は「日本企業が関与する医薬品、半導体等の重要分野での対米投資の促進のため、政府系金融機関が最大5500億ドル規模の出資、融資、融資保証を提供可能にするということで合意をしたというのが正確なところでございます。この投資は、JBIC(国際協力銀行)による出資、融資、日本貿易保険(NEXI)による保証を活用するということを考えておるわけでございます」と説明しています。
赤沢担当大臣も「このイニシアチブのもとで実施するプロジェクトについて双方が負担する貢献やリスクを考えて、バランスの取れた割合でアメリカが90%、日本が10%という合意になったという理解をしていただければと思います」と説明しています。
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アメリカのファクトシートは、長年にわたりアメリカ企業が日本市場へのアクセスで障壁に直面してきたと主張。具体的には、以下の成果を強調しています。
ファクトシートは、日本が直ちにアメリカ産米の輸入を75%増加させ、輸入割当を大幅に拡大します。さらに、日本はトウモロコシ、大豆、肥料、バイオエタノール、持続可能な航空燃料を含む80億ドル相当のアメリカ農産物および関連製品を購入する合意をしていると説明しています。
米について、石破総理は「アメリカからのミニマム・アクセス米の調達の割合を増やすというようなことだと思っていただいて結構ですが、今回の合意について、農業を犠牲にするというようなことは一切含まれておりません」と説明しています。ただし、トウモロコシ、大豆、肥料、バイオエタノール、持続可能な航空燃料などについては言及していませんでした。
アメリカから日本へのエネルギー輸出の拡大に向けて、両国はアラスカ産液化天然ガス(LNG)の新たなオフテイク契約(供給者と購入者の間で、将来の商品・サービスの売買に関する法的契約)を検討するといいます。
エネルギー分野について、今のところ日本側からの説明はありません。
日本はボーイング製航空機100機の購入合意を含むアメリカ製民間航空機の購入を約束しましたと説明。また、インド太平洋地域における相互運用性と同盟の安全保障を強化するため、アメリカ製防衛装備品の年間数十億ドル規模の追加購入も含まれるとしています。
赤沢担当大臣は「今般の合意には、防衛費に関する内容は含まれておりません」と発言していました。
アメリカ製自動車およびトラックに対する長年の輸入制限が撤廃され、アメリカ自動車メーカーは初めて日本消費者市場にアクセスできるようになります。アメリカ自動車規格が日本で初めて承認されるとしています。
これについては、赤沢担当大臣が「アメリカとの間で、日本の交通環境において、安全なアメリカメーカー製乗用車を追加試験なく受け入れることで合意しました。日本の交通環境で、安全なアメリカメーカー製乗用車の認証手続きを簡素化するもので、国民の安心安全を確保することが前提となっています」と説明しています。
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