目次

  1. ユニチカの繊維事業の一部譲渡の背景
  2. ユニチカ「事業譲渡等に向けた基本合意書締結」
  3. 譲渡先のセーレンとは
  4. セーレンの強みとは
    1. IT化・流通ダイレクト化
    2. 非衣料・非繊維化
    3. グローバル化
    4. 企業体質の変革
    5. 戦略の根底にある「五ゲン主義」

 ユニチカは2024年11月28日、祖業だが赤字続きとなっていた繊維事業から撤退し、2025年8月までに他社への事業譲渡や移管生産するという目標を公表しました。背景には、原燃料価格の高止まりによるコスト上昇、市況の変化に伴う需要の減少、東南アジアを中心とする海外市場での価格競争激化などから営業赤字が続いていたことがあります。

 そこで、繊維事業を縮小しつつ、事業の軸を高収益事業である高分子事業へシフトしていく経営再建を目指しています。ユニチカの繊維事業撤退により、全国で1.9万社に影響するとみられていました。

 ユニチカが公表した「事業譲渡等に向けた基本合意書締結のお知らせ」によると、6月20日本日開催の取締役会で、ユニチカと連結子会社の日本エステルのポリエステルに係る繊維関連事業・重合事業について、セーレンとの間で譲渡等に向けた基本合意書を締結することを決議したといいます。

 具体的に譲渡対象となる事業は以下の通りです。

  1. ポリエステル重合事業:日本エステルのポリエステル重合事業
  2. 衣料繊維事業:日本エステル株式会社のフィラメント(FIL)事業(ユニチカトレーディングの事業及びユニチカトレーディングの子会社の事業を除く)
  3. 不織布事業:ユニチカのスパンボンド(SB)事業
  4. 産業繊維事業:ユニチカ・日本エステルのステープル・ファイバー(SF)事業、ユニチカのポリエステル高強力糸(ETY)事業、ユニチカのETY事業および合繊紡事業に関する外部委託加工事業

 ユニチカが新設分割会社を設立し、そこにユニチカと日本エステルの譲渡対象事業を会社分割にて承継させます。その後、その新設分割会社の株式をセーレンに金銭を対価として譲渡するという方法が想定されています。

 2025年6月から7月末ごろに対象事業および最終契約の条件に関する協議が行われ、2025年8月初めごろに最終契約が締結され、2025年12月末ごろにクロージングとなる見込みです。

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