目次

  1. ホルムズ海峡とは 封鎖したらどうなる?
  2. ホルムズ海峡封鎖が懸念された過去事例
    1. イラン・イラク戦争(1980~1988年)
    2. イラン制裁(2011年・2012年)
    3. 第一次トランプ政権による核合意離脱(2018年)
    4. タンカー攻撃事件(2019年)
  3. ホルムズ海峡封鎖は現実的か イランにも諸刃の剣
  4. なお残るホルムズ海峡の封鎖リスク

 ホルムズ海峡は、オマーンとイランの間に位置し、ペルシャ湾とオマーン湾、さらにアラビア海を結ぶ海上交通の要衝です。全長は約160km、最狭部の幅は約33kmですが、それでも世界の最大級の原油タンカーも航行可能な深さと広さがあります。

宇宙から見たホルムズ海峡
宇宙から見たホルムズ海峡(NASAの公式サイトから https://www.nasa.gov/image-article/strait-of-hormuz/)

 アメリカのエネルギー情報局(EIA)がホルムズ海峡を「チョークポイント」と表現するように、2024年における海峡を通過する原油の平均流量は日量2000万バレルに達し、これは世界の石油消費量の約20%に相当します。ホルムズ海峡を通じて原油を輸出する主要国は、サウジアラビア、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてイラン自身です。

 特にサウジアラビアは、2024年にはホルムズ海峡を通過する原油流量の38%を占める最大の輸出国です。ホルムズ海峡を経由する原油は、中国、インド、韓国などアジアに多く運ばれており、EIAは「この地域はホルムズの供給混乱の影響を最も受ける可能性が高い」と分析しています。

 サウジアラビアとUAEはホルムズ海峡を迂回できるパイプラインを持っていますが、輸送できる量はホルムズ海峡から輸出される量の半分にも届きません。

 石油だけではありません。2024年には世界の液化天然ガス(LNG)貿易の約20%もホルムズ海峡を通過しており、主にカタールからの輸出が中心です。

 JETROのビジネス短信によると、ホルムズ海峡は日本にとっても要衝です。2024年の中東向け輸出は前年比18.0%増の4兆1924億円、輸入は2.7%減の12兆9739億円でした。国別では、輸出額も輸入額も対UAEが首位で、次いで、サウジアラビア、カタール、クウェートの順となっており、輸送にホルムズ海峡を通る国々も多いといいます。

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