目次

  1. 日本企業の進出先、最多はUAE
  2. イランは26社 情報収集の拠点も
  3. 日本企業への影響「進出地域や形態で対応が分かれる」

 帝国データバンクが調査対象とした中東13ヵ国は、バーレーン、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェート、レバノン、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン。パレスチナは集計対象から除いています。

 帝国データバンクの企業概要データベースや各社の公開情報などをもとに、日本企業の進出状況について調査・分析しました。

 その結果、2024年8月時点で進出していると判断できたのは443社。2023年の外務省による海外進出日系企業拠点数調査の698社とは差の大きい結果となりました。

中東13ヵ国別の日本企業数

 帝国データバンクの調査を進出国別にみると、最も多かったのは「アラブ首長国連邦(UAE)」で289社。特に構成国の「ドバイ」「アブダビ」両首長国で進出が多く、現地販売拠点のほか、石油・天然ガス資源の開発など資源関連企業で拠点進出が多くみられたといいます。

 次いで多いのは「イスラエル」(95社)。帝国データバンクが2023年9月末時点の調査で判明した92社よりも増えていました。3番目は「サウジアラビア」(78社)でした。

 イスラエルとの緊張が緊迫化している「イラン」で26社が進出していました。イランへの進出では特に卸売業の進出が6割超を占め、同国産の農産物や手工業製品を日本へ輸出するための拠点として進出した企業がみられたといいます。

 このほか、金融機関や商社などで情報収集を目的とした拠点進出も目立っています。

 7月31日にイランのテヘランでハニーヤ・ハマス政治局長が殺害され、イラン当局がイスラエルに対する報復を行うと表明。

 レバノンを含む地域の緊張状態が高まるなか、日本の外務省は2024年8月、中東のレバノンに出していた危険情報のうち4段階で最も厳しい「レベル4」(退避勧告)を全土に広げました。イランとイスラエルについても「レベル3」(渡航中止勧告)または「レベル4」(退避勧告)を全土に広げました。

 こうした情勢に対し、帝国データバンクは「中東へ進出している日本企業への影響は不透明感もあるものの、進出地域や形態によって対応が分かれるとみられる」とコメントしています。

 サウジアラビアやUAEなど、現時点で治安情勢等が悪化していない国へ進出している企業では、情報収集の強化といった対応にとどまる可能性がある一方、イランおよびイスラエル、隣国のヨルダンなどでビジネスを展開する企業では、治安情勢の急速な悪化を理由に駐在員の退避や無期限の出張延期といった対応を余儀なくされるとみています。