目次

  1. イランやカタールをめぐる情勢
  2. 中東発着便の見合わせ相次ぐ ハブ空港にも影響
    1. JALの対応
    2. エミレーツ航空
    3. カタール航空
  3. 出張などで必要な対応や注意点

 2025年6月13日にイスラエルがイランを攻撃したことから始まり、14日以降、イランとイスラエルの双方が攻撃を続け、双方に死傷者が出ています。

 現地時間の21日にアメリカがイランの核施設を空爆すると、イランは23日夜、カタールのアメリカ軍の空軍基地をミサイル攻撃で攻撃しました。一方、アメリカのトランプ大統領は攻撃後に「イランが事前に通告を発したおかげで、人的被害を回避でき、イランに感謝する」とSNSに投稿しています。

 この投稿が事実である場合、イラン側に死傷者を最小限に抑え、事態をエスカレートさせない意図があったとみられます。

 さらにトランプ大統領は23日午後、交戦が続くイスラエルとイランの間で、「完全かつ全面的な停戦が完全に合意された」とSNSに投稿しました。その後、イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ米大統領が提案したイランとの停戦に合意したと明らかにしました。

 ただし、その後も戦闘は継続しており、停戦合意がどこまで守られるかは不透明です。

 中東での軍事的緊張が高まるなか、外務省の海外安全ホームページはカタール、アラブ首長国連邦、オマーンなどの危険レベルを上げたうえで「イスラエルとイラン両国の攻撃の応酬により、両国以外のヨルダンやレバノン等でも空域や空港の閉鎖が発生し、フライトの大幅なキャンセルや遅延が発生しています。特に、イスラエルとイランとの間や周辺に所在する地域においては、フライト情報も含めて最新情報を確認する必要があります」と注意を呼び掛けています。

 今回、とくに中東のハブ空港に影響が出ていることに注意が必要です。

 ドバイ国際空港の公式サイトは「この地域の一部で空域が閉鎖されたため、ドバイ国際空港(DXB)およびドバイ・ワールド・セントラル・アル・マクトゥーム国際空港(DWC)から運航するフライトは、遅延、欠航、目的地の変更が発生する可能性があります。すべての旅行者は、空港に向かう前に航空会社に最新のフライト状況を確認し、旅行に余裕を持って移動することを強くお勧めします」と呼び掛けています。

 カタールにある、ドーハ・ハマド国際空港もSNSで「航空交通の一時停止により、ハマド国際空港の発着定期便に大きな影響が出ています。フライトの運航状況をご確認いただくまで空港への来場を控えていただきますようお願いいたします」と呼び掛けています。

 日本航空(JAL)は23日夜に羽田-ドーハ線のJAL59便が、カタール上空の空域が一時閉鎖されたことを受けて、羽田空港に引き返しました。JALは、羽田発の23〜26日、カタール発の24〜27日の各4便の欠航を決めています。

 アラブ首長国連邦を本拠とするエミレーツ航空の公式サイトは、イラン(テヘラン)およびイラク(バグダッド、バスラ)を目的地とするすべてのフライトを6月30日(月)まで一時停止することを公表しています。

 そのほかの便は運航予定としつつ、最新の状況は公式サイトの運航情報で確認するよう呼び掛けています。

 カタール航空の公式サイトによると、カタール国内の航空交通の閉鎖により、フライトを一時的に停止しているといいます。

 日本からヨーロッパやアフリカへ向かう際にドバイは中継地となっている場合があります。必要に応じて代替ルートを確認してください。到着や滞在が延びる場合はビザの有効期限にも注意が必要です。

 このほか、旅行保険でフライトキャンセルや遅延の補償がカバーされるかを確認しておきましょう。