目次

  1. 研究だけはない学び「ビジネス文化も」
  2. 今後の採用視野に「ゲンバを科学する」
  3. 高度人材の採用でつかんだ手応え
  4. 留学生への魅力失われつつある日本

 土木学会の査読付き英語論文誌「AI・データサイエンス論文集」に、名古屋市立大学との産学共同研究のなかで、ライッサさんや正田さん執筆者に加わった論文が掲載されました。建設業界の人手不足が社会問題となるなか、熟練者の「コツ」について視線可視化ツールを使って技能教育を行うことの基礎的な効果について学生を対象とした実験にて検証しました。

視線解析ソフト
視線解析ソフト

 研究は基礎レベルであるものの、今後、有効性を見出せる可能性は示せたといいます。ライッサさんは名古屋大学経済学部で統計学を専攻していましたが、この研究開発の過程で、研究用ソフトウェア分析、プログラミングや、業務改善アプリ開発など広い分野の知識を習得してきたといいます。

研究用ソフトウェア分析、プログラミングや、業務改善アプリ開発など広い分野の知識を習得してきたライッサさん
研究用ソフトウェア分析、プログラミングや、業務改善アプリ開発など広い分野の知識を習得してきたライッサさん

 「学んだことは研究だけではありません。ビジネス文化を学ぶことができました」。そう話すライッサさんは持ち前のコミュニケーション力が買われ、就職説明会や展示会にも立ちました。正田さんは幅広い仕事を任せた理由について「高度人材だからといって、あえて区別しませんでした。会社で居場所をつくるにはほかの社員たちと一緒に働くのがよいと思い、配属を総務部とし、朝の掃除や車両管理にも携わってもらいました」と説明します。

朝の掃除風景
朝の掃除風景

 光建は1951年設立のインフラ工事を手掛ける企業です。特に、地中送電線工事では施工総延長が150kmを超え、電力土木から道路・河川、上下水道まで、幅広いインフラ工事に対応しています。社員は65人で、このうち10人が海外人材です。

光建の業務風景
光建の業務風景

 今回のような研究に取り組んでいるのは、これから優秀な人材獲得に向けて「海外人材×研究開発(サイエンス)」という強みを作ろうとしているからです。地域密着型の業務ながら「ゲンバを科学する」をキャッチフレーズに、研究内容を公開するウェブプラットフォームを産学連携で開発するいった取り組みも進めています。

 そんな採用戦略もあり、さらに活躍してもらおうと考えていた矢先、正田さんは2025年4月、ライッサさんから「インペリアル・カレッジ・ロンドン」に合格したことを告げられます。ライッサさんは光建での仕事に不満はなかったといいますが、将来は起業を志しており、経営学の修士号プログラムMaster In Management(MiM)を学びたいと応募しました。

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