目次

  1. 基本手当日額とは
  2. 基本手当日額・賃金日額の主な変更点
  3. 下限額の引き上げ
  4. 基本手当日額の計算方法の詳細
  5. 就業促進手当への影響
  6. 受給者への通知方法

 雇用保険は、離職者の「賃金日額」にもとづいて「基本手当日額」を計算しています。賃金日額は上限額と下限額を設定しており、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減により、その額は変わります。

 基本手当日額とは、簡単にいうと、失業給付の1日あたりの金額です。この金額は、離職した日の直前6ヵ月に毎月決まって支払われた賃金から計算する「賃金日額」をもととなります。賃金日額は「雇用保険受給資格者証」の14欄に、基本手当日額は同証の19欄に記載されており、年齢区分などによって計算方法が変わります。

 2025年8月1日からの変更で、各年齢層の賃金日額・基本手当日額の上限額と、全年齢共通の下限額が引き上げられます。

年齢区分に応じた賃金日額の上限額の変更

変更前 変更後
29歳以下 1万4130円 1万4510円
30~44歳 1万5690円 1万6110円
45~59歳 1万7270円 1万7740円
60~64歳 1万6490円 1万6940円

年齢区分に応じた基本手当日額の上限額の変更

変更前 変更後
29歳以下 7065円 7255円
30~44歳 7845円 8055円
45~59歳 8635円 8870円
60~64歳 7420円 7623円

 たとえば、離職時の年齢が29歳で、賃金日額が1万7000円だった場合、上限額が適用されるため、2025年8月1日以降の基本手当日額は7255円となります。

 下限額は全年齢共通で以下の通りです。

  • 賃金日額の下限額:変更前 2869円 → 変更後 3014円
  • 基本手当日額の下限額:変更前 2295円 → 変更後 2411円(前年度比 +116円)

 この基本手当日額の下限額2411円は、年齢によって変わりません。

 基本手当日額は、賃金日額が高いほど給付率が段階的に低くなります。

離職時の年齢が29歳以下(離職時に65歳以上の人が高年齢求職者給付金を受給する場合も)

賃金日額 給付率 基本手当日額
3014円以上5340円未満 80% 2411円~4271円
5340円以上1万3140円以下 80~50% 4272円~6570円
1万3140円超1万4510円以下 50% 6570円~7255円
1万4510円超 上限額の7255円

離職時の年齢が30~44 歳

賃金日額 給付率 基本手当日額
3014円以上5340円未満 80% 2411円~4271円
5340円以上1万3140円以下 80~50% 4272円~6570円
1万3140円超1万6110円以下 50% 6570円~8055円
1万6110円超 上限額の8055円

離職時の年齢が45~59歳

賃金日額 給付率 基本手当日額
3014円以上5340円未満 80% 2411円~4271円
5340円以上1万3140円以下 80~50% 4272円~6570円
1万3140円超1万7740円以下 50% 6570円~8870円
1万7740円超 上限額の8870円

離職時の年齢が60~64歳

賃金日額 給付率 基本手当日額
3014円以上5340円未満 80% 2411円~4271円
5340円以上1万1800円以下 80~45% 4272円~5310円
1万1800円超1万6940円以下 45% 5310円~7623円
1万6940円超 上限額の7623円

 今回の基本手当日額の変更は、失業中の再就職を支援する再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当といった「就業促進手当」を計算するときの基本手当日額の上限額にも適用されます。

 そのため、これらの手当の支給額にも影響が出る可能性があります。

 2025年8月1日以降の認定日に、対象となる方へ返却される「雇用保険受給資格者証」には、新しい基本手当日額が印字されて通知されます。これにより、自身の基本手当日額の変更状況を直接確認することができます。