目次

  1. 固定資産税の特例とは 対象事業者も紹介
  2. 特例措置の内容 賃上げ表明でさらに優遇
  3. 特例措置の対象となる設備と要件
  4. 先端設備等導入計画の要件
  5. 特例申請までの手続き

 固定資産税の特例は、中小企業等経営強化法で規定される認定先端設備等導入計画に基づき、市町村(東京都特別区にあっては東京都)の判断により、新規取得される償却資産にかかる固定資産税が軽減されるものです。対象となるのは、大企業の子会社を除く、先端設備等導入計画の認定を受けた中小事業者等です。

 制度の大きな特徴は、単なる設備投資だけでなく、賃上げへに応じて税の軽減率が優遇される点にあります。

• 雇用者給与等支給額が1.5%以上増加することを表明した場合:新規取得される償却資産の課税標準が、新たに課税される年から3年間1/2に軽減
• 雇用者給与等支給額が3.0%以上増加することを表明した場合:課税標準が、新たに課税される年から5年間1/4に軽減

 企業は設備投資による生産性向上で得た利益を従業員に還元し、その結果としてさらなる税制優遇を受けられるという好循環を生みだそうという狙いがあります。

 特例の対象となる設備は、年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれる投資計画に記載された、その投資目的を達成するために必要不可欠な設備です。具体的には、以下の減価償却資産が挙げられます。

• 機械装置:最低取得価格160万円以上
• 測定工具及び検査工具:最低取得価格30万円以上
• 器具備品:最低取得価格30万円以上
• 建物附属設備:最低取得価格60万円以上
これらの設備は、生産、販売活動等の用に直接供されるものであること、また中古資産でないことが要件とされています。ただし、対象設備は市町村によって異なる場合があることに注意が必要です。建物附属設備は償却資産として課税されるものに限ります。

 先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置を講じている市区町村の一覧は、中小企業庁の公式サイトに掲載されています。

 税の特例を受けるためには、まず「先端設備等導入計画」の認定を受ける必要があります。この計画には以下の要件が求められます。

• 計画期間:計画認定から3年間〜5年間
• 労働生産性:計画期間において、基準年度比で労働生産性が年平均3%以上向上すること。労働生産性は、(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 労働者数または労働者数×1人あたり年間就業時間で算出されます。
• 先端設備等の種類:労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される設備であること。これには機械装置、測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備に加え、ソフトウェアも含まれます。
• 計画内容:基本方針及び導入促進基本計画に適合し、円滑かつ確実に実施されると見込まれる計画であること。認定経営革新等支援機関(商工会議所、商工会等)において事前確認を行った計画であること。

 特例適用までの手続きは、いくつかのステップがあります。

1. 認定経営革新等支援機関への相談と事前確認:計画の申請は、身近な認定経営革新等支援機関(商工会議所、商工会等)に相談し、事前確認を受けることが必須です。特に、固定資産税の特例を活用するためには、対象設備が投資利益率の要件を満たすことについても、申請前に事前確認を受ける必要があります。
2. 賃上げ表明と書類提出:特例率1/2または1/4の適用を受けるためには、申請前に従業員に対して賃上げ表明を行うとともに、賃上げ表明したことを証する書類も提出する必要があります。
3. 市町村への申請:認定経営革新等支援機関による事前確認後、先端設備等の導入先の市町村(東京都特別区を含む)に対し、先端設備等導入計画の申請を行います。
4. 設備取得:市町村からの認定を受けた後、対象設備を取得してください。
5. 税務申告:税務申告の際は、所定の書類を添付する必要があります。