目次

  1. 効率的なシフト管理を行うには
  2. システム導入前に検討すべきこと
  3. シフト管理に特化したシステムの特徴
  4. 多店舗経営向けのシフト管理システム
  5. 複雑なシフトの企業向けのシフト管理システム
  6. 10人程度のシフト管理システム
  7. 勤怠管理も備えたシステムの特徴
  8. 効率的なシフト管理の条件まとめ

 週ごとや月ごとのシフト作成を全スタッフ分毎週または毎月行うことは、大きな作業負担になります。また、紙やエクセルで作成した場合、勤怠を入力するスタッフが誤って入力すれば、そのメンテナンスにも時間を要します。

 シフト管理者、スタッフともに負荷をかけずに効率よくシフト管理をするためには、システムの導入が不可欠となります。

 飲食店や販売店、医療機関のように日常的にシフトを組み直す必要がある業種の場合は、スマホからシフト希望がすぐに出せたり、シフト表の作成や調整がスムーズに行えたりする機能が重要になります。

 一方で、定期的にシフトを組んだ後はあまり調整が発生しない、シフト対象者が比較的少ないなど、シフト管理の比重があまり高くない場合は、シフト管理機能が装備された勤怠管理システムを導入することで、勤怠管理全体を効率的に行うことが期待できます。

 職種や規模、シフト勤務の実態(シンプルか複雑かなど)に合わせて、より管理しやすいシステムを検討することが重要になります。

 シフト管理機能を重視したシステムを導入することで以下の効果が期待できますので、シフト管理者の負担を大幅に減らすことが可能になります。

  1. シフトの収集・共有・作成の工数削減
  2. スタッフの能力に応じた最適なシフト配置
  3. 柔軟で迅速なシフト調整
  4. 人的ミスの防止
  5. 勤務時間の不正防止

 以下、環境ごとにふさわしいシフト管理システムをご紹介します。(料金などは2021年2月時点の情報に基づきます)

 飲食店や販売店など多くの店舗を経営する場合、店舗ごとのシフトを迅速に把握し、急な休暇やシフトの組み替えが発生しても柔軟かつ効率的にシフト管理することが求められます。

 またスタッフ一人一人が安心して勤務できるように、急に何かあった時でも申請可能な機能、アラート通知機能が充実していることも重要な要素となります。

 以上を踏まえて、多店舗経営向けにおすすめのシステムをご紹介します。

Airシフト

  • 料金:初期費用0円、月額100円(1ユーザー)~、※最大2カ月の無料体験期間あり
  • 提供:株式会社リクルート

{主な特長}

  • シフト作成、出勤依頼、スタッフからのシフト調整依頼など、あらゆる申請/承認がチャットでのやり取りで可能。
  • シフト希望が自動で反映されるシフト表を参考にしながらシフトを組むことが可能。
  • 日・週・月などシフト表の表示切り替えが可能。
  • スマホからの出退勤打刻が可能。
  • 他のシフト管理システムと比べて割安(通常は1ユーザー300円/月~)。

{懸念点}

  • シフト管理に特化している分、打刻と人件費シミュレーション以外の勤怠管理機能が不足気味。
  • 給与ソフトへの連携がやや困難(出力したCSVデータに応じた対応が必要)。
  • 動作環境や動作端末はPC・スマホ・タブレットに限定。

 勤務地や部署ごとにシフトが異なるような複雑なシフトを組む企業では、多種多様なパターンのシフトを、効率よく作成し管理することが必要となります。

 また様々なスタッフが利用することを想定して、アラート機能や操作ログ照会機能が充実していることも重要な要素となります。

 以上を踏まえて、複雑なシフトの企業向けにおすすめのシステムをご紹介します。

ShiftMAX

  • 料金:初期費用20万円~、月額3万円(契約は10人単位)~
  • 提供:KYODOU株式会社

{主な特長}

  • エクセルをベースにしたインターフェースで構成されているため、操作性に違和感が少ない。
  • シフトパターンは無制限のため、施設や役職によって異なるなど柔軟なシフト作成が可能。
  • PC・スマホ・タブレットの他、ICカードや指静脈認証など多様な打刻方法が可能。
  • 時間超過アラート、操作ログ照会、アクセス権限などのセキュリティー機能を装備。
  • 代表的な給与ソフトとの連携が可能。 

{懸念点}

  • 価格が高め。
  • 基本機能(実績管理・月次管理・アラート機能・集計)以外では、機能別に別途オプション料金が発生。
  • 休暇や残業など通常の申請/承認は可能だが、シフトの希望申請、急なシフトの依頼はお知らせ機能によるやり取りが必要。

 1つの職場で10人程度のシフト管理をしたい場合は、できるだけコストを抑えて、スタッフ一人一人に合わせたシフトを効率よく管理できることがポイントとなります。

 この規模でしたらエクセルによる管理も十分可能ですが、アラート機能やコンプライアンス対応、セキュリティー対策などを備えたシステムを利用した方が、より安全で効率的なシフト管理が可能となります。

 以上を踏まえて、少人数のシフト管理におすすめのシステムをご紹介します。

oplus

  • 料金:初期費用0円、月額0円(100ユーザーまで、スタンダードプランの場合)
  • 提供:oplus株式会社

{主な特長}

  • 月額も無料の格安なシステムのため、特に予算が限られた中小企業の導入に適している。
  • シフト提出、メッセージの一斉・自動送信機能、シフトの自動作成、日別シフト管理など、必要なシフト管理機能は標準装備。 

{懸念点}

  • 勤怠管理、スマホ打刻、人件費計算など、他のシステムで標準的な機能がいくつかオプションとなる。
  • 複数拠点管理や人数割り当て機能など、シフト管理機能も一部オプションとなる。

 これまでご紹介したシフト管理に特化したシステムでも、出退勤打刻や申請/承認機能、集計機能など、勤怠管理の機能を部分的に装備しているものがほとんどです。しかし、勤怠管理を一元的に効率よく行いたい場合や、シフト勤務よりも通常勤務が大半を占める場合は、勤怠管理もあわせてシステム化する方がより効率的に勤怠管理を行うことができます。

 以上を踏まえたおすすめの勤怠管理システムをご紹介します。

ジョブカン勤怠管理

  • 料金:初期費用0円、月額200円(1ユーザー)~、※30日間無料お試しが可能
  • 提供:株式会社Donuts

{主な特長}

  • 出退勤管理、シフト管理、休暇管理、申請/承認機能など、シフト管理を含めた勤怠管理機能が一元的に装備。
  • シフトの自動作成やパターン作成、スタッフからの希望シフト反映、人員の過不足判定、予実管理など通常必要なシフト管理機能も装備。
  • 日勤、夜勤、複数回の休憩を挟むなど、医療機関のような複雑なシフトパターンも設定可能。 

{懸念点}

  • 出勤管理+シフト管理の場合、月額300円(1ユーザー)、それ以外の機能(休暇・申請管理、工数管理)を追加する場合は各100円追加料金が必要。

KING OF TIME

  • 料金:初期費用0円(別途機器代金)、月額300円(1ユーザー)~、※30日間無料お試しが可能
  • 提供:株式会社ヒューマンテクノロジーズ

{主な特長}

  • ジョブカンと同様、シフト管理を含めた勤怠管理機能が一元的に装備。
  • テレワークや時差出勤など、柔軟な勤務スケジュールの導入が可能。
  • 各種給与計算ソフトと連携し、勤怠管理から給与計算まで作業効率化が見込める。

{懸念点}

  • シフト管理機能が不足気味(シフト希望やシフトの自動作成など、細かいシフト調整に特化した機能なし)。

 各企業のシフトの実態にもよりますので、一概にこのシステムが一番いいとは言えません。しかし、ある程度予算をかけられるようでしたら、シフト管理も可能な勤怠管理システムをおすすめします。主な理由としては、下記の2つがあります。

  • 通常の勤怠管理に加えて、ある程度柔軟にシフト管理できる機能を備えている。
  • 給与計算ソフトとの連携により、勤怠管理から給与計算まで一貫した管理が可能となる。

 この2点から、シフト管理を含めた勤怠管理全体をより効率的に行うことができ、M&Aや事業承継など企業の変革があっても比較的対応しやすくなります。

 例えば私が担当したお客様は、常勤勤務の正社員1名、シフト勤務のパートタイマー6名ほどがいて、従来よりタイムカードで打刻、そこからエクセルに転記して勤怠集計し、休暇やシフト変更などの申請も紙で行っていました。

 今後正社員、パートタイマーともに増加が見込まれるため、タイムカードを廃止してシステムを導入したいというご要望でしたので、

  • システムに予算はかけられない。
  • シフトは電話やLINEなどで柔軟に対応する一方、調整の頻度は多くない。
  • 集計スタッフが2、3名いる。

 という点を考慮し、スマホやタブレットからの打刻が可能な無料の勤怠管理システムを導入し、集計や給与ソフトへの連携はシステムからCSVデータを出力しエクセルで加工することで対応しました。

▼参考(導入したシステムのご紹介)
IEYASU勤怠管理】
#箇条書き
料金:初期費用0円、月額0円(フリープラン)
提供:IEYASU株式会社

{主な特長}

  • PC・スマホ・タブレットの他、ICカード、Slack、LINEなど多様な打刻方法が可能。
  • シフト管理、勤怠申請/承認、休暇管理機能が装備。
  • 有料プランの場合、給与ソフトへのAPI連携が可能。

{懸念点}

  • 細かく設定できる半面、設定方法がわかりにくい(労働時間や休暇など勤怠の専門用語の知識がある程度必要)。
  • 有給休暇の自動付与、勤怠アラートなど、他のシステムで標準的な機能が一部有料プラン(3800円/月~)。
  • データ保存期間が1年のため、毎年システム以外でデータを保存する必要がある。

 一方で、多くのスタッフのシフトを素早く組みたい、急な希望が入っても柔軟にシフトを組みたい、といったシフト管理自体の要望が強い場合は、シフト管理に特化したシステムの方が効果的と思われます。

 最後に、機能別に各システムの特徴をまとめました。以下の表を参考に、実態に合ったシフト管理システムの導入や運用をご検討してください。

機能別にシフト管理システムの特徴をまとめました