目次

  1. 重点共創エリアとは
  2. 岩手県(2025年9月1日~11月30日)
  3. 青森県・函館(2025年12月1日~2026年3月31日)
  4. 山形県庄内エリア(2026年7月1日~9月30日)

 JR東日本によると、重点共創エリアとは、地域とJR東日本グループが一体となって、観光資源や文化など地域の魅力について磨き上げや発掘をし、国内・インバウンドに向けて情報発信していく取り組みです。

 以前は「重点販売地域」とも呼ばれていましたが、さらに持続可能な地域づくりに向けて交流人口や関係人口の拡大を目指しています。地元県と連携しており、地域の観光事業者にも影響がありそうです。地元2025年秋~2026年夏にかけての対象地域を紹介します。

 

 JR東日本は2025年9月1日(月)~11月30日(日)、岩手県を「重点共創エリア」に指定しました。「いわて観光キャンペーン推進協議会」とプロモーションを展開する予定で、「重点共創エリア」の前身の「重点販売地域」の指定を含めると、岩手県は3年連続の指定となりました。JR東日本のキャンペーンに合わせて地元事業者に必要な準備を紹介します。

 具体的な取り組みとして、「台北国際観光博覧会」への出展を通じて、台湾市場へのプロモーションに取り組んでいるほか、欧米メディアにも取り上げられた「みちのく潮風トレイル」(岩手県内約499km)がJR東日本の駅アセットや宣伝チャネルで重点的にプロモーションしています。

 また、盛岡、宮古、花巻、遠野、久慈、山田など県内各地の秋まつりについてもポスターなどでPRしていきます。特に、花巻まつり(9/12-14)、久慈秋まつり(9/19-21)、日本のふるさと遠野まつり(9/20-21)に合わせて、観光列車「ひなび」を含む団体専用臨時列車や臨時列車を設定しており、会場周辺の飲食店や宿泊施設、お土産物店は、繁忙期を見越した準備が必要となりそうです。

 地域産品の磨き上げとして、日本三大杜氏である南部杜氏発祥の地である岩手県の日本酒(南部美人、浜千鳥など)を国内外にPRします。酒蔵、酒販店、日本酒を提供する飲食店にとっては、商品やサービスの魅力を発信する絶好の機会です。

 岩手大学や岩手県青年醸友会との産学連携による「日本酒をテーマにした岩手元気プロジェクト」も始動します。日本酒ツーリズムや体験プログラムの開発も視野に入れると良いでしょう。

 JR釜石線・三陸鉄道リアス線を利用した震災学習列車ツアーが、9月27日と11月22日に設定しています。沿線の地域住民がガイドを務める列車は、地域の生の声を伝える貴重な機会であり、復興の現状や課題をリアルに伝えることで、観光客の理解を深めることができます。

 「駅からハイキング」の設定として、駅を起点として地域の魅力を歩いて楽しめるコースを紹介します。ウォーキング客向けの軽食、休憩所、地域情報提供、地元ガイドの手配などは、新たなビジネスチャンスとなり得ます。具体的なコースは以下の通りです。

  • 二戸駅発– 南部美人と馬仙峡を巡る:JR東北新幹線 二戸駅
  • 金ケ崎駅発– 侍屋敷と城下町を巡る:JR東北線 金ケ崎駅
  • 陸中八木駅発– みちのく潮風トレイルを歩く:八戸線 陸中八木駅

 次に、2025年12月1日(月)から2026年3月31日(火)までの期間、青森県と北海道道南エリアが「重点共創エリア」となります。青森県と北海道道南エリアの周遊をはかる共同プロモーションは、北海道新幹線開業(2016年)をきっかけにこれまでも実施してきました。

 自然、文化、郷土料理、そして冬のアクティビティがプロモーションの重点となります。スキー場、温泉旅館、冬ならではのイベント、雪景色を活かした体験プログラムを提供する事業者に関係の深いプロモーションとなりそうです。

 岩手県と同様に「台北国際観光博覧会」に出展し、台湾市場へのプロモーションが行われます。特に、台湾からの観光客は冬季の雪体験への関心が高い傾向があるため、雪に関連するアクティビティや日本の冬文化体験を提供できると強みになります。

 北海道新幹線開業10周年・新青森駅/七戸十和田駅開業15周年に合わせた取り組みも順次発表される予定です。こうした鉄道ファン向けのサービスなども検討の余地があるかもしれません。

 冬のシーズンだけでなく、春~秋にかけて、JR北海道主催のウォーキングイベント「2025JRヘルシーウォーキング」とJR東日本の「駅からハイキング&ウォーキングイベント」が共同開催されます。これは、ウォーキング愛好家や健康志向の旅行者層を取り込むチャンスとも言えます。

 2026年7月1日(水)から9月30日(水)までの間、山形県庄内エリア(鶴岡市、酒田市、三川町、庄内町、遊佐町、戸沢村)が「重点共創エリア」として夏の観光キャンペーンを開催します。

 全体のテーマは「自然風土・精神文化・食が織りなす 山形庄内 癒しの旅』であり、ターゲットとなるのは、心身のリフレッシュを求める旅行者となりそうです。温泉、森林浴、瞑想、静かな里山での体験など、庄内エリアが持つ「癒し」の要素を前面に出した商品開発が有効です。

 具体的なコンテンツとして、丸池様(遊佐町)、羽黒山五重塔(鶴岡市)、酒田フレンチ(酒田市)、月山(庄内町)、最上川舟下り(戸沢村)、田園風景(三川町)といった具体的な観光資源が例示されています。これらの資源に付随する体験(例:羽黒山での精進料理体験、酒田フレンチの特別メニュー提供、最上川舟下りでの地域文化解説など)を充実させることで、旅行者の満足度を高めることができます。

 「食が織りなす」とあるように、庄内エリアの豊かな食材や郷土料理は大きな魅力です。地元産の旬の食材を使ったレストラン、体験型農業プログラム、特産品を扱う店舗などにもチャンスが生まれそうです。

 詳細なキャンペーン内容は2026年4月ごろに発表される予定です。JR東日本や庄内観光コンベンション協会と連携して、自社のサービスをキャンペーン内容に合わせ調整する準備を進めましょう。