視野を広げるには 広い人の特徴やトレーニング方法・習慣づくりを解説
「視野を広げるにはどうすればいいのか」と悩んだことはありませんか?そこで、ビジネスシーンで視野を広げる意味や広い人の特徴、視野を広げるトレーニング方法やコツについて、中小企業診断士が解説します。
「視野を広げるにはどうすればいいのか」と悩んだことはありませんか?そこで、ビジネスシーンで視野を広げる意味や広い人の特徴、視野を広げるトレーニング方法やコツについて、中小企業診断士が解説します。
目次
視野を広げるとは、思考や知識の幅を広げるということです。物事を多面的に見ることができる状態にあると言ってもよいでしょう。
元々、視野を広げるということは目で見える範囲が広いことを意味していたようですが、そこから意味が転じて、今では人の思考や判断できる範囲の広さのことを意味しています。
ここで注目したいことは、視野の広さは「人の思考や判断できる範囲の広さ」である点です。知識や情報の量が多いことが“視野が広い”ということではありません。
例えば、仕事の場面で柔軟な判断や対応が求められることがあります。柔軟な判断や対応をするためには、知識量や情報量だけあればできるというものではありません。周りの状況がどのようになっているのかを把握し分析する必要があります。一言で周りの状況と言っても、関係者1人ひとりの立場によって見える景色が変わります。景色が変われば意見も変わるでしょう。
考えられる選択肢を1つでも多く挙げるには、自分の立ち位置を理解したうえで、状況を冷静に分析し、物事を俯瞰的にとらえること、すなわち視野を広げたうえで判断することが重要なのです。
視野が広い人と視野が狭い人の違いは、物事をどのくらい多面的に見ることができるのかという点です。
視野が広い人と狭い人の特徴により、ビジネス上でどのようなメリット・デメリットがあるのか、次から紹介していきます。
視野が広い人の特徴として、次の3点が挙げられます。
視野が広い人は好奇心旺盛で、常に新しいことや多種多様な人との出会いを求めます。そこで得た自分にはない知識や情報を他の機会にアウトプットすることにも積極的で、新しい知識や情報をどんどん自分のものにしていく傾向にあります。
そのため、好奇心旺盛でさまざまな分野に興味を持てるようになると、業務を進める際にいろいろな場面で役立ちます。例えば営業なら自社商品の強み・差別化ポイントについて、世の中のトレンドを踏まえながら説得力のある営業トークができるでしょう。
世の中には多種多様な意見があります。なかには、「その意見はどんなに考えても正しくない」と感じてしまうような意見を持っている人もいることでしょう。しかし、どの意見も100%正しいわけではありません。
視野が広い人には物事を全体から見て判断できる力があります。そして、その力によって「これは必ずこうだ」と物事を決めつけることはしません。世の中に100%正しい意見がないと腑に落ちているからこそ、自分にはない意見を受けた際に他人の意見を受け入れられるのです。
他人の意見を受け入れる余裕があると、上司側も部下側も良好な関係を築きやすいです。上司や部下から受けた言葉を一旦受け入れることで現状把握がしやすくなりますし、よりよい方法を考えるきっかけにすることもできます。
そもそも、物事をネガティブに見聞きして判断する人は、視野が広い人の特徴として挙げた好奇心旺盛でさまざな分野に興味がある状態や、他人の意見を受け入れる余裕がある状態にはなれません。
「このネガティブさのなかにも、どこかプラスの部分があるかもしれない」というように、物事のプラスの面を常に考えながら行動できるポジティブ思考の持ち主でなければ、 視野は広がっていきません。
ビジネスにおいては、危機のときであればあるほど、ポジティブ思考が役立ちます。打開策を見つけるきっかけを生みやすいのはネガティブ思考よりも、ポジティブ思考の持ち主です。また、場の雰囲気をよい方向に導きやすいのもメリットとして挙げられます。
視野が狭い人の特徴として、次の3点が挙げられます。
自分を大切にすることはよいことですが、相手を尊重しなければならない状況もあります。自己中心的な人は常に自分本位で行動し、周りに目を向けることができません。自分が100%正しいと感じた意見に対して、周りから否定するような意見が出ると受け入れないこともあります。
例えば、問題を発生させた張本人が自己中心的な人だと、自分の非を認めないため、問題解消に向けた対応に時間がかかることもあるでしょう。
何でも悪い方向に考えてしまうと、物事の小さい部分を見ていく傾向にあります。
問題へ対処をする担当者がネガティブに考えてしまうと、悪いことばかり注目して、本当の原因にたどり着かないこともあります。
向上心がないと、自分と周りとの比較ができなくなります。よって、自分は何をどのくらいできているのか、今何をするべきかといった判断ができなくなるのです。
向上心がないと、言われた業務だけやればよいという考え方になり、新しい知識や技術を覚えることも難しいでしょう。
視野を広げるためにはどうすればよいのでしょうか。真っ先に思い浮かぶのは、視野を広げることをテーマにした本を読むことかもしれません。しかし、単に本を読むだけでは視野は広がりません。自分自身の思想や知識の範囲を広げることが大切なのです。
次からは、視野を広げるための詳しいトレーニング方法を4つ紹介していきます。
即断即決を求められることが多い世の中ですが、そのような場だったとしても、一旦考えるために一呼吸置いてみてください。一呼吸置くことで物事を冷静に考えられるスイッチが入るのです。
例えば、相手から意見が出たときに「なるほど」と言ってみてください。一呼吸置くこともできますし、相手の意見を一旦受け入れるトレーニングにもつながります。
1つの情報元のみを信用してしまうと、その情報が本当に正しいものなのか判断ができません。比較検討ができないと思考の幅も広がりにくいです。
複数の情報元を確認することで、多様な意見に触れる機会になります。そのような機会を繰り返していけば、物事を客観的にとらえられるようにもなるでしょう。
例えば、3社分の新聞を読んでみる方法がおすすめです。また、新聞は1社だけ読み、他のニュースはインターネット上で複数見てみるという方法でもよいでしょう。
今まで知らなかった世界に触れることで刺激を受けると、思考が柔軟になります。
しかし、未経験の領域に触れるには勇気が必要なので、難しいと感じる人もいるかもしれません。そのようなときには、小さなチャレンジから始めてみてください。
例えば、見ているニュースのジャンルを少し変えてみるくらいのことでもよいのです。普段は経済に関するニュースばかりを見ているのなら、芸能に関するニュースも見てみてください。
未経験の領域にチャレンジするということは、自分とは異なる意見に触れるきっかけにもなるのです。
複数の情報元で確認したり未経験の領域にチャレンジしたりし続けていくと、自分の思考の癖に気づきやすくなります。しかし、自然と身に着いた自分の思考の癖はそう簡単に変化しません。
そこで鍛えてほしいものがクリティカルシンキング(批判的思考)です。自分の考えを批判的にみることで、 主観や先入観にとらわれず、物事を多角的に見ることができるようになります。
例えば、話をする際に主語をなるべく省かないことを意識したり、「これ」「あれ」「それ」といった指示代名詞を多用せずに具体的な名前を出したりしてみてください。これらのことを意識するだけでも、クリティカルシンキングは鍛えられます。
視野を広げるためのトレーニングは、闇雲にやっても効果が出るとは限りません。トレーニングをするうえでのコツをおさえ、間違った方法とならないよう注意しましょう。
どのようなトレーニングでも、強制的にやらされると自分の身になりにくいですし、トレーニング自体が続きません。
トレーニングを自発的にやるためには、そのトレーニングを「楽しい」「自分にプラスになる」と思えることが大事です。例えば、未経験の領域にチャレンジする際に「あ、それは面白そうかもしれない」と少しでも思えたものから始めてみてください。そうすると、トレーニング自体にプラスの意味を見出すことができ、継続できるでしょう。
トレーニングするときには、必ず短期間で具体的なゴールを設定しましょう。例えば、作家の恩田陸氏に詳しいAさんに、恩田陸氏の3作品に共通することを3カ月後に口頭で披露できるようにするというゴールを設定してみてください。
期間内にやるべきことが明確になりますし、詳しい人に発表することで新しい知識の補充にもつながります。また、第三者に自分の考えを話すことになりますので、自分の思考の癖に気づける機会にもなります。
視野を広げる際に必要なことは、多種多様な意見をどのくらい想定できるかという点にあります。多種多様な意見を想定するには、どの立ち位置から物事を見るかによっても変わってきます。
トレーニングを応用する際には、どの立場にいる人だったらどんなことを考えるのかという視座にも着目してみてください。そうすることで、想定できる多種多様な意見は少しずつ増えていきますし、結果として視野が広がることにもつながります。
視野を広げるトレーニングは、インプットとアウトプットの繰り返しです。アウトプットをして周りからの意見や反応を見聞きすることで、自分の意見との差に気づけます。さらに、思考の癖にも気づくことができます。トレーニングをする際にはインプットのみにならないよう気をつけましょう。
また、普段から視野が広いと感じる人とコミュニケーションを取っておくことも大事です。目指す人が明確であればあるほど、その人だったらどんな考え方をするのかと想像することができますし、困ったときにはアドバイスを求めることもできるからです。
視野を広げることによって、周りの多種多様な意見を聞けるようになることや、物事を客観視できることは、ビジネスの現場でも必要不可欠なものです。物事を冷静に判断でき、周りと円滑にコミュニケーションを取ることができれば、ビジネスがよい方向に向かうヒントも見つかりやすいでしょう。
視野を広げるトレーニングを通じて思考や知識の幅を広げることで、ビジネスにも役立ててください。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。