高速道路の深夜割引、2024年末から見直しへ 適用時間帯など変更
国土交通省は、高速道路の深夜割引の仕組みを見直します。0時前に深夜割引適用待ちの車が料金所出口に滞留するのを防ぐためとして、割引が適用される条件を変更し、対象時間を拡大します。高速道路各社は、2024年末ごろに導入すると発表しました。一方で日中に走行した分の割引がなくなるため、昼~深夜や深夜~午前といった時間帯に長距離で高速を使うドライバーにとっては、割引が大きく減る可能性があります。
国土交通省は、高速道路の深夜割引の仕組みを見直します。0時前に深夜割引適用待ちの車が料金所出口に滞留するのを防ぐためとして、割引が適用される条件を変更し、対象時間を拡大します。高速道路各社は、2024年末ごろに導入すると発表しました。一方で日中に走行した分の割引がなくなるため、昼~深夜や深夜~午前といった時間帯に長距離で高速を使うドライバーにとっては、割引が大きく減る可能性があります。
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高速道路の深夜割引は、夜間の車を周辺の一般道から高速道路に誘導して騒音を減らすため、2004年に始まりました。割引率の変更などを経て、2014年からは、0時~4時に高速道路の料金所を通過する車両の利用料金を3割引する仕組みとなっています。割引率の基準はどの地域も同じで、割引適用にはETCの搭載が必須になります。
NEXCO東日本などの公式サイトで公表した「高速道路の深夜割引見直しの内容」によると、見直しのポイントは以下の通りです。
従来の料金所通過時間に加え、高速道路内にETC無線通信専用アンテナを設置して、各アンテナから車両毎の通信記録を収集し、それらのデータを基にした割引対象距離により深夜割引の還元率(通常料金に対して実際に後日還元される比率)を算出します。
割引対象距離を増大させることを目的とした「速度超過」などの無謀な運転を抑止し、割引対象距離に上限を設けます。
深夜割引適用車両のうち、1000km以上走行した場合は、1000kmを超える部分を割引対象走行分に追加します。22時台に高速道路から流出した車両は、22時台に走行した分の還元率を最大20%とします。
割引対象路線について、深夜割引の対象路線は変更しません。一方、後日還元型の割引制度へ変更します。
理由として、車両ごとの通信記録を収集し、それらのデータを基にした割引対象距離により深夜割引の割引相当額を算出するため、その処理に一定の時間を要することになることから、割引適用方法を変更し、現行の平日朝夕割引と同様に、「ETCマイレージサービス」または「ETCコーポレートカード」への後日還元型による割引制度に変更するからだと説明しています。
今回の割引見直しの運用開始とあわせて、長距離利用の通行料金負担増を軽減することを目的に、400kmを超える走行を対象に、長距離逓減制を拡充します。
NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本は、高速道路の深夜割引について、2024年度末ごろに運用開始予定だと公表しました。
現行の割引制度では、深夜0時に高速道路の料金所を通るかどうかで大きく料金が変わるため、割引を受けるために高速道路の出口手前で待機するトラックが増えてしまう仕組みになっています。
国土交通省による2021年3月の調査では、東名高速の東京本線料金所で0時前に最大500メートルの滞留が確認されており、トラックドライバーの労働環境悪化につながっているとされてきました。割引制度の見直しでこうした待機が解消され、ドライバーの負担が減ることが期待されています。
また物流業界では近年、トラックドライバー不足が顕在化しています。そうした中、2024年度にはトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることから、人手不足に拍車がかかって輸送量が下がる「2024年問題」が懸念されています。国が深夜割の見直しを進める背景には、ドライバーの労働環境を改善して担い手を確保する狙いもあります。
公益社団法人全日本トラック協会は今回の見直し方針について、「この見直しにより、深夜割引時間帯の拡大による割引対象車両の増加や、長距離逓減の拡充による基本料金の引き下げ、本線料金所やSA・PAにおける深夜割引適用待ちの車両滞留の改善など、メリットも大きいものと考えています。以上から、今般の見直しの内容は、当協会の要望を踏まえたものとなっており、高く評価しております」とコメントを出しています。
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