建設的な意見とは コミュニケーションを円滑化して会議を成功に導く
会議でよく使われる言葉に「建設的な意見」というものがあります。この意味を深く知り、上手に活用することで会議内でのコミュニケーションが円滑になり、望んだ結論に導くことができます。この記事では、会議運営の専門家が、建設的な意見に対しての具体的な意味と活用方法をご紹介します。
会議でよく使われる言葉に「建設的な意見」というものがあります。この意味を深く知り、上手に活用することで会議内でのコミュニケーションが円滑になり、望んだ結論に導くことができます。この記事では、会議運営の専門家が、建設的な意見に対しての具体的な意味と活用方法をご紹介します。
目次
建設的な意見とは、現状をよりよくしていこうとして発言する意見のことです。例えば、「効率アップのために、全員で取り組みましょう」といった前向きな意見が該当します。主に会議や話し合いで使われており、コミュニケーションを円滑化する効果が期待されています。
しかし、建設的な意見だからといって、単純に良い意見というわけではありません。意見を交わす際は、出された意見に対して肯定的に受け止めつつも、個人攻撃にならないよう内容に対してしっかりと議論する必要があります。
建設的な意見とは何か、もう少し深く考えてみましょう。
「建設的」とは「現状をより良くしていこうという姿勢で物事にのぞむさま」のことです。もともとは英語の「Constructive」を翻訳しています。
Constructiveの動詞である「Construct」は「建設する」という意味です。これは、建築や建設というもの以外に、前向きな考え方やアイデアを構築するという意味もあります。
そこから派生して、前向きな考え方や現場をより良くするときの姿勢のことを「建設的」といわれるようになりました。
「建設的」は、積極的、肯定的、発展的、計画的、前向きなどの言葉に言い換えられます。いずれも、ものごとを良くしていこうという、ポジティブな言葉です。
逆に反対語には、物事の進行を妨げるような「破壊的」「後ろ向き」「否定的」などの言葉が挙げられます。
合理的とは「目的に対して効率が良く無駄のないさま、道理にあっているさま」のことをいいます。建設的だけれど無駄があったり、道理には合っていなかったりすることもあるでしょう。
そのため、建設的だから合理的とはいえません。合理的でも、人の感情を逆なでしてマイナスに捉えられる意見もあるでしょう。建設的と合理的、似ているようで違う意味を持っており、二つを使い分けることが必要です。
「建設的」を使用した言葉の例として、次のようなものが挙げられます。
例 | 意味 | 使用方法 |
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建設的な関係 | 相手に対して、前向きな関係性を持ちたい場合に使用されます | ・あの会社とは建設的な関係を築いていきたいと思っています ・建設的な関係ができたおかげで、良い成果を出すことができました |
建設的な批判 | 建設的な批判はポジティブな面も取り上げつつ、改善のために必要な部分を示して意見をする場合に使われます | ・全体的にはとても良いと思います。建設的な批判を申し上げるならば、この部分はもう少し改善の余地があると考えられます |
建設的な話し合い | 今起きている問題点や課題に対して、現状を変えるために前向きな気持で取り組む話し合いを行うときに使います | ・今起きている問題に対して、建設的な話し合いを行って解決策を見出しましょう |
会議で建設的な意見を交わすことで、次のようなメリットを得られる可能性があります。
以下で詳しく解説します。
建設的な意見を出し合うことで、気持ちがポジティブになり、新しいアイデアが出やすくなります。これは脳の仕組みによるもので、特に内発的なモチベーションが高まると、創造性が高まることがわかっています。
建設的な意見により、ポジティブな感情が全体的に高まることで、会議で決まったことに対して「やってやろう!」という気持ちが湧いてきます。これがチームのやる気を高めることになり、成果を生み出すのです。
異なる意見に対しても、お互いを批判、否定するのではなく建設的に根気強く意見を出し合うことで、より良い合意点を見出すことができます。これは、同じ目的をしっかりと持つことで可能になります。
具体的にどのような伝え方を行えば、建設的な意見になるのでしょうか。ここでは、その方法についてお伝えします。
建設的な意見を伝えるためには、まず相手の意見や、相手の行為、相手そのものの良い点を伝えることが大切です。そのうえで、改善した方が良い点を伝えると、否定的なメッセージにならずに前向きな改善行動として受け止めることができます。
建設的な意見の具体例 |
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この意見はとてもまとまりがあります。さらに、具体例があるともっと、わかりやすくなると思います |
Iメッセージを使うと、批判的になりにくい「建設的な意見」を伝えることができます。Iメッセージとは、「私は」を主語にした言い方のことです。Iメッセージを使うことで、決めつけではなく、あくまでも「私がこう考えた」という形になるため、意見に対しての批判が出にくくなります。
建設的な意見の具体例 | |
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悪い例 | これは具体的な視点が抜けています |
良い例 | この件について、私は具体的な視点が抜けていると思います |
相手の意見に対して「でも」や「しかし」などの否定語を用いて意見を伝えると、相手も否定的な感情が高まり、結果的に破壊的な意見を交わしてしまう羽目になります。
まずは相手の意見を「そうなんですね」と否定をせずに受け止め、そのうえで「私はその件についてはこう考えています」というように伝えてみましょう。
すると、相手も同じようにこちらの意見を受け止めてくれるようになり、建設的な話し合いを行うことができます。
建設的な意見の具体例 |
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この件について、御社のお考えはこのようなことなのですね。それに対して、弊社の意見はこちらのようになります。 |
ここからは、建設的な会議を円滑に進めるための五つのポイントを紹介します。
ポイントを押さえて、建設的な意見が活発に飛び交う会議を目指しましょう。
何のための会議なのか、会議の目的を明確にし、会議開催前に参加者にきちんと伝えておきましょう。そうすることで、会議での方向性が一致し、目的に向かって建設的な意見を出し合うことができます。
会議の目標とは、どのような結論が出れば終わりなのか、そのゴールを示すことです。目標がきちんと定まっていると、そこに向かっていこうという気持ちが一致し、無駄な話しや否定的な話しを避けることができます。
会議には流れがあります。それぞれの流れでどの程度時間をかけるのかをあらかじめ決めておき、その時間を管理しながら会議を進めると、円滑な話し合いが行えます。
会議の議題と、そこにどの程度時間をかけるのかを、あらかじめアジェンダとして決めて参加者に提示しておきましょう。そうすることで、参加者も時間を意識して会議を進めてくれるようになります。
出てきた意見は、必ず全員が見えるように、ホワイトボードなどに記録を残しましょう。そうすることで、今何を議論しているのかが明確になるうえに、書かれたものから新しい発想を生み出しやすくなります。
また、みんなが見えるように書くことで共通認識となり、同じ方向を向いた会議を行いやすくなります。
意見をホワイトボードなどに書く場合、「◯◯が✕✕ですね」と意見を復唱して確認を取りながら行いましょう。発言者の意図と記録する人の受け止め方が一致しているかをその場で確認することで、記録の間違いを防げます。
また、最終的な結論について、会議の最後に必ず確認を行いましょう。そうすることで、参加者の意識に残りやすく、満足感も高まります。
建設的な意見を会議で交わすことによって、みんなが前向きになり、決まったことに対して行動意欲も高まってきます。その結果、組織が活性化しより良い成果を生み出すことにつながっていくでしょう。
会議は、相手を否定してやり込める場ではありません。お互いの意見を出し合い、目的に向かって成果を出す場です。そのためにも、会議では建設的な意見を出し合うことを心がけ、組織をより活性化していきましょう。
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