目次

  1. 水害とは
  2. 経済・生活面の支援
    1. 災害弔慰金・災害障害見舞金
    2. 被災者生活再建支援制度
    3. 災害援護資金
    4. 税金や保険料等の減免・支払猶予
    5. 被災者(個人・個人事業主)の債務整理支援
  3. 住まいの確保・再建のための支援
    1. 災害復興住宅融資(建設・購入・補修)
    2. 住家の被害拡大防止のための緊急修理(ブルーシート展張)
    3. 日常生活に必要な最小限度の部分の修理(住宅の応急修理)
  4. 農林漁業・中小企業・自営業への支援
    1. 日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫による資金貸付
    2. 小規模事業者経営改善資金(マル経融資)
    3. 生活衛生改善貸付
    4. 災害復旧貸付
    5. セーフティネット保証4号・災害関係保証
  5. 相談窓口
    1. 事業資金相談ダイヤル
    2. 法的トラブル解決のための総合案内所(法テラス)

 国土地理院によると、水害とは、大雨や台風などの多量の降雨によって引き起こされる災害です。梅雨期の大雨や台風などにより、平年の1ヵ月の雨量を超えるような雨が短時間で降ると、河川の急激な増水などにより社会生活に大きな影響を及ぼす河川の氾濫や山崩れなどの災害が発生します。

 関連する災害として、一般的には河川から水があふれ、氾濫することを洪水といいます。洪水による氾濫や大雨によって、排水能力を超えて、住宅や農地に水が浸かることを浸水といいます。

 水害は、①台風や豪雨等の自然現象そのものの特性、②その現象が見られる土地の性状、③防災に関する社会経済的な対応、最近ではこれらに加えて④人工改変が組み合わされて発生します。

 度重なる水害被害に対し、政府は様々な支援制度を設けています。

 内閣の公式サイトに掲載されている被災者に対する支援制度の一覧によると、被災後の生活資金や当面の資金が必要な場合に活用できる制度として、以下のようなものがあります。

 災害の遺族には災害弔慰金が、重度の障害を負った方には災害障害見舞金が支給されます。生計維持者が死亡または重度の障害を負った場合、最大でそれぞれ500万円、250万円が支給されます。

 住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対し、支援金(全壊でも最大300万円)が支給されます。この支援金は使途が限定されず、自由に活用できる点が特徴です。

 負傷や住居・家財の損害を受けた人が生活再建に必要な資金を借り入れできる制度です。住宅の全壊で最大350万円の貸付が可能です。所得制限があるため注意が必要です。

 地方税(個人住民税、固定資産税など)や国税(所得税、予定納税など)、医療保険、介護保険、国民年金、確定拠出年金、厚生年金基金、国民年金基金の保険料・掛金について、減免や納付期限の延長、支払猶予などの措置が講じられることがあります。

 住宅ローンの個人や事業に必要な資金を借りている個人事業主で、返済が困難になった場合、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を利用することで、破産手続きによらず債務の免除・減額を申し出ることができます。この制度のメリットは、財産を一部手元に残せることや、債務整理が個人信用情報に登録されないこと、弁護士等の専門家による支援を無料で受けられる点です。

 被災した住宅の状況に応じて、様々な支援制度が用意されています。

 独立行政法人住宅金融支援機構が提供する融資で、罹災証明書が交付された方が住宅の建設、購入、または補修を行う際に利用できます。土地取得資金がある場合の融資限度は原則5500万円、返済期間は原則35年となります。

 屋根や外壁などに損傷があり、雨水の浸水が避けられない住家に対して、ブルーシートなどの資材提供や、修理業者による展張などの緊急修理が実施されます(限度額5万3900円)。

 中規模半壊、半壊、準半壊などの被害を受け、自ら修理する資力がない世帯に対し、居室や台所、トイレなど、日常生活に最低限必要な部分の応急的な修理が行われます。大規模半壊等で最大73万9千円、準半壊で最大35万8千円が修理限度額です。

 農林漁業・中小企業・自営業への支援制度もあります。

 災害により被害を受けた農林漁業者や中小企業・小規模事業者に対し、事業復旧のための運転資金や設備資金を融資します。

 小規模事業者経営改善資金(マル経融資)は、商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受ける小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度です。貸付限度額は2000万円です。

 生活衛生改善貸付は、、生活衛生同業組合又は都道府県生活衛生営業指導センターの実施する経営指導を受ける生活衛生関係営業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度です。貸付限度額は2000万円です。

 災害により被害を受けた中小企業・小規模事業者等に対して、日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫が事業復旧のための運転資金及び設備資金を融資します。国民生活事業の貸付限度額は貸付制度ごとの貸付限度額に上乗せ3000万円、中小企業事業の貸付限度額は1.5億円以内とされています。

 自然災害により経営に支障が生じている中小企業者向けに、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で保証を行い、資金調達を円滑化します。間接的な被害を受けた事業者も対象となる場合があります。

 被災後の様々な困りごとに対し、専門の相談窓口が設置されています。

 事業資金相談ダイヤルは、中小企業、小規模事業者及び農林漁業者向けの融資制度やお申込み手続き等に関する相談を受付けています。

 受付時間は平日9時から17時まで(小規模事業者の方は、平日9時から19時まで)、0120‐154‐505へ。

 無料法律相談や弁護士費用の立替えなど、経済的に余裕のない方が法的トラブルに直面した際に支援を行います。法テラス・サポートダイヤルは0570-078374へ。