2025年度業務改善助成金、第2期の申請は最低賃金の引き上げ前日まで

2025年度の業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内最低賃金を30円以上引き上げつつ生産性向上に資する設備投資を行う際に、その費用の一部を国が助成する制度です。助成額は最大で600万円です。この助成金を申請する上で重要なのは、「賃金引き上げ」のタイミングと、それに連動する申請期限です。
2025年度の業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内最低賃金を30円以上引き上げつつ生産性向上に資する設備投資を行う際に、その費用の一部を国が助成する制度です。助成額は最大で600万円です。この助成金を申請する上で重要なのは、「賃金引き上げ」のタイミングと、それに連動する申請期限です。
厚生労働省の公式サイトによると、業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、同時に生産性向上に資する設備投資などを行った場合に、その費用の一部が助成されるものです。
最終的な助成金は、設備投資などにかかった費用に助成率をかけた金額と助成上限額を比較し、いずれか安い方が支給されます。最大で600万円(事業主単位での上限額)が支給される可能性があり、賃上げと経営改善を同時に進める事業者にとって魅力があります。
この助成金の対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業・小規模事業者です。
申請は、工場や事務所など、労働者がいる「事業場ごと」に行います。ただし、同一事業場での申請は年度内1回までとなっています。
第2期の業務改善助成金を申請する上で、注意点のひとつが、「賃金引き上げのタイミング」です。地域別最低賃金が改定される場合、その発効日の前日までに事業場内最低賃金を引き上げておく必要があります。
たとえば、10月1日に新しい地域別最低賃金(1000円→1050円)が発効される場合、発効日の前日(9月30日)までに事業場内最低賃金の引き上げ(1005円→1050円)を完了し、就業規則等にも事業場内最低賃金が1050円であると、定める必要があります。
また、複数回に分けての賃金引き上げは認められない点も重要です。引き上げ後の事業場内最低賃金額は、就業規則等に明記することも求められます。2025年度(令和7年度)の第1期の申請期間はすでに終了しており、第2期のスケジュールは以下の通りです。
第3期以降の募集については、厚労省の公式サイトで告知される予定です。事業完了期限は原則として2026年1月31日ですが、やむを得ない事由がある場合は、理由書の提出により2026年3月31日とできる場合があります。
助成の対象となるのは、生産性向上に資する設備投資等にかかった費用です。具体的には、以下のような経費が例として挙げられます。
助成額は、「設備投資費用×助成率」と「助成上限額」を比較して、いずれか低い方の金額となります。助成率は、申請事業場の事業場内最低賃金が1000円未満の場合が4/5、1000円以上の場合が3/4です。ただし、2025年度の地域別最低賃金の目安はすべての都道府県で1000円を超える見通しとなっています。
助成上限額は、引き上げる労働者数と事業場内最低賃金の引き上げ額(30円、45円、60円、90円の各コース)によって異なります。
事業場内 最低賃金の 引き上げ額 |
引き上げる労働者数 | 助成上限額 | |
---|---|---|---|
事業場規模 30人未満の事業者 | 左以外の事業者 | ||
30円以上 | 1人 | 60万円 | 30万円 |
2~3人 | 90万円 | 50万円 | |
4~6人 | 100万円 | 70万円 | |
7人以上 | 120万円 | 100万円 | |
10人以上 | 130万円 | 120万円 | |
45円以上 | 1人 | 80万円 | 45万円 |
2~3人 | 110万円 | 70万円 | |
4~6人 | 140万円 | 100万円 | |
7人以上 | 160万円 | 150万円 | |
10人以上 | 180万円 | 180万円 | |
60円以上 | 1人 | 110万円 | 60万円 |
2~3人 | 160万円 | 90万円 | |
4~6人 | 190万円 | 150万円 | |
7人以上 | 230万円 | 230万円 | |
10人以上 | 300万円 | 300万円 | |
90円以上 |
1人 | 170万円 | 90万円 |
2~3人 | 240万円 | 150万円 | |
4~6人 | 290万円 | 270万円 | |
7人以上 | 450万円 | 450万円 | |
10人以上 | 600万円 | 600万円 |
「引き上げる労働者数」の数え方にも特徴があります。事業場内最低賃金である労働者の賃金を引き上げた結果、賃金額が追い抜かれる労働者も、「引き上げる労働者」に算入されます。ただし、いずれも申請コースと同額以上賃金を引き上げることが条件です。
2024年度から2025年度にかけて、いくつかの主な変更点があります。
これらの変更点も踏まえ、最新の交付要綱・要領を必ず確認することが重要です。過去に業務改善助成金を活用した事業者も、再度対象となります。
不明点は、業務改善助成金コールセンター(0120-366-440、受付時間は平日9:00~17:00)へ。
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