金入健雄 かねいり・たけお

1980年青森県八戸市生まれ。「金入」の社長で、東北に根付いた暮らし方を紹介するメディア「東北STANDARD」や、東北の伝統工芸品を販売する「カネイリミュージアップショップ」などを手がける。「金入」は創業当時、イワシ油かすなどを販売していたが、健雄さんの祖父母の代で企業・学校向けの文具や書籍の販売を始め、現在の業態に変わった。2009年に金入さんが入社し、2013年に事業承継した。

新型コロナでクリエーター支援のサイトを開設

 新型コロナウイルスの影響で、東北地方は観光客が大幅に減っています。伝統工芸作家や地域のクリエイターは個人事業主がほとんどで、財務基盤は強くありません。収入が途絶えると、数か月で事業が成り立たなくなります。そこで、金入さんが立ち上げたのが、「オンラインの催事場」をイメージし、行き場のなくなった品々を集めて販売する「#tohokuru」です。

#tohokuruのトップ画面のデザイン

  「#tohokuru」で扱うのは、「祭りがあれば誰かに出会っていたはずの商品」です。旅行がかなわなかった人と地域の作り手をオンラインで結びました。例年春に東北で行われていたこけし祭りに出品されるはずだったこけしのほか、食材、食器、アクセサリー、インテリアなど#tohokuruには東北の作り手の品々が掲載されています。

 月に一度、約10日間だけ「予約注文」を受けつけ、約1ヶ月後に届けます。作り手のはげみになるよう、気に入った商品や届いた商品は「#tohokuru」とハッシュタグをつけてSNS上に投稿するようお願いしました。その結果、4月27日〜5月10日までの14日間に、2300点以上の予約が入り、ハッシュタグ「#tohokuru」はTwitterで70万ツイートされました。

作り手の一人、八戸南部裂織工房「澄」の井上澄子さん

 約1カ月後に商品を届ける「予約注文」としたのは、作り手が事前に在庫を抱える必要がなく、極めて少量生産の手仕事品も無理なく届けられるようにしたためです。顧客を待たせることになりましたが、逆に「待つ楽しみがあった」といった声も届いています。参加企業は100社を超えました。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。