入居費で資本金が半減でも1年で売上高1億円

 野田さんは大学卒業後、ベビー服メーカーの営業を経て「ガラケー」向けの広告代理店で売上高3000万円を30億円規模にまで拡大するなど華々しい記録を残してきました。時は折しもiPhoneの上陸前夜。「これからはスマートフォンの時代になる」と確信し、仲間と5人で新たな会社「アイハーツ」を立ち上げました。

 初めての起業だった野田さんは「会社員だった頃にはまったく想像もしていなかったことが次々に起こりました」と振り返ります。

 「私が貯めてきた800万円を資本金にしたのですが、いきなりオフィスの入居費用が400万円かかってしまったんです。一瞬にして資本金が半減したんですよ。事業を始めるとこんなにお金がかかるのか、と驚きました」

創業当時の野田社長(奥)

 外階段を誰かが上ってきたら揺れるような場所に当時の?オフィスを構え、会社としての形は整いましたが、それだけで仕事が入ってくるわけではありません。「さあ、営業がんばろう!」と皆、意気込んで出かけていきますが、来る日も来る日も暗い顔をして帰ってきます。

 「筋を通したかったので、前の会社のクライアントのところには絶対に営業に行っちゃダメだ、そういうのは嫌いだ、ゼロからやろうぜと綺麗事を言ってはみたものの、現実は営業先から『実績を作ったら来てください』と門前払いされることの繰り返しでした」

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