目次

  1. 人材紹介会社とは?
  2. 人材紹介会社の3タイプ
  3. 人材紹介の手数料相場は
  4. その他人材サービス業との違い
  5. 人材紹介会社を利用するメリット
  6. 人材紹介会社を利用するデメリット
  7. 人材紹介会社を利用する場合の主な流れ
  8. 人材紹介会社の選び方と注意点
  9. 採用を成功させるためのポイント
  10. 人材紹介会社の利用でよくあるトラブル
  11. まとめ

 人材紹介会社は、人材を募集している「企業」と職を求めている「求職者」をマッチングすることで利益を得る会社をいいます。人材紹介事業を行うには、「有料職業紹介業」として厚生労働省の許認可が必要です。

 現在日本には、多くの人材紹介会社が存在し、人材紹介ビジネスは成長を続けています。また多くの企業、求職者が人材紹介会社を利用しています。

 人材紹介会社は、サービスによって異なる3タイプに分けられます。

一般紹介型・一般登録型

 一般紹介型は、企業と求職者双方からの依頼にもとづき、それぞれの希望に沿う形で、最適な組み合わせを探し出すマッチングサービスです。求職者が自ら転職先を探す場合に利用されます。

一般紹介型は、企業と求職者双方からの依頼にもとづき、それぞれの希望に沿う形で、最適な組み合わせを探し出すマッチングサービスです。求職者が自ら転職先を探す場合に利用されます

サーチ型・ヘッドハンティング型

 サーチ型は、企業からの依頼にもとづき、最適な人材を探し出し、企業に紹介するサービスです。スカウトあるいはヘッドハンティングとも呼ばれ、転職を考えていない人でも人材紹介会社から声がかかることもあります。

サーチ型は、企業からの依頼にもとづき、最適な人材を探し出し、企業に紹介するサービスです。スカウトあるいはヘッドハンティングとも呼ばれます

再就職支援(アウトプレースメント)型

 再就職支援型は、リストラを進める企業からの依頼にもとづいて、リストラ候補社員を対象に再就職のための教育やカウンセリングを行い、さらに就職先の紹介をするサービスです。

再就職支援型は、リストラを進める企業からの依頼にもとづいて、リストラ候補社員を対象に再就職のための教育やカウンセリングを行い、さらに就職先の紹介をするサービスです

 求人企業は、人材紹介会社から紹介された求職者を採用決定した場合、成功報酬として採用した人の年収の一定割合(通常30~40%程度)を人材紹介会社に支払うことになります。その他に、着手金に加え中間と成功報酬を払う形もあります。

人材派遣会社

 人材紹介会社が人材を紹介してくれるサービスであるのに対し、人材派遣会社は必要な人材を一定期間、派遣してくれるサービスです。
 数か月から数年間といった必要な期間だけ人材が欲しいという場合は、人材派遣会社に依頼します。一方で、人材紹介会社の紹介で採用した人とは雇用契約を結ぶので、雇用期間の定めがないのが一般的です。

転職サイト

 人材紹介会社では、求人企業ごとに担当者が付きます。担当者は求人企業に関するさまざまな情報を有し、企業が欲しい人材を紹介してくれます。
 一方、転職サイトは、求人企業が希望する人材像をサイトに登録することで、求職者がサイトを経由して応募をします。したがって、必ずしも希望する人材像が応募してくるとは限りません。

ミスマッチが減る

 人材紹介会社は求職者の希望や経歴を聞き取り、企業が求める人材を紹介するので、企業側からするとミスマッチが減ることになります。

採用決定まで費用がかからない

 人材紹介サービスは成功報酬型なので、採用が決定して初めて成功報酬として費用が発生します。求める人材が決まるまでは費用が発生することはありません。

採用活動の負担を軽減

 人材紹介会社は膨大な人材情報を持っており、そこから希望に沿った転職希望者を紹介してくれるため、求人企業側は自分たちで全て実施するよりも効率的に採用活動を行うことができます。

非公開の求人も可能

 役員などの幹部候補を募集したい場合や極秘プロジェクトのメンバーを募集したい場合など、募集活動をしていることを秘密にしたい場合には非公開求人として採用活動を進めることができます。

成功報酬のため費用が割高になる可能性

 人材紹介会社の紹介により採用した場合は、採用した人の年収の30%から40%を成功報酬として人材紹介会社に支払います。結果として、直接採用した場合よりも費用が高くなる可能性があります。

採用活動が長期化する可能性

 自社の希望に合う求職者をなかなか紹介してもらえない場合は、採用活動が長期化する可能性があります。

採用ノウハウが自社に蓄積できない

 人材紹介会社の利用により、採用の手間は大幅に削減できる一方で、人事・採用担当者に採用ノウハウが蓄積されないというデメリットがあります。

人材紹介会社を選ぶ

 人材紹介会社にも業界や業種により得意な分野があります。まずは自社の業種をよく理解し、業界に強みをもつ人材紹介会社を選択してください。複数の人材紹介会社を選択しても問題ありません。

求人企業が募集したい人物像を人材紹介会社に伝える

 人材紹介会社を選択した後、いつまでに、どのような人材が必要か、提示する年収はいくらかなどを人材紹介会社に伝えます。人材紹介会社の担当者とは定期的にミーティングを行い、進捗状況や転職市場の動向などの情報を共有します。

求職者を人材紹介会社が求人企業に紹介

 求人企業の希望にマッチする人材がいた場合、人材紹介会社は企業に紹介し、面接などの日程調整を行います。

採用を検討する企業が求職者を選考

 求職者と面接を行い、企業側と求職者双方が希望にマッチするかどうかを確認します。

採用決定後、企業が成功報酬を人材紹介会社に支払い

 採用が決まれば雇用契約を締結します。ここで採用者の年収も決まりますので、その一定割合の成功報酬を人材紹介会社に支払います。

許可番号を明示しているか

 人材紹介を行うには、法律により厚生労働省から許認可を得る必要があります。許認可を受けた人材紹介会社に対しては、許可状と許可番号が付与される仕組みとなっています。人材紹介会社のウエブサイトなどで、許可番号がきちんと明示されていることを確認してください。

プライバシーを守っているか

 企業は採用活動をしていることを社内外の関係者に必要以上に知られないよう、人材紹介会社が個人情報保護に関する仕組みをきちんと構築していることを確認してください。

契約書の項目を確認

 上記に加え、契約内容を十分に確認し、理解したうえで契約するように注意してください。

自社の理解をしてもらう

 採用活動を成功させるためには、人材紹介会社に自社の業界・業種を十分に理解してもらう必要があります。自社の業界・業種を熟知している人材紹介会社を選択するとよいでしょう。

求める人材像を明確化する

 求める人材はどのようなスキル、経歴をもつ人かを明確にしなければなりません。そのうえで、求める人材像を人材紹介会社の担当者に伝えていきましょう。

人材紹介会社の担当者と信頼関係を築く

 人材紹介会社の担当者との信頼関係も重要です。連絡を密にとり、定期的に話し合いの場を設け、お互いの状況を確認し合うようにしてください。

紹介会社に選考後のフィードバックをする

 紹介された求職者の採否とともに、人材紹介会社に対する感想もフィードバックしてください。人材紹介会社のサービス向上につながり、求人企業にとってもメリットとなります。

求めている人材とは異なる人材を紹介される

 人材紹介会社は求人企業からの成功報酬で事業が成り立っているため、多少企業が求める人材と異なる場合でも紹介する可能性があります。結果として、採用活動がスムーズに進まないこともあるため、この点には注意が必要です。

人材紹介会社から人材の紹介が来ない

 自社の希望する人物像によっては、人材紹介会社から紹介が来ない場合もあります。人材紹介会社の変更を検討する、あるいは、求める人物像を見直すなどの対処が必要です。

採用後すぐに退職されてしまった

 採用した後、採用者がすぐに退職する場合もあります。人材紹介会社との契約においては、こういったことを想定し、契約内容に対処法を盛り込むといった対応が必要です。

 人材紹介会社を利用する際のポイントは、人材紹介会社の特長と自社の業界・職種との照らし合わせ、費用の採算は合うか、人材紹介会社との信頼関係の構築の3点にあります。人材紹介関連のサービスや記事も多いので、こちらも参考にしてみてください。

【監修】嶋田毅

グロービス出版局編集長、グロービス知見録編集顧問、グロービス経営大学院教授

グロービス経営大学院や企業研修においてさまざまな科目の講師を務めるほか、各所で講演なども行っている。また、書籍執筆等による情報発信に加え、グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを掲載するとともに、グロービスが提供する定額制動画学習サービス「グロービス学び放題」へのコンテンツ提供・監修も行っている。