ホームページのリニューアルのポイント 進め方と注意点をわかりやすく紹介
Web経由で新規問い合わせや受注を増やしたいときに自社のホームページはどうリニューアルすればよいでしょうか。リニューアルの進め方や注意点について、ワンストップでITシステムを開発する「アルサーガパートナーズ」でWebサイト、Webサービス開発に詳しいディレクターの星野智洋さんがわかりやすく解説します。
Web経由で新規問い合わせや受注を増やしたいときに自社のホームページはどうリニューアルすればよいでしょうか。リニューアルの進め方や注意点について、ワンストップでITシステムを開発する「アルサーガパートナーズ」でWebサイト、Webサービス開発に詳しいディレクターの星野智洋さんがわかりやすく解説します。
目次
―そもそもホームページをリニューアルすることで期待できるメリット・効果は何ですか?
ホームページとは、顧客を含めた自社を取り巻く関係者との接点です。リニューアルは、その接点を改善すること、と捉えるとよいでしょう。
ホームページのリニューアルは、ビジネス課題に合わせ、売上の向上や費用の削減が期待できます。
ホームページのリニューアルに期待できるメリットは2つあります。
結果、ビジネス課題の解決につながり、経営指標に貢献する媒体となります。どんな場面でメリットがあるのか、イメージしやすいよう具体例を紹介します。
たとえば、ECサイトであれば、商品の見せ方を改善することでより顧客の購買意欲を高めることが可能です。
さらにショッピングカートまでの導線を短くすることによって、いわゆる商品をカートに入れたまま離脱する「カゴ落ち」を防ぎ、購入率を高めるなどの工夫ができます。
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数ページくらいのコーポレートサイトでも、より自社の魅力、ブランドを反映したサイトにリニューアルすることで、潜在・見込み顧客に、自社や自社商品のブランド、アイデンティティをわかりやすく伝えることができ、問い合わせの獲得が期待できます。
採用強化に貢献することもできます。アルサーガパートナーズが自社の採用ページをリニューアルしたときには、社員へのインタビュー記事の導線を増やしたり、定量的な数字をコンテンツとして追加したりしました。
そして、SNS展開などの広報施策も組み合わせることによって、採用リード数を大幅に伸ばすことができました。
たとえば求人サイトを使う場合、数十万円の費用がかかる場合がありますが、公式サイトから応募者を獲得できれば、費用を削減できます。
ただし、自社ホームページからの応募者と求人サイトからの応募者属性が異なる可能性があるため、求人サイトへの出稿をすべてやめられるわけではありません。
―ホームページをリニューアルする上で進め方を教えてください。
「なぜ既存のサイトをリニューアルしたいのか?」を整理します。「ホームページのデザインが昔のものだから刷新したい」「ブログを投稿できるようにしたい」「スマートフォン対応にしたい」と考えることが多いでしょう。
その課題を深掘りし、「リニューアルすることでどんな結果を出したいのか?」を明確にすることで、リニューアルの目的を決めます。
つぎに、リニューアルに関する諸条件を確認します。たとえば、コンテンツの更新が簡単にできるCMS(コンテンツ管理システム)を使うか、サーバーを移行するか…など、技術的な制約を確認し、リニューアル後の環境を決めます。
「展示会に間に合わせたい」「プレスリリースに間に合わせたい」などの要望があれば、それに間に合うようにスケジュールを組んでいきます。
ただし、スケジュールが短すぎると、特急料金が発生する場合があります。そのため、「目立つ部分(たとえばトップページ)だけ先にやって、重要ではないページを後から更新する」といった工夫も検討しましょう。
「キーメッセージを出したい」「思いをアピールしたい」「商品を前面に出したい」など、リニューアルで解決したい課題に沿って、コンテンツの優先順位を決めます。
優先順位を決めることで、ビジネス課題をより解決でき、かつ、情報の重複が避けられます。統一感のある見せ方・伝え方ができるホームページにリニューアルできます。
サイト全体の設計はおもに2つのポイントがあります。
SEO効果(=検索エンジン最適化による新規流入増)をより高めたい場合はサイト構造が重要です。
ただし、数ページしかないようなサイトの場合は、SEOで大きく集客することが厳しいと考えられます。一旦は「検索エンジンに正しく情報を渡す」ということを目的に、開発会社と相談しながら、設計を決めるとよいでしょう。
Webデザイナーと相談しながらWebサイトのデザインを作りこんでいきます。開発会社から上がってきたデザインにフィードバックがある場合は、どんな小さなことでも、まとめて伝えると良いと思います。
「紙媒体とWebは違う」というのを頭に入れておきましょう。紙のデザインの場合は、改行ポイントや文字の大きさをしっかり考慮しなければいけないですが、Webの場合は、ブラウザ(画面の幅)次第で見え方や改行位置が変わります。
そのため、「自分のブラウザで綺麗に見えるかどうか」ではなく、「どんな端末でもある程度いい感じに見えるか」という視点でデザインを作っていくとよいでしょう。
コーポレートサイトの場合は、「自社にとってかっこいいデザイン!」ではなく、問い合わせや採用リードを獲得したいユーザー層に合わせ、考慮した上でのデザインができるようにしなければいけません。
開発会社が実装をします。実装は、文字の形や大きさ,段落,見出しなど文章の構造と体裁を指定する「マークアップ言語」を使ったり、社内の担当者がWebサイト構築の専門的知識がなくても運用できるCMS(コンテンツ管理システム)も見据えた画面作りをしたりする作業です。
すべての準備が整い次第、ホームページを公開します。
公開日は、週末を避けた方が良いです。なぜなら、金曜日にホームページを更新し、不具合が発生した場合でも、土日はすぐ対応できないことがあるからです。水曜日、木曜日などがおすすめです。
-ホームページをリニューアルするうえで注意点を教えてください。
次の3つのポイントができているかを時々振り返りましょう。
社内で更新を担当する人のITリテラシーに合わせて、リニューアル後の環境を考慮しましょう。
実際の事例としては「会社概要のページはあまり変わらないから、固定で良いです」と言われ、会社概要のページは固定でつくりました。
しかし実際に運用をはじめると、移転や沿革、従業員数など会社の動きがあり、たびたび更新する必要がありました。開発会社に更新を依頼する場合、契約内容によっては追加料金が発生します。
社内の担当者がWebサイト構築の専門的知識がなくてもCMS(コンテンツ管理システム)などで保守運用できるような環境を用意すると、保守費用の発生を抑えられる場合があります。
リニューアルしたサイトが具体化してくると、新しくやりたいことがどんどん出てくることがあります。しかし、追加するほど、当初よりも費用がかかり、スケジュールも後ろ倒しになります。
リニューアルのスケジュールを遅らせないためは、まず、当初の課題をもとに優先順位を決めて、「最初にやりたいこと」「後からでいいこと」をしっかり定義しましょう。「後からでいいこと」の場合は、リニューアル後に追加での実装も含めて検討しましょう。
-ホームページをリニューアル後に向けてどんな準備が必要ですか?
運用保守があります。おもに3つあります。
CMSになっていれば、会社、商品の変化に合わせて改修していきます。
自社で改修できない部分の改修・対応を実施します。たとえばCMS化されていない部分の更改(画像、文章 など)、ページの追加・編集・削除、障害対応などです。
ホームページを活用したWebマーケティング施策を行います。Webマーケティングの施策はさまざまですが、たとえば、下記の6つが挙げられます。
分析と改善では、Google Analytics(GA)やGoogle Tag Manager(GTM)を使って、集客状況や、問い合わせ状況の分析や、分析結果に基づいた改善を行います。
たとえば、採用ページを分析する場合、検索サイト経由で問い合わせが増えているのか、SNSからなのかなどあらかじめ仮説をもって分析をしましょう。もし仮説が外れていれば、たとえば問い合わせフォームまでの動線を改善し、改めてデータを確認するというPDCAを回すことが大切です。
-ホームページをリニューアルするうえで費用の見積もり方を教えてください。
ECサイトを持たない場合は、おおよそ以下のような感じで金額が決まります。
保守管理のどこまでを契約に含めるかによって費用発生の仕方が変わりますので、事前に打ち合わせておいてください。
アルサーガパートナーズ ディレクター
2017年、Web・アプリ・システム受託事業を自社一貫体制で手がけるアルサーガパートナーズへ入社。航空券予約や遠隔医療サービスのITエンジニアとして従事。2019年2月にWeb Frontend Divisionを立ち上げ、マネージャーに就任。2019年8月より大手不動産企業、ファッション業界のDXサービスなど多数ドメインにわたるWebサービス・開発のディレクションを手掛ける。
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