目次

  1. ワークフローとは?
    1. ワークフロー導入の業務改善例
  2. ワークフローを電子的に行うワークフローシステムとは?
  3. ワークフローシステム導入のメリット 紙にはない強み4つ
    1. ペーパーレス化による保管コストの低減
    2. オンライン承認による業務の効率化
    3. 情報の「見える化」による内部統制強化
    4. データへのアクセスの簡易化
  4. ワークフローシステム導入の手順
    1. ステップ1 対象となるワークフローの抽出
    2. ステップ2 承認ルートやルールの確認
    3. ステップ3 ワークフローシステムの選定
    4. ステップ4 ワークフローシステムの導入と設定
    5. ステップ5 運用開始
  5. おすすめのワークフローシステム4選
    1. ジョブカンワークフロー
    2. コラボフロー
    3. 承認Time
    4. X-point Cloud
  6. 競争力確保のためにもワークフローシステムの導入を

 ワークフロー(Workflow)とは、申請や承認などの仕事のプロセスをフローにしたものです。フローとは「流れ」という意味ですが、文字通り「ワーク」(Work)の「流れ」(flow)です。

 たとえば、パソコンを会社に買ってもらいたい場合、多くの会社では以下のような流れを辿ります。

購入申請者→直属部長(承認)→経理部長(承認)→総務部長(承認・購買)→パソコン注文

 この一連の流れがワークフローです。

 多くの会社では、「購入申請書」などの紙の書類に購入申請者が必要事項を記入して申請し、承認者が押印するなどして承認してゆきます。

 ワークフローを正しく運用することで、「誰の希望で」「どんな目的で」「誰の責任で」「何を購入したのか」を「見える化」できます。

 なお、一般的にはワークフローを導入することで、以下のような業務改善が可能になります。

  • 業務プロセスの効率化によって、業務オペレーション全体がスピードアップする
  • 情報の共有がスムーズに行われるので、不必要な確認作業がなくなる
  • 責任所在が明確になるので、不正を防止し、指示命令系統を強化できる
  • 予算管理の厳格化が図れるので、冗長予算を回避し、効率的な業務運営ができるようになる

 反対に、ワークフローを経ることなしに支出や購買などが行われるとどうなるでしょうか。

 社員がいつでも好きなものを好きなだけ購買できるとすると、会社的にはカオスの状態になるでしょう。特に物品購入費や接待交際費などは不正が発生しやすく、ワークフローでしっかりとチェックする必要があります。

 ワークフローとは、会社のリソースを管理するための「ルール」でもあるのです。

 多くの会社はワークフローを「稟議書」「申請書」「報告書」などの紙の書類で行っています。

 それぞれフォーマットが定められ、申請者名や申請内容が手書きで入力されています。また、承認者による承認は押印で行われるケースがほとんどです。

 一方、最近はワークフローを紙ではなく、電子的に行う会社も増えています。ワークフローを電子的に行う仕組を「ワークフローシステム」と呼びます。

 なぜ、ワークフローシステムを導入する企業が増えてきているのでしょうか。その理由は、紙にはない次の4つのメリットがあるからです。

  1. ペーパーレス化による保管コストの低減
  2. オンライン承認による業務の効率化
  3. 情報の「見える化」による内部統制強化
  4. データへのアクセスの簡易化

 上述したように、現在多くの会社がワークフローを紙ベースで行っています。

 そうした書類は印刷され、物理的に手渡され、承認されればファイルなどで保存されます。そのために使われる紙などの資源や保管スペースは膨大です。

 ワークフローシステムを導入することでペーパーレス化を実現し、そうした無駄を省くことができます。また、紙のように紛失してしまうリスクも削減できます。

 ワークフローを紙ベースで行う場合、承認者は申請書などを物理的に手にする必要があります。

 一方、ワークフローシステムではパソコンやスマホでオンライン承認ができるので、物理的な制約を受けなくなり、業務スピードもアップします。現在流行りの在宅ワークやリモートワークにも対応できます。

 ワークフローシステムを導入することで承認や決済のルールが「見える化」されるので、結果的に内部統制の強化につながります。

 それによって、不正支出などのリスクを低減し、社内のモラル維持が期待できます。

 紙ベースの場合、例えばある特定の稟議書を探すという場合、それを納めたバインダーなどを探り、物理的に探す必要があります。

 一方、ワークフローシステムの場合は検索システムを使って検索できるので、必要なデータへ簡単にアクセスできます。

 次に、実際にワークフローシステムを導入するときの手順をご紹介します。

 最初のステップは、ワークフローシステムの対象となるワークフローの抽出です。

 申請書や稟議書など、優先順位の高いものからリストアップし、承認ルートやルールなどをまとめておきます。

 数が多い場合は、段階的にリストアップするなどしてもいいかも知れません。まとめ方の具体例は次の通りです。

  • (交通費精算申請書)担当者→営業部長(承認)→経理部長(承認・支払)
  • (出張旅費仮払申請書)担当者→営業課長(承認)→営業部長(承認)→経理部長(承認・支払)
  • (高額備品購入申請書)担当者→営業課長(承認)→営業部長(承認)→担当取締役(承認)→取締役B(承認)→購買部長(承認・購買)

 次に、対象となるワークフローのそれぞれにおける承認ルートやルールについて問題がないか関係者と確認します。

 必要のない承認ポイントがあったり、別のルートにした方が効率が良くなるといった場合などは修正しましょう。

 ワークフローの承認ルートやルールが確認できたら、いよいよワークフローシステムの選定です。

 インターフェース、操作性、設定方法、セキュリティ、コストなど、自社にとって最適なものを選定して下さい。

 たとえば、とにかくスムースにワークフローシステムを導入したい企業は、インターフェースがわかりやすく操作性に優れたワークフローシステムを選ぶといいでしょう。

 また契約書などの機密文書をよく取り扱う企業は、情報漏えいのリスクが少ないセキュリティレベルの高いシステムを選択するのがおすすめです。

 ただ、当然機能が優れていればいるほど、コストもかかります。本当にその機能は必要なのか、という視点も忘れずに持つようにしましょう。

 なお、下記に筆者おすすめのワークフローシステムを紹介しています。

 マニュアルに従いながら、申請フォームの作成や承認ルートの設定などを行います。困ったときはベンダーのサポートを受けるようにしましょう。

 設定が終われば運用開始です。実際に使用を開始する前に、社員を対象に使い方の研修会などを行ってもいいかも知れません。

 また、困ったときに相談できる運用責任者をあらかじめアサインしておくこともポイントです。

 では、ここで筆者おすすめのワークフローシステム4選をご紹介します。

 DONUTSが開発・提供している、導入実績2万社のワークフローシステムです。インターフェースがユーザーフレンドリーでわかりやすく、簡単に設定や利用ができます。

 クラウドサインと連携可能で、社外と契約書をやり取りしているといったケースに打ってつけです。

製品名 ジョブカンワークフロー
開発元 DONUTS
利用形態 クラウド
特徴 ・ユーザーフレンドリーでわかりやすいインターフェース
・クラウドサインと連携可能
・有料で設定代行サービスも利用できる
おすすめの企業 ・とにかくスムーズにワークフローシステムを導入したい企業
・ITにそれほど強くない企業
・契約書などを社外とやり取りしている企業
料金 1ユーザー/月額300円~
※最低利用料金、月額5,000円

 ジョブカンワークフローの公式サイトはこちら。

 コラボスタイルが開発・提供しているワークフローシステムです。

 最大の特徴は、既存のExcelファイルをそのままWebフォームに変換し、申請フォームを作れる点です。

 また、サイボウズOffice、サイボウズKintoneと連携しているので、それらを使っている会社にはベストなシステムでしょう。

 クラウドだけでなくオンプレミスも提供しているので、セキュリティ確保のためにインターネットから遮断したいといった企業におすすめです。

製品名 コラボフロー
開発元 コラボスタイル
利用形態 クラウド・オンプレミス
特徴 ・Excelファイルを基に申請フォームが作れる
・サイボウズOffice、サイボウズKinetoneとも連携。サイボウズOfficeではシングルサインオンにも対応
おすすめの企業 ・Excelを使ったワークフローを運用している企業
・サイボウズ製品を既に使っている企業
・オンプレミスでワークフローシステムを構築したい企業
料金 1ユーザー/月額500円(クラウド)
※最低5ユーザーから

 コラボフローの公式サイトはこちら。

 SBIビジネス・ソリューションズが開発・提供しているワークフローシステムです。

 「社内文書の電子化に特化」したワークフローシステムで、プログラミングなしで簡単に導入できます。

 書式例も豊富で、これまでワークフローをあまり運営してこなかった企業におすすめです。無料トライアル期間も利用できます。

製品名 承認Time
開発元 SBIビジネス・ソリューションズ
利用形態 クラウド
特徴 ・プログラミングなしで簡単にワークフローシステムを導入できる
・無料トライアル期間利用可能で、1ID月額300円と低コスト
おすすめの企業 ・これまでワークフローをあまり運営してこなかった企業
・社内にITに詳しい社員がいない・少ない企業
料金 1ユーザー/月額300円
※最低10ユーザーから

 承認Timeの公式サイトはこちら。

 エイトレッドが開発・提供しているワークフローシステムです。

 導入実績3,500社以上、SaaS・ASP型ワークフローシステム出荷金額9年連続で一位を獲得しています。

 1,000以上のサンプルフォームが用意されていて、すぐにでも利用可能です。

 また、Sharepoint、Google Workspace、サイボウズOfficeガルーン、Kintoneなどの外部システムとの連携もできます。

製品名 X-point Cloud(エクスポイントクラウド)
開発元 エイトレッド
利用形態 クラウド
特徴 ・入力フォームなどのインターフェースがユーザーフレンドリーで、導入が簡単
・導入実績3,500社以上を誇る
おすすめの企業 ・比較的規模の大きな会社で、ITにそれほど強くない企業
・社内でやり取りする文書の量が比較的多い企業
・Google Workspace, サイボウズ製品などと連携させたい企業
料金 【スタンダードプラン】契約期間1ヶ月~
1ユーザー/月額500円
【プリペイドプラン】契約期間12ヶ月
1ユーザー/月額475円×12(年額一括払い)

 X-point Cloudの公式サイトはこちら。

 現在、日本は国をあげてペーパーレス化を進めていますが、この流れは今後さらに加速するでしょう。

 また、企業の生産性を高め、競争力確保のためにもワークフローシステムの導入は避けられません。まだ導入していない企業は、この機会にぜひ導入を検討して下さい。