目次

  1. 遠隔監視システムを選ぶときのポイント
    1. 収集したいデータはどのようなものか
    2. システムが既存設備に対応しているか
    3. 集めたデータは使いやすく利用できるか
    4. コストはどのくらいかかるのか
    5. メーカーサポートはどの程度か
  2. 目的別 遠隔監視システム比較9選
    1. 設備の稼働データを監視したいときにおすすめの遠隔監視システム3選
    2. 画像・映像データを収集したいときにおすすめの遠隔監視システム3選
    3. 既存設備にセンサを取り付けて監視したいときにおすすめの遠隔監視システム3選
  3. 遠隔監視システムを導入するときに知っておきたいこと
  4. 集めたデータをいかに活用できるか

 遠隔監視システムとは、現場の設備の稼働ログやデータ、または設置したセンサやカメラの測定情報を収集、それらを無線通信で送信して専用のサーバーに蓄積し、現場から離れた場所でも情報を監視できるようにするシステムです。

 導入を成功させるには、まずは自社内でどのようなシステムを構築したいのか、という落とし込みが大切となります。具体的には、以下のようなポイントに気をつける必要があります。

  • 収集したいデータはどのようなものか(データのみ、または画像や映像データを含むのか、データに何か処理は行うのかなど)
  • システムが既存設備に対応しているか(通信規格やセンサの設置場所など)
  • 集めたデータは使いやすく利用できるか

 もちろん一般的なシステム導入時と同様、以下のような問題もあります。

  • コストはどのくらいかかるのか
  • メーカーからどの程度サポートしてもらえるか

 設備の稼働ログのみだけで良い場合もあれば、センサからの測定データが必要なケースもあります。データの種類や設置する端末が複数に及ぶ場合、データ量は増大します。

 また、稼動ログではなくネットワークカメラを利用して画像や映像データを取得する場合、データ量は膨大となるため、開発・導入費や維持コストに影響を及ぼします。

 既存設備からデータを取得するためには、システムが設備の通信規格に対応し、データを正しく取得できることが必要です。

 設備が独自規格の場合はシステムが対応できなかったり、新規開発費が必要となることがあります。

 また、設置場所や電源の確保にも留意しなければなりません。 

 収集したデータのうち、稼動ログなどはそのまま利用することもありますが、大抵の場合は必要に応じ表やグラフ化を行う、データを基にアラームや別の設備に指示を出すといった処理が必要です。

 その際に、画面の見た目やデータの取り扱いといったUI(ユーザーインターフェース)が、現場の担当者にとって使いやすいかどうかが非常に重要になります。

 遠隔監視システムでは純粋なハード、ソフトの導入コストに加え、通信費やサーバー代金等の維持管理費についても考慮する必要があります。

 最近は初期費用は機器費用のみで通信費は2年間無料、といった試験導入用のサービスや、初期費用も無料で月額利用料のみで使用できるサービスもあります。

 遠隔監視システムはしばしば社内のシステムとどの程度マッチするのかわかりにくい面があるため、コンサルティングも合わせて行うメーカーも多いです。

 その場合、メーカーと二人三脚で、導入したい自社システムを遠隔監視システムに落とし込んでいく流れとなります。

 以下の目的別に、実際のソリューションを3つずつ(計9つ)比較していきます。

  1. 設備の稼働データを監視したいときにおすすめの遠隔監視システム
  2. 画像・映像データを収集したいときにおすすめの遠隔監視システム
  3. 既存設備にセンサを取り付け稼働データを監視したいときにおすすめの遠隔監視システム

 設備の稼働データを監視することで、設備のチョコ停や異常電流を抑えることができる遠隔監視システムです。

 収集したデータを分析し、故障箇所の検知や、より効率的な稼働に繋げることもできます。

YE DIGITAL「IoTスターターパック」

 LTE回線を利用して設備の稼働データを送信し、データ収集・分析を行うシステムです。分析結果は設備の稼働状況にフィードバックさせることができます。

 全てのシステムがワンパックで提供され、エンジニアリングサービスにより最適な機器構成になるようサポートを受けられます。

 細かいカスタマイズが不要なので、初めて遠隔観システムを導入する企業やシンプルなシステムを考えている企業におすすめです。

システム名 IoTスターターパック
特徴 セキュリティの高いLTE回線を利用して設備の稼働データの収集・分析ができる
データの種別 稼働データ
計測できるもの アナログ入力、デジタル入力、
シリアル(RS-232C、RS-485)、USB、
Ethernet、CAN
価格 要問い合わせ
開発メーカー YE DIGITAL
公式URL https://www.ye-digital.com/jp/product/iotm2m/iot_startarpack/

ハカルプラス「LoRa無線機」

 ノイズに強い920MHz帯を使用した無線通信で、クラウド通信費、サーバー費用等の月額利用料は一切不要のシステムです。

 RS-485に加えてアナログ入力やリレー入力にも対応しています。

 初期費用のみで利用できるので、システムを導入したいけど月額利用料がかかるのはちょっと…とランニングコストを気にされている企業におすすめです。

システム名 LoRa無線機
特徴 通信費などの月額利用料不要、多彩な入力に対応
データの種別 稼働データ
計測できるもの RS-485、アナログ信号、接点信号(無線端末により異なる)
価格 IoTゲートウェイ:170,000円(親機)
無線端末:48,000~65,000(子機)
開発メーカー ハカルプラス
公式URL https://energy-measuring.jp/solution-lora/

アスコ「PUSHLOG」

 LTE-M回線を利用したオールインワンの遠隔監視システムです。

 手のひらサイズの端末(小型ゲートウェイ)を製造設備の制御端末であるPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)に接続することで、設備の稼働データを監視することができます。

 非常に安価で2年分の通信費も込みですので、遠隔監視システムがどのようなものが試しに利用してみたい、という企業におすすめです。

サービス名 つけるだけIoT「PUSHLOG」
特徴 短時間でセットアップ可能。価格は2年間分の通信費・クラウドシステム費込み
データの種別 稼働データ
計測できるもの RS232C(PLC)またはRS485(ModbusRTU)から選択
価格 98,000円(2年間の通信量+クラウド利用料込)
開発メーカー アスコ
公式URL https://www.uip.usco.jp/about/pushlog

 画像や映像データも合わせて収集することで、稼働状態の検知をより確実にすることができる遠隔監視システムです。防犯対策にも効果的です。

iND「クラウド対応設備監視システム」

 設備の稼働データに加えてWebカメラで画像や映像データも取得できるシステムです。

 各データはWebブラウザを利用して閲覧することが可能。初期費用や導入後の運用管理費は不要で、月額料金のみで利用できるのも特徴としてあげられます。

 利用している周波数帯域はノイズに強い920MHz帯です。

 稼働データだけではなく画像・映像データも欲しいけど、初期費用は抑えたいという企業におすすめです。

システム名 クラウド対応設備監視システム Facility Assist for SaaS
特徴 設備の状態を稼働データとWebカメラの両面で確認できる。月額料金のみで利用可能
データの種別 稼働データ、画像・映像データ
計測できるもの 接点入力、アナログ入力、パルス入力
価格 要問い合わせ
開発メーカー iND
公式URL https://www.i-netd.co.jp/products/saas/facility_assist_saas/

東朋テクノロジー「見える化パッケージソフト設備稼働監視システム」

 設備のリアルタイムな稼働状況の「見える化」をサポートするシステムです。

 収集したデータをモニターにリアルタイム表示したり、遠隔の事務所でモニタリングができます。また収集したデータから帳票作成も可能です。

 設備の稼働状況をパソコンやスマートフォンで確認したり、帳票システムの更新も合わせて考えている企業に適しています。

システム名 見える化パッケージソフト設備稼働監視システム
特徴 設備の稼働状況をパソコンやスマホで視覚的に確認できる。帳票作成も可能
データの種別 稼働データ、画像データ
計測できるもの 設備の稼働データ(形式は要問い合わせ)
価格 要問い合わせ
開発メーカー 東朋テクノロジー
公式URL https://www.toho-tec.co.jp/products/m_pkg_setubi/

昱工業「ARMS-Pro」

 カスタムオーダーによる受託開発により、要望によって最適な無線回線から稼働データやネットワークカメラの接続、システム構築に対応しています。

 安価なパッケージタイプのシステムも提供しているため、必要に応じて選ぶことも可能です。

 様々なデータや画像・映像を組み合わせて、自社に最適なシステムを構築したい企業は検討されることをおすすめします。

システム名 ARMS-Pro
特徴 カスタムオーダー受託で様々な要望に対応
データの種別 稼働データ、画像・映像データ
計測できるもの アナログ入力、デジタル入力
価格 要問い合わせ
開発メーカー 昱工業
公式URL http://www.akira-k.co.jp/?page_id=1188

 センサを取り付けて設備の電流や振動、温湿度といったデータを収集し、稼働データと組み合わせて設備の稼働状態を監視できる遠隔監視システムです。

 設備の予期せぬ動作トラブルを防止・予防するのに適しています。

渡辺電機工業「watanabe IoT 遠隔監視ソリューション」

 ノイズに強い920MHz帯を使用した通信で、データをLTEを通してクラウドサーバに蓄積したり、Wi-FiによってPCやタブレット、スマートフォンを通して確認することができるソリューションです。

 設備の稼動ログに加えて各種センサを内蔵した端末もラインアップされているため、幅広いデータを取得することができます。

 稼働データやセンサの測定データを活用し、稼働状況だけでなく保守や劣化による事故の予防保全なども考えている企業におすすめです。

システム名 watanabe IoT 遠隔監視ソリューション
特徴 顧客のニーズに合わせてカスタマイズしたソリューションを提供
データの種別 稼働データ、センサーデータ
計測できるもの RS-485、デジタル入力、アナログ入力、各種センサ
価格 要問い合わせ
開発メーカー 渡辺電機工業
公式URL https://www.watanabe-electric.co.jp/iot/index.html

グリッドリンク「M2MSTREAM」

 3G/LTE回線を使用し、様々なセンサやデバイスと組み合わせることで多種多様なデータを取得できるシステムです。

 取得したデータはインターネット上に保存され、スマートフォンやPC、各種表示機で確認できます。

 稼働状況を遠隔地で確認し設備を停止させるといったソリューションもあります。

 稼働データや画像・映像データと、センサで測定したデータを組合わせて自社用に最適な形でシステム構築したい企業におすすめです。

システム名 M2MSTREAM
特徴 様々なセンサやデバイスを組み合わせることで多種多様なサービスが受けられる
データの種別 稼働データと画像・映像データ、センサーデータ
計測できるもの パトライトの点灯データやカメラからの画像・映像データ、各種センサデータ
価格 要問い合わせ
開発メーカー グリッドリンク
公式URL https://www.m2mstream.com/cando/

村田製作所「無線センシングソリューション」

 センサ開発の豊富な実績を元に独自開発したモジュールを利用することで、小型かつ低コストの監視システムを実現しています。

 モジュールは稼働データに加え電流、温湿度、振動センサを内蔵した中から選ぶことができます。サブGHz帯を利用しておりノイズにも強い回線です。

 低コストで稼働データやセンサデータを利用できるため、試験的にセンサシステムを導入したい企業におすすめです。

システム名 無線センシングソリューション
特徴 自社開発のモジュールを利用することで、低コストで監視システムを導入できる
データの種別 稼働データ、センサーデータ
計測できるもの リレー接点、パルスカウント、各種センサデータ
価格 要問い合わせ
開発メーカー 村田製作所
公式URL https://solution.murata.com/ja-jp/service/wireless-sensor/

 遠隔監視システムの導入により、現場で使用されている各種設備の稼働状況を把握し、チョコ停や電流の異常消費といった問題を抑える際に活用できます。

 導入する際は、検討しているシステムが既存設備に対応しているかを確認しておく必要があります。

 加えて、システム現場で利用しやすいように、データの表示や活用は現場に落とし込める内容なのか、異常アラームを出す際はどのように処置するのかをあらかじめ現場やシステム開発側と検討した上で導入しておけば、スムーズな活用に繋げることができます。

 またシステムによっては初期費用が数千円から利用できるものや、初期費用無料で月額利用料のみで利用できるものもあるので、そのような格安のシステムで試験的に導入するのが効果的です。

 遠隔監視システムはうまく利用できれば現場の作業効率アップが見込めますが、何も考えずに導入してしまうとかえって現場を混乱させてしまいます。

 既存設備の状況や現場の声を充分に聞き、収集するデータをどう活用したいのかを念頭においた上で、まずは安価で簡潔なシステムから導入し、使い勝手を考えていくのが良いでしょう。