目次

  1. 下請法とは わかりやすく言うと
  2. 下請法に違反するとどうなる?
  3. 下請法で禁止されていること
  4. 下請法の対象かどうか
    1. 取引内容
    2. 取引当事者の資本金
  5. 公正取引委員会が対策を強化する理由
  6. 中小企業向け相談窓口

 公取委のパンフレット(PDF方式)などによると、下請法とは、下請け会社に対し、発注後に下請代金の額を減らしたり、協賛金・値引き・歩引き名目で発注後に一定金額を下請代金から差し引いたり、事務手続きの遅れなどから下請代金の支払日を遅らせたりすることを禁止する法律です。

 正式には下請代金支払遅延等防止法といいます。

 親事業者が下請法に違反した場合には,公正取引委員会から,違反行為を取り止めるよう勧告されます。勧告されると、企業名、違反事実の概要などが公表されます。

 下請法で禁止されていることは次の通りです。

  • 受領拒否……注文した物品等の受領を拒む
  • 下請代金の支払遅延……下請代金を受領後60日以内に期日までに支払わない
  • 下請代金の減額……あらかじめ定めた下請代金を減額する
  • 返品……受け取った物を返品する
  • 買いたたき……類似品などの価格または市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定める
  • 購入・利用強制……親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させる
  • 報復措置……下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをする
  • 有償支給原材料等の対価の早期決済……有償で支給した原材料などの対価を下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりする
  • 割引困難な手形の交付……一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付する
  • 不当な経済上の利益の提供要請……下請事業者から金銭,労務の提供等をさせる
  • 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し……費用を負担せずに注文内容を変更し受領後にやり直しをさせること

 下請法の対象になるかどうかは、取引内容と、取引当事者の資本金の2つで決められています。

 下請法の対象となる取引内容は大きく分けて次の4つになります。

  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物作成委託
  4. 役務提供委託

 それぞれについて簡単に説明します。さらに詳しく知りたいときは、公取委のパンフレット(PDF方式)を参考にしてください。

製造委託

 製造委託とは、物品を販売または製造を請け負っている事業者が、規格・品質・形状・デザイン・ブランドなどを指定して、他の事業者に物品の製造や加工などを委託することをいいます。ここでいう「物品」とは動産のことを意味しています。

修理委託

 修理委託とは、物品の修理を請け負っている事業者がその修理を他の事業者に委託したり、自社で使用する物品を自社で修理したりしている場合に、その修理の一部を他の事業者に委託することなどをいいます。

情報成果物作成委託

 情報成果物作成委託とは、ソフトウェア、映像コンテンツ、各種デザインなど情報成果物の提供や作成を行う事業者が、他の事業者にその作成作業を委託することをいいます。

 情報成果物の代表的な例としては,次のものがあります。

  • プログラム
  • 影像や音声,音響などから構成されるもの
  • 文字,図形,記号などから構成されるもの

 物品の付属品・内蔵部品、物品の設計・デザインに関する作成物全般が含まれます。

役務提供委託

 役務提供委託とは、運送やビルメンテナンスをはじめ、各種サービスの提供を行う事業者が請け負った役務の提供を他の事業者に委託することをいいます。

 ただし,建設業を営む事業者が請け負う建設工事は,役務には含まれません。

 取引当事者の資本金の区分ですが、委託取引内容の区分によって対象となる資本金額が変わります。

下請法の適用対象となる資本関係
  1. 物品の製造
  2. 物品の修理
  3. プログラムの作成
  4. 運送・物品の倉庫保管・情報処理

 この4つの場合、資本金3億円超の法人と、資本金3億円以下の法人または個人事業者の間の取引は下請法の対象になります。

 また、資本金1000万円超3億円以下の法人と、資本金1000万円以下の法人または個人事業者の間でも下請法の対象になります。

  1. 放送番組や広告の制作、商品デザイン、製品の取扱説明書、設計図面などの作成などプログラム以外の情報成果物の作成
  2. ビルや機械のメンテナンス、コールセンター業務などの顧客サービス代行など、運送・物品の倉庫保管・情報処理以外の役務の提供

 この2つの場合、資本金5000万円超の法人と、 資本金5000万円以下の法人または個人事業者の間の取引は下請法の対象になります。

 また、資本金1000万円超5000万円以下の法人と資本金1000万円以下の法人の間でも下請法の対象になります。

 2021年度の地域別最低賃金の全国平均額は28円増の時給930円となりました。10月から適用されます。そこで、公取委などは買いたたき,減額,支払遅延などといった中小事業者等への不当なしわ寄せがないか情報収集を強化することにしています。

 具体的には情報収集を強めたり、相談窓口を設置したりします。

 中小企業向けの相談窓口は会社所在地によって分かれています。

北海道……北海道事務所下請課 011-231-6300(代)
東北地方……東北事務所下請課 022-225-8420
関東・甲信越地方……取引部企業取引課 03-3581-3375
富山県・石川県・中部地方……中部事務所下請課 052-961-9424
福井県と近畿地方……近畿中国四国事務所下請課 06-6941-2176
中国地方……中国支所下請課 082-228-1501(代)
四国地方……四国支所下請課 087-811-1758
九州地方……九州事務所下請課 092-431-6032
沖縄県……沖縄総合事務局総務部公正取引室 098-866-0049

 このほか、公取委はオンライン相談会も開催予定です。詳しくは公取委の公式サイト(PDF方式:103KB)へ。