目次

  1. 問い合わせ管理システムとは
  2. 問い合わせ管理システムのメリット
    1. 問い合わせ管理を一元化できる
    2. 顧客対応の漏れやダブりが防げる
    3. 基幹データベースとの連携による顧客管理が可能
  3. データ連携が可能な問い合わせ管理システム5選
    1. メールディーラー
    2. kintone(キントーン)
    3. UnitBase(ユニットベース)
    4. Re:lation(リレーション)
    5. AppSuite(アップスイート)
  4. 問い合わせ管理システム導入後にしておきたいこと
    1. ユーザーの自己解決力を高めるための仕組みづくり
    2. 顧客対応の定量的な把握
    3. 従来のルールの見直し
  5. 業務変革と顧客への提供価値を考えるきっかけに

 問い合わせ管理システムとは、コールセンターや店舗など顧客対応が必要な部署において、顧客との対応結果や対応過程を、部門の関係者同士でタイムリーに共有するためのシステムです。

 エクセルやスプレッドシートで問い合わせ管理をする企業もいますが、これらのツールには対応履歴の更新や対応過程が分からないデメリットがあり、詳細を残そうとすれば大変な手間がかかります。

 一方、問い合わせ管理システムは、誰が誰に対してどんな対応をして今どんな状況なのか、顧客対応の詳細な情報を自動で収集し、画面上にリアルタイムで、かつわかりやすく表示してくれるため、企業側の業務負担が軽減されます。

 また、そうした優先課題が解決されることはもちろんのこと、顧客対応によって得た情報を資産化し、企業のマーケティング活動が一層充実させることも可能です。

 問い合わせ管理システムの導入によって、次のようなメリットがあります。

  1. 問い合わせ管理を一元化できる
  2. 顧客対応の漏れやダブリを防げる
  3. 基幹データベースとの連携による顧客管理が可能

 電話やメールのほかにLINEの問い合わせなど使うチャネルが多岐に渡るとき、問い合わせのチャネル毎に管理をするのは、非常に煩雑になります。

 問い合わせ管理システムでは、それらの複数のチャネルを一元的に管理して、迅速かつ的確に対応することが可能です。

 顧客にとって利便性の高いチャネルで問い合わせができる様になっている反面、それを受ける企業側が呼応しきれないといった課題をシステムが解決してくれます。

 問い合わせ対応をGmailなどで行うケースがあるかと思いますが、その際、顧客への対応が完了した場合に独自に決めたフラグで管理することになります。

 フラグを付けないと誰が、いつ、どのような対応や返答を行ったのか判別できません。

 また、対応後に自動的にフラグがつくわけではないので、フラグ付けを忘れている場合、対応状況を関係者同士で都度確認し、漏れやダブりがないかチェックが必要となります。

 その件数が増えれば確認時間が掛かり、非効率な運営を余儀なくされます。

 問い合わせ管理システムを活用すると、対応の漏れやダブりを防ぐことが可能です。

 また、再対応が必要な場合にも担当者や部門を割り振ることができ、対応日時の指定をすることで顧客からの依頼に漏れなく応じることができます。

 時間に合わせてアラートが出る機能も実装されているため、返信漏れによるクレームも防いでくれます。

 企業によっては、Googleスプレッドシートで問い合わせ管理しているところもあるでしょう。

 スプレッドシートは同時編集が可能なため複数人で使用する場合には便利なツールです。しかし、管理するデータベース数、つまり顧客数が増えると容量が重くなります。

 シートやファイルを分けて管理して容量をコントロールすることもできますが、管理面の複雑さや煩雑さが生じます。その結果、ルールを周知しなければミスを誘発します。

 ある程度のデータ数ならスプレッドシートで管理するのは無料で使えるため有効ですが、規模の拡大に伴ってインフラを見直す必要はあるでしょう。

 また、企業によっては、顧客データベースシステムやECシステムなど用途に応じたシステムを導入しているケースもあるでしょう。

 しかし、各システムが独立していると、例えばひとつのシステムで情報更新を行ったら、それにあわせて別のシステムもひとつずつ更新していかなければいけません。

問い合わせ管理ツールがない場合の顧客対応の概念図

 問い合わせ管理システムであれば、例えば顧客データベースと連携させることができるので、顧客対応で得られた最新の顧客情報を元に顧客対応ができます。

 顧客から「この企業は私のことをわかってくれている」と信頼してもらえるようになり、サービス利用のメリットをより強く感じてもらえるようにもなるでしょう。

 これらの活動を通して、企業イメージの向上に寄与することが期待できます。

 問い合わせ管理システムを選ぶとき、顧客の問い合わせ対応という一面を捉えるだけではなく、システム導入によって顧客への提供価値を多角的に高められることを視野に入れることが重要だと筆者は考えます。

 それを実現させるためには、企業で活用している様々なデータを連携し、顧客情報そのものをリッチ化していくことが必要です。

 そこで、数多くある優良なシステムの中でも、データ連携を可能にする問い合わせ管理システムをご紹介します。

 また、問い合わせ管理システムを検討するにあたっては、問い合わせ対応の部署や人数が、10人を超えてくる場合はシステム化を検討する規模と捉えて良いと考えます。

 メールディーラーは、問い合わせ対応における機能が充実しており、導入実績No.1という点からも企業規模が大手から中小まで幅広く導入されている問い合わせ管理システムです。

 LINEといったSNSを使っていたり、楽天やYahoo!などでEC事業を展開していたりする企業におすすめです。

システム名 メールディーラー
提供会社 ラクス
特徴 ・対応の進捗状況を一目で把握でき、対応が必要なメールにすぐ気づける
・LINEや楽天、Yahoo!など連携できるシステムが豊富で多機能
料金 初期費用:50,000円~
月額費用:20,000円~
※使用する人数/メール数により変動

 メールディーラーの公式サイトはこちら。

 キントーンは、自社の基幹システムからマーケティングオートメーションツール、チャットツール、AmazonのAWSまで幅広い連携サービスが特徴です。

 業種業態を問わず、また大手から中小規模、官公庁まで幅広い導入実績があります。

サービス名 kintone
提供会社 サイボウズ
特徴 ・リマインド通知で対応漏れを防止できる
・モバイル対応で、いつでも対応状況などの把握ができる
・全ての機能を30日間無料でお試し可能
料金 初期費用:要問合せ
月額費用:1,500円/ユーザー 
※スタンダードコース(使用する人数/メール数により変動)

 キントーンの公式サイトはこちら。

 UnitBaseは、基幹システムとの連携がノンプログラミングで設定できるのが特徴です。そのため、連携に掛かる手間や工数が軽減されます。

 また、同時ログインライセンス数に応じた費用体系なので、従業員の多い様な企業にも費用的なメリットが大きいのが特徴です。

サービス名 UnitBase
提供会社 ジャストシステム
特徴 ・案件管理や顧客管理、問い合わせ管理など様々な用途に適用できる
・同時ログインライセンスを採用、利用者の数を気にせず全社展開できる
・組織の拡大に応じて柔軟にアクセス権の追加・変更ができる
料金 初期費用:要問合せ
月額費用:要問合せ

 UnitBaseの公式サイトはこちら。

 Re:lationは、コールセンターシステムやECシステム、CRMシステム、チャットツール、入力フォームまで幅広い連携が特徴の問い合わせ管理システムです。

 様々なツールを組み合わせて使っている企業に向いているシステムと言えます。

サービス名 Re:lation
提供会社 インゲージ
特徴 ・コメント共有によって、担当者の引継ぎがスムーズに行える
・時系列表示で瞬時に把握し、質の高い対応が可能
・対応もれを軽減するステータスの管理画面などが充実
料金 初期費用:50,000円
月額費用:29,800円
※スタンダードコース(10ユーザー使用の場合)

 Re:lationの公式サイトはこちら。

 AppSuiteは、基幹システムとの連携ができる他、同社が提供するdesknet’s NEOの標準アプリの連携も可能の問い合わせ管理システムです。

 また、企業の要望に応じてAppSuiteアプリ作成のサービスも提供しており、事業特性に対応できるのが特徴です。

サービス名 AppSuite
提供会社 ネオジャパン
特徴 ・紙・メール・Excelの社内業務を4ステップで社内システム化が可能
・顧客単位で可能な案件管理アプリなどと組み合わせが可能
料金 初期費用:要問合せ
月額費用:要問合せ
※サイト内で価格シミュレーションにて試算可

 AppSuiteの公式サイトはこちら。

 優れた問い合わせ管理システムを導入したとしても、うまく活用しなければ課題解決に結びつけることはできません。最後に、システムを導入後にしておきたいことを3つご紹介します。

 問い合わせ管理システムを導入すれば、問い合わせの履歴や内容の検索や管理がスムーズに行えるようになります。

 その際、得られた情報を活かして、サイトコンテンツやよくある質問を充実させてみましょう。

 ユーザー自身がその場で自分の疑問を解決できるような仕組みを作ることで、問い合わせ数を抑制し、担当者の負担をさらに減らせます。

 問い合わせ管理システムを実際に活用するうえで、大事なのは顧客対応の定量的な把握です。

 定量的な把握は、「顧客対応にどの程度の時間や工数が掛かっていたか」「その顧客対応で顧客満足は得られたか」などの情報をおさえることを言います。

 スプレッドシートやエクセル、Gmailなどの場合、顧客の対応件数を把握することはできても、そうした情報を把握することは極めて難しいものです。

 問い合わせ管理システムならそれが可能であり、例えば過去の対応実績を基にすることで対応時間の省力化に繋げられます。

 対応時間が削減できれば、1人当たりの対応数の増加が増えるでしょう。Webサイトに掲載する「よくある問い合わせ」のページのさらなる充実化も図れます。

 これらのことが、システム導入による生産性の向上とコスト削減の可視化、事業拡大に向けて適正な人員投資などの見通しの計画・実現にも繋がっていくのです。

 顧客の問い合わせ対応では、顧客自らが解決すれば何事もなく終わるような内容でも、こちらが問い合わせとして受けたことで顧客の真意やニュアンス、意図を確認もしくは汲み取る必要性が生まれた、という場面がしばしばあります。

 例えば「商品Aの特徴はなにか」というよくある内容でも、こちらが問い合わせとして受けたら、「この顧客が特徴を聞いてくる理由はなにか」「どう答えるのが正解なのか」考えなければいけません。

 返答の内容や仕方によっては、顧客からの信頼感を失うという印象を与えることになるため、極力避けたいところです。

 ただ、ある問い合わせによって、次から同じことが起きないように顧客対応ルールを決めて対策を講じる……ということを繰り返した結果として、様々なルールを増やすことが往々にしてあります。

 そのため、問い合わせ管理システムの導入とあわせて、従来から決まっていたルールを改めて見直すことをおすすめします。

 改めて見直したルールがシステム導入によって管理体系化されれば、不必要な業務が明らかになり、よりコスト削減や顧客対応の充実に繋がるでしょう。

 スプレッドシートやエクセル、そしてGamilなど無料ツールを使うことから脱却する意義は、顧客への提供価値の向上を目指すことです。

 顧客対応の合理化は、顧客対応の迅速化だけでなく「顧客の期待を超える」企業活動を実現しますが、現行運用においてもそれは可能かもしれません。

 しかし、事業規模やビジネスの変化に応じて、問い合わせ管理システムという”道具”に費用を投じることは、顧客への提供価値を高めるための投資であると筆者は考えます。