クラウドサーバーとは?他サーバーとの違い、選び方、おすすめを紹介
クラウドサーバーとはインターネット越しにサーバーを共有するサービスです。使った分だけしか費用が発生しない、数十秒でサーバー構築できるといったメリットがあります。本記事でクラウドサーバーの特徴を従来のサーバーと比較しながら解説し、無料で始められるクラウドサーバー3つをご紹介します。
クラウドサーバーとはインターネット越しにサーバーを共有するサービスです。使った分だけしか費用が発生しない、数十秒でサーバー構築できるといったメリットがあります。本記事でクラウドサーバーの特徴を従来のサーバーと比較しながら解説し、無料で始められるクラウドサーバー3つをご紹介します。
目次
「クラウドサーバー」とは、インターネット越しにサーバーを共有するサービスです。
「クラウド」という言葉は、よく「インターネット」や「ネットワーク」と混同されがちですが、実際にクラウドは技術ではなく、ビジネスモデルです。
車を共有するビジネスモデルというと、レンタカーやカーシェアリングがあるように、ITリソース(ハードウェアやソフトウェア)をインターネット越しに共有するビジネスモデルを「クラウド」と言います。
クラウドでどこまでのリソースを共有して提供するかにより、クラウドをIaaS、PaaS、SaaSに分けることができます。
クラウドではない、全てのITリソースを手元に置くオンプレミス環境では、ユーザーがハードウェアを所有し、その上にOS、ミドルウェア、ソフトウェア、データなどをすべて自分で所有しながら管理します。
IaaS型のクラウドですと、ハードウェア及び仮想化をクラウド事業者が所有し、管理します。ユーザーはOS及びOS上のソフトウェアやデータを管理します。
一方PaaS型となると、OSとミドルウェアまでクラウド事業者によって提供され、ユーザーの管理できる範囲が狭くなります。
SaaS型までになると、アプリケーションまでクラウド事業者のもので、ユーザーはデータのみ管理することになります。
管理できる範囲が狭くなると、確かに若干自由度が低くなりますが、システムの構築や運用に時間やコストを費やすことが減り、より業務に集中することができます。
このメリットが大きいのでみんながクラウドに移行しているわけです。これは、車を買うとき、自分でパーツを調達し自分で車を組み立てる人がほとんどいないのと同じです。
クラウドサーバーは、定義が曖昧で一概に言えませんが、IaaS型もしくはPaaS型のクラウドサービスに該当します。
IaaS型のクラウドサーバーでは、クラウド事業者がサーバーのフル機能を提供します。
ユーザーから見ると、あたかも自分の専用サーバーであり、管理者権限でサーバーのOSにログインして、ソフトウェアをインストールしたり、システムの設定を変えたりすることができます。
一方、PaaS型のクラウドサーバーだと、OSとミドルウェアはクラウド事業者の管理下にあります。
ユーザーは、OS・システム全体に対する管理権限がなく、あくまでも割り当てられたサーバーの「一部」をいじることができます。
これだけを読むと、IaaS型のほう権限が高く、管理できる範囲が広いので良さそうに見えるかもしれません。
しかし、前文でも説明したように、管理できる範囲が広い=管理しなければならない範囲が広いということになるので、IaaS型の場合OSのパッチ適用、ソフトウェアバージョンのメンテナンスなどの作業もユーザー自身で対応する必要があります。
本当にOSレベルまでのカスタマイズ、自由度は必要なのか?とよく検討した上で選定したいものです。
総務省が公開している令和3年版「情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は約7割となっています。
さらに、調査会社のIDCから、クラウドサービス市場の2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR)は19.4%に達し、2025年の市場規模は2兆5,866億円になるとの予測が出ています。参考:国内パブリッククラウドサービス市場予測(2021年3月版)
クラウドの利用が増えているのは、クラウドのユニークなメリットがたくさんあるからです。
ここで、クラウド上のサーバーである「クラウドサーバー」のメリットにフォーカスして、ご紹介します。
通常、システムを構築する際に購入するサーバーは、最低でも1台あたり数十万円の初期投資が必要になります。
しかしクラウドサーバーの場合、1台あたり月額数千円です(スペックにより価格が異なります)。
また、経営の観点から見ると、設備投資などのCAPEXを極力抑え、費用化つまりOPEX化することによって、経営リスクを低減することができます。
クラウドサーバーの場合、サーバーが稼働している時間帯にのみ課金されます。つまり、クラウドサーバーをシャットダウンしておけば、費用が発生しなくなります。
こちらは、24時間稼働させるサーバーが少ない中小企業において、かなり重要なポイントです。
スモールスタートで構築したシステムは、業務のニーズに応じて拡大もしくは縮小することがあります。
これはIT用語でいうと「スケールアウト」「スケールイン」と言います。
例えば、スキー場のWebサイトですと、冬になるとアクセスが増加し、春になるとアクセスが減少します。
これまでのサーバーは、ピーク時の負荷に耐えられるよう構成するのが一般的でした。
スキー場のWebサイトであれば、冬場に5台程度のサーバーが必要だとしたら、それに合わせて5台のサーバーを導入し稼働させます。
ほとんどアクセスされない夏場でも当然ですが、5台のサーバーが稼働し続けることになり、無駄が生じます。
一方、クラウドの場合は「弾力性」と「拡張性」の性質を持っており、負荷に応じて自動的にクラウドサーバー台数の増減をしてくれる機能があります。
稼働中のクラウドサーバーの台数分だけ課金されるため、コスト削減に繋がります。
通常、サーバーを購入したら数週間後に納品されます。
クラウドサーバーの場合、ブラウザで数クリックし、わずか数十秒でクラウドサーバーが出来上がるので、事業環境の変化により迅速に対応できるようになります。
オンプレミスでサーバーを導入した場合、故障時の切り分けや、メーカーへの修理依頼など、管理運用が必要です。
クラウドサーバーの場合、ハードウェアをクラウド事業者が管理するため、運用管理の手間が省けます。
「クラウドはインターネット上にあるので、セキュリティに弱い」と考えるかもしれませんが、事実はその逆です。
オンプレミスでサーバーを構築しインターネットに接続する場合、ファイアウォールなどのセキュリティ対策を講じる必要がありますが、中小企業の場合セキュリティ専門家不在などの理由で、対策が不十分なケースが多く見られます。
一方、例えばAWSの場合は、Webサイト用のファイアウォールや、DDoS攻撃対策、ログ管理などの機能が予め用意されていて、専門家がいなくても数クリックだけで高度なセキュリティ対策を講じることができ、サーバーを守ってくれます。
そのため、結果的にオンプレミスよりも、クラウドのほうがよりセキュアという結果になります。
クラウドサーバーのメリットをご紹介しましたが、クラウドサーバー利用時の留意点もあります。
従量課金が故に発生する課題で、コストを精確に予測することは難しいです。
例えばAWSのクラウドサーバー「EC2」の場合、稼働時間だけでなく、サーバーからインターネットに転送したデータの量も課金対象になっています。
サーバーの稼働時間は事前に決められますが、どれくらいのデータがダウンロードされるかはなかなか予測できません。
AWSの場合、料金シミュレーションツールや、利用料金が一定金額を超えたときに警告メールを自動的に送信するなどの機能があるので、ユーザーのコストに関する不安を少しでも和らげることができるかもしれません。
AWSは、現在クラウドサーバーのEC2を含め、200近くのクラウドサービスを提供しています。
ユーザーは、AWSのクラウドサービスを使えば使うほどその便利さに惹かれ、クラウドサーバーだけでなく、クラウドストレージ、AI、ビッグデータ解析など、次々とAWS上でシステムを構築していくようになります。
ただ、もし、AWSのクラウドサービスをふんだんに使用して、AWSをベースに構築したシステムを、他のクラウド、もしくはオンプレミスに移行しようとしたら、結構な費用と時間がかかることを覚悟しておく必要があります。
クラウドサーバーについて、よく疑問を抱くのは、今までのオンプレミスのサーバーや、ネット上のVPSなどのレンタルサーバーと比べて何が違うのかです。
歴史的な流れで見ると、インターネットが普及するまでは、当然ながらオンプレミスのサーバーしか存在しませんでした。
その後、インターネットが普及し、インターネット上のレンタルサーバーが主流になりました。
特にレンタルサーバーの中のVPS(仮想専用サーバー)は、クラウドの「PaaS型」に近いイメージで使いやすく人気を博しました。
では、なぜVPSなどのレンタルサーバーからクラウドサーバーに置き換わろうとしているでしょうか?
VPSと比較したときのクラウドサーバーの優位性は、「クラウドサーバー単体としての優位性」と「クラウドサーバーを提供するクラウドの優位性」の2つの側面から考える必要があります。前者は、こちらの表でまとめています。
物理サーバー(買い取り) | 物理サーバー(レンタル・リース) | VPS/オンラインレンタルサーバー | クラウドサーバー | |
---|---|---|---|---|
コストの種類 | CAPEX | OPEX | ||
料金体系 | なし | 定額 | 定額 | 従量課金 |
ハードウェアの保守とメンテナンス | 要 | 要 | 不要 | 不要 |
自由度 | 非常に高い | やや低い | やや高い | |
耐障害性 | 構成次第 | 低い | 高い |
※CAPEXとは設備投資を意味し、OPEXとは事業運営費を意味する
結論としては、やはりVPSと同様にハードウェアの保守・メンテナンスの手間を省けるのと同時に、VPSよりも柔軟な従量課金、VPSより高い自由度と耐障害性が魅力的ではないでしょうか。
また、「クラウドサーバーを提供するクラウドの優位性」というのは、VPSの場合、VPS事業者はVPSサーバーのみ提供するのは一般的ですが、クラウドサーバーを提供するクラウド事業者は、クラウドサーバー以外にたくさんのクラウド上のサービスを提供し、クラウドサーバーと連携することができます。
例えばAWSの場合、200近くのクラウドサービスを提供しています。
筆者は、日頃大手企業のクラウド移行のコンサルティングを担当していますが、大手企業がAWSなどのクラウドを利用する際に、クラウドサーバーのみ利用するというケースは1個もありません。
必ずクラウドサーバーとともに、他のクラウドサービスも合わせて利用し、システムの最適化を図っているのです。
クラウドサーバーを提供するクラウド事業者は、グローバル企業のAmazon、Microsoft、Google、IBMなどと、日本企業の富士通、IIJ、IDCフロンティアなどがあります。
ここでは、クラウドサーバーを無料でスタートできて、マーケットシェアも高く信頼できる3社のIaaS型クラウドサーバーをピックアップしてご紹介します。
Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)は、Amazon社のクラウド「AWS」が提供しているクラウドサーバーです。
AWSもとはAmazon社が社内向けに作られたサービスで、2006年から一般公開された最も古いクラウドサービスの一つです。
Amazon EC2は、Windows ServerやUbuntu Linuxなど十数種類のOSをサポートしており、数十種類のインスタンスタイプ(サーバーのCPU、メモリなどの構成パターン)をサポートしています。
また、他のクラウドサーバーにまだない機能を先んじて提供することが多く、まさにクラウドサーバー業界のリーダーといえるでしょう。
操作画面はほぼすべて日本語対応しており、日本語サポートも充実しています。
なお、Amazon EC2では、クラウドサーバーのことを「EC2インスタンス」と呼んでいます。
EC2インスタンスには、新規にユーザー登録したアカウントの最初の12ヶ月間の間に、毎月750時間の無料利用枠があります。
これは、例えば1台のEC2インスタンスを24時間稼働させる場合、最大でも24 x 31 = 744時間なので、1台のEC2インスタンスを丸々12ヶ月間無料で使えるということになります。
もしくは、1日8時間しか使わない場合、最大3台のEC2インスタンスを12ヶ月間無料で使えます(3 x 8 x 31 = 744 < 750なので)。
ただし、こちらの無料利用枠には条件があり、OSはWindows、Amazon Linux、RHELなどに、またインスタンスタイプはスペックの低いt2.microもしくはt3.microに限り適用されます。
無料枠の利用可能要件 | ||
---|---|---|
OS | WindowsやAmazon Linuxなど | |
インスタンスタイプ | t2.micro | t3.micro |
CPU | 1個 | 2個 |
メモリ | 1GB | |
ネットワーク性能 | 低から中 | 5Gbpsまで |
EBS(ストレージ) | 合計30GBまで |
Microsoft Azureは、Microsoft社が2010年に正式リリースしたクラウドサービスで、その中のクラウドサーバーは「Microsoft Azure仮想マシン」というサービス名になります。
操作画面は日本語対応しており、日本語のマニュアル等も整備されつつあります。
Microsoft Azure仮想マシンは、Amazon EC2に比べて後発でありながら、猛スピードで機能強化していて、現在ではAmazon EC2に比べて遜色のない機能・性能を持っています。
Microsoft Azure仮想マシンをAmazon EC2と技術的な観点できめ細かく比較する資料は検索すればたくさん出てきますが、結論を一言でまとめると「細かい機能に差はあるものの、概ね互角」となるでしょう。
Microsoft Azure仮想マシンも同様に無料利用枠があります。
こちらは、Amazon EC2と同様の12ヶ月間、毎月750時間の無料利用枠に加えて、最初の1ヶ月間200 USドルのクレジットがついています。
万一、無料利用枠を超えて料金が発生する際に、この200 USドルのクレジットを利用料金に充てることができます。
ただし、利用しなくても1ヶ月経過した時点でこの200 USドルが消滅してしまうので要注意です。
また、Amazon EC2と同様に、Microsoft Azure仮想マシンの無料利用枠も制限があります。OSはWindowsもしくはLinuxで、インスタンスはB1Sのみとなります。
無料枠の利用可能要件 | |
---|---|
OS | WindowsもしくはLinux |
インスタンスタイプ | B1S |
CPU | 1個 |
メモリ | 1GB |
ネットワーク性能 | 中低速ネットワーク |
一時ストレージ | 4GB/台 |
管理ディスク | 2 x 64GB |
Microsoft Azure仮想マシンの公式サイトはこちら。
Microsoft Azure仮想マシンの利用料金の詳細はこちら。
Compute Engineは、Google 社が提供するクラウドサービス「GCP(Google Cloud Platform)」上にあります。
GCPの一部のサービスは2008年頃から存在していますが、「GCP」という名前でリリースされたのは2012~2013年頃で、かなり後発になります。
最初は操作画面などで英語しかありませんでしたが、ここ数年日本語対応が進んでおり、ドキュメントを含めて大部分日本語化されています。
Amazon EC2やMicrosoft Azure仮想マシンが提供する数十種類のインスタンスタイプに比べて、2021年8月現在Compute Engineが提供するインスタンスタイプは8種類となり、選択肢がやや少ない状況となります。
ただし、一般的な用途を網羅しており、Webサイトやアプリケーションをホストするなど、通常の使い方なら問題なく利用できます。
Compute Engineにも無料利用枠がありますが、残念ながら現時点で日本のリージョン(クラウドサーバーの物理的に存在する場所)では提供されていません。
クラウドサーバーをアメリカに立ててもいいよという方は、USリージョンを利用すればCompute Engineの無料利用枠を享受できます。
ただし、無料利用枠とは別に、90日間有効の300 USドルのクレジットがユーザー登録時に付与されます。こちらを利用して無料でCompute Engineを試したりすると良いでしょう。
無料枠の利用可能要件(USリージョンのみ) | |
---|---|
OS | 制限なし |
インスタンスタイプ | e2-micro |
CPU | 2個 |
メモリ | 1GB |
ネットワーク性能 | 最大1Gbpsのegress帯域 |
ストレージ | 30GB(HDD) |
スナップショットストレージ | 5GB |
Compute Engineの公式サイトはこちら。
Compute Engineの利用料金の詳細はこちら。
クラウドサーバーには、上記以外にも多様にあります。そこで、次にクラウドサーバーの選ぶときのポイントについてご紹介します。
まずは、AWS、Azure、GCPの違いを理解することから始めることをおすすめします。
比較するときは、機能・性能・利用料金などの面ではほぼ同じレベルなので、クラウドサーバーだけでなく、クラウドサーバーの実行するクラウド環境全体で見てみるといいでしょう。
以下の表をご参考ください。
クラウドサービス | 特徴 |
---|---|
AWS | ・Amazon EC2以外にも、クラウドストレージであるS3を筆頭に、AIサービスの「SageMaker」やIoTサービスの「AWS IoT」などラインナップが充実している ・AWSの解説情報が多い ・AWSの技術者が多いので中小企業でも人材を確保しやすい |
Azure | Microsoft製品との親和性があるため、例えばActive DirectoryやExchangeサーバーを利用している企業であれば容易に導入できる |
GCP | 膨大なデータを分析できる「BigQuery」など、検索エンジン最大手のGoogleのノウハウを生かしたサービスを提供している |
クラウド、またクラウドサーバーを選定する際に、クラウドサービス事業者各社の無料利用枠を利用して、実際に検証しながら選定すると良いです。
この記事では、クラウドサーバー利用時の無料利用枠にフォーカスしてご紹介しましたが、クラウド事業者各社とも、クラウドサーバーだけでなく、それ以外のサービスにも無料利用枠を設けています。
ぜひクラウドサーバーと、クラウドサーバーに関連する他のサービスを試してみることをおすすめします。
いろんなクラウドサーバー、関連サービスを試して比較するのはもちろんいいことですが、AWSもAzureもGCPも機能が豊富で理解するのに時間がかかります。
クラウドを検証する要員がアサインできない、クラウドの検証にコストが高いという方は、専門家に聞くのも良いでしょう。
ユーザー様のニーズをヒアリングし、最適なクラウドを提案するだけでなく、クラウド構築・運用のアドバイスもしてくれます。
クラウドサーバーについてご紹介しましたが、実はクラウドを活用することによって「そもそもサーバーがなくても、やりたいことができる」ことがあります。
もしくは「クラウドサーバーとクラウドのあのサービスと組み合わせて使うと、クラウドサーバー単体よりもずっと楽にできる」ことが多いです。
今まで、何かのアプリケーションをホストするには、サーバーが必要なのは当たり前でした。しかし、サーバーがあると、どうしてもサーバーを管理する手間が発生してしまいます。
最先端の「サーバーレスアーキテクチャ」では、アプリケーションのソースコードを記述するだけで、クラウドが裏で動的にサーバーを生成し、記述したソースコードを実行してくれます。AWSでは、このサービスのことを「Lambda」と言います。
もちろん、Lambdaにはまだまだ制限があり、サーバーをすべて置き換えることはできませんが、アプリケーションのロジックを記述するだけで、サーバーなしで今までサーバーがやってくれたことを実現できるのはとても便利です。
今まで、データベースサーバーを立てるとき、サーバーを調達し、その上にデータベースのソフトウェアをインストールして、設定してから、データベースを利用していたと思います。
クラウドサーバーの場合も同様で、例えばAmazon EC2を立てて、その上にMySQLなどのデータベースをインストールすることはもちろんできます。
しかし、実はここでAmazon EC2ではなく、代わりにAmazon RDS(Amazon Relational Database Service)というサービスを使うと楽になります。
RDSは、構築済みのデータベースサーバーを提供してくれて、しかもデータベースのメンテナンスを含めてクラウド事業者が対応してくれるサービスです。
EC2に自前でMySQLを構築した場合、OSのパッチはもちろん、MySQLのパッチ適用やデータベースのバックアップなどをすべて自分で行う必要がありますが、RDSの場合はそれらが不要になり、データベースの利用に集中できます。
最後に、AWSを例にクラウドサーバーとよく一緒に使うクラウドサービスをご紹介します。
サービスの種類 | AWSでのサービス名 |
---|---|
IaaS型クラウドサーバー | EC2 |
PaaS型クラウドサーバー | ECS、Fargateなど |
ネットワーク | VPC |
オブジェクトストレージ | S3 |
ファイルストレージ | EFS、FSxなど |
マネージドデータベース | RDS、DynamoDBなど |
Webファイアウォール | WAF |
DNS | Route53 |
ロードバランサー | Elastic Load Balancing |
監視ツール | CloudWatch |
CDN | CloudFront |
開発ツール | Codeシリーズ |
上の表だけだと、イメージが湧きにくいかもしれないので、例えば今までWordpress + MySQLで構成したWebアプリケーションの場合、AWSの各種サービスを活用すると以下のような構成にできます。
サービスの種類 | 使用目的 |
---|---|
EC2 | Wordpressをホスト(クラウドサーバーの役割) |
S3 | 画像などの静的ファイルを格納 |
VPC | EC2のネットワーク(サブネット、NAT、アクセス制御の機能) |
Elastic Load Balancing | 複数のEC2の負荷分散 |
RDS | MySQLのマネージドサービスとして提供 |
CloudWatch | クラウドサーバーの監視 |
この構成図にあるシステムは、クラウドサーバー(EC2)だけでも構成できなくはありません。
しかし、各種クラウドサービスを適材適所に活用することで、構築の手間を大幅に削減できるだけでなく、コストも抑えることができるので、新規システム構築のおすすめです。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。