オンラインストレージとは?機能やメリット、オススメ製品を一挙公開
オンラインストレージとは、インターネット上でファイルなどのデータを保管できるストレージです。「クラウドストレージ」や「ファイルホスティング」とも呼ばれています。オンラインストレージを導入することで、データの共有やデータのバックアップ対策を容易に行えます。
オンラインストレージとは、インターネット上でファイルなどのデータを保管できるストレージです。「クラウドストレージ」や「ファイルホスティング」とも呼ばれています。オンラインストレージを導入することで、データの共有やデータのバックアップ対策を容易に行えます。
目次
オンラインストレージとは、ファイルなどのデータをインターネット上に保管するサービスです。
個人向けのオンラインストレージは、Apple社のiCloudや、Google社のGoogle Drive、Microsoft社のOneDrive、Dropboxなどが有名で、法人向けはBox、OneDrive for Business、Dropbox Businessなどあります。
ITがビジネスに浸透している昨今において、デジタル社会を人体に例えるならば、データは企業の血液です。
IT企業ならなおさらですが、ITに無縁の会社であっても、建築現場で建物のデジタル写真を保存したり、注文書や請求書などの書類や従業員の給与明細を電子データとして管理したりして、デジタルデータが増える一方となっています。
このようなデータの保管は、今まで手元の設備で行っていました。
個人だと外付けのUSBハードディスクなどで写真などを保管するのと同様に、企業において「ファイルサーバー」もしくは「NAS」と呼ばれるストレージで保管していました。
今でもファイルサーバーを利用している企業はたくさんありますが、オンラインストレージへの移行は加速しています。
オンラインストレージを提供する事業者は数十社もありますが、ほとんどのオンラインストレージに共通する機能があるので、ここでご紹介します。
オンラインストレージの最も重要な機能は、ファイルの同期です。ファイル同期とは、ローカルPC(手元にあるPC)上のファイルを、インターネット経由で自動的にクラウド上のストレージと同期を取ることです。
オンラインストレージを導入すると、対象ファイルはこちらの表のいずれのステータスになります。
ステータス | ファイルの保管場所 | 説明 |
---|---|---|
1 | ローカル | ファイルはローカルにのみ存在。このステータスはオンラインストレージの同期対象からファイルが外れている状態を指す |
2 | クラウド | ファイルはクラウドにのみ存在。 ローカルPCのディスク容量の節約によく使われる手法。ファイルを開く際に、自動的にファイルがクラウドからダウンロードされる。 デメリットは、インターネット接続がないとファイルを開けないこと |
3 | ローカルとクラウド | ファイルは、ローカルとクラウドの両方に存在。 これはオンラインストレージにおいてファイルの最も一般的な状態。オフラインでも利用でき、オンラインになったときに自動的に同期される |
ほとんどのオンラインストレージサービスは、ファイルの共有機能を提供しています。
今までメールに添付ファイルをつけることで共有できましたが、メールで添付できるファイルのサイズに制限があります。
オンラインストレージを使ってファイルを共有する場合は、実際にファイルを相手に送付するのではなく、「ファイルのアクセス権限」を相手に付与することになります。
ファイルの本体はすでに同期によりクラウドに上がっているので、世界中の誰でもアクセス権さえ持っていればダウンロードできます。
大事なファイルを誤って削除することや、意図せず上書きしてしまうことはありませんか?
大半のオンラインストレージは、ただ単にローカルPCのファイルをクラウドに持っていくだけでなく、過去の履歴も保持します。そのためファイルを以前の状態に戻すことが可能です。
オンラインストレージの機能をご紹介しましたが、法人においてオンラインストレージをどのように利用して、どのように業務効率化を実現しているかを理解するために、オンラインストレージのメリットをご紹介します。
オンラインストレージの最も重要な機能はもちろんデータの保存です。どれくらいのデータを保存できるかは、「容量」に依存します。
通常のファイルサーバー・NAS(Network Attached Storage)ですと、容量の柔軟性があまり高くありません。
モデルとして2TBから数十TBまでのモデルがあるものの、例えば2TBのファイルサーバーを購入して、数年後64TBに拡張したい場合、おそらく買い換えるしかありません。
一方、オンラインストレージですと、ほぼ無限に容量を拡張できます。
例えばMicrosoft OneDriveの場合、無償の個人プランでも1ユーザーあたり5GBの容量が付与されていますが、有償プランになるとプランによりますが最大100GB、最大1TBまで拡張できます。
さらに法人向けの特別契約では、1ユーザーあたり25TB以上の容量を設定することも可能です。
このように、オンラインストレージは、料金さえ払えばほぼ無制限に容量を拡張できます。
もちろん、容量拡張(プラン変更)の際にデータが消えることは一切ありません。
データの可用性とは、データを利用したいときに、ちゃんと利用できることを指します。
データをローカルPCにしか保存していない場合、もしPCが故障してしまったら、PC上のデータが使えなかったり消えたりするので、可用性が損なわれることになります。
データの可用性を保つには、定期的にPC上のデータをバックアップすることが有効です。
しかし、例えば毎週月曜日にバックアップするとした場合、金曜日にPCが故障したら月曜日から金曜日の間のデータがやはり消えてしまいます。
バックアップの間隔を短縮することで失うデータの量(用語でいうと「RPO」)を減らすことはできますが、頻繁にバックアップを行うとPCの負担にも、バックアップを管理する管理者の負担にもなります。
一方、オンラインストレージを導入すると、ローカルPCのデータが絶えずにクラウドにバックアップされます。
クラウドのほうも故障することはありますが、複数のサーバーが地域をまたがって配置されるなどの対策が施されているので、データが完全に消えることは非常にまれです。
今まで、「特定のフォルダを社内で共有し、チームメンバーなら誰でもフォルダ内のファイルを編集したり、作成・削除したりできるようにする」という要件を達成するには、ファイルサーバーしか選択肢がありませんでした。
しかし、ファイルサーバーのアクセスは社内に限っているので、外部の取引先やパートナーなどにアクセスしてもらうのは難しかったです。
さらに、ファイルサーバーは安くても数十万円かかり、可用性を高めるためのRAIDやクラスタ技術などを追加で導入すると、かなり高額になります。
オンラインストレージだと、安価に導入できて、社内外問わずファイルやフォルダの共有が簡単にできます。
さらに権限をきめ細かく制御し、誰がどのファイルに対してどんな操作(編集、削除など)ができるかを設定することも可能です。
オンラインストレージを導入することでチームワークが活発になることを期待できるだけでなく、先方との取引もスムーズになります。
コロナ禍の長期化によって、日本の働き方は少しずつ変わっています。中小企業でも、在宅勤務・リモートワークをデフォルトにする会社が増えてきています。
しかし、データの共有に関して今までのファイルサーバーやNASだと自宅からアクセスできないため、在宅勤務を阻害する要素になります。
オンラインストレージは、インターネット経由のアクセスなので、場所を選ばずインターネットにさえ接続できれば世界中のどこからでもデータの共有ができ、スムーズに仕事ができるようになります。
そのため、パンデミック対応、在宅勤務・リモートワークの推進のためにも、オンラインストレージを導入するのは非常に重要です。
オンラインストレージは非常に便利でメリットが多いですが、デメリットも存在します。
オンラインストレージの普及に拍車をかけたのは、インターネットの高速化です。
オンラインストレージのリアルタイムのデータ同期は、昔の遅いインターネットにおいてはとても想像できるものではありませんでした。
しかし、今の超高速インターネットであっても、数ギガの大きいファイルをダウンロード・アップロードするにはやはり時間がかかります。
そのため、あまりにも大きくて頻繁に読み書きするファイルをオンラインストレージに置くのは得策ではないかもしれません。
オンラインストレージの場合、「データをインターネット上に保存するから盗まれやすい」と思う人が多いかもしれませんが、これは間違いです。
オンラインストレージのサービスを提供する事業者は、どれも厳重なセキュリティ体制を敷いており、ローカルPCよりも遥かに突破されにくい強固なセキュリティでデータを守ってくれています。
ただ、いくら強固なセキュリティであっても、ユーザーの人的ミスによる情報漏えいを防ぐことは困難です。
実際、「ユーザーの不注意でパスワードが外部に漏れた」「ユーザーの操作ミスでファイルを意図しない相手と共有してしまった」というケースは少なくありません。
そのため、オンラインストレージを導入した場合、今まで以上に情報漏えいのリスクを強調し、情報セキュリティ教育を再実施することで意識を高めましょう。
オンラインストレージでは、データをクラウドに保存してくれます。
クラウドとはどこかというと、結局地球上のどこかのサーバー機になります。通常はあまり気にならないことですが、たまに法律によって保管場所が国内と制限されるケースもあります。
具体例でいうと、オンラインストレージではありませんが、LINEのチャット履歴の一部(画像や動画など)は、これまで韓国のサーバーに保存されていました。ただ個人情報保護法の懸念により、今年日本国内に移転することになりました。
オンラインストレージの場合は、日本国内だけにデータを保存することを指定できるサービス・プランもあれば、データ保存場所を日本国内に限定できないサービス・プランもあります。
もし法律等の理由で、どうしても保存場所が日本国内でないといけない場合、オンラインストレージのサービス条項をよく確認してから契約するのをおすすめします。
導入して良さそうなオンラインストレージですが、様々なサービスがある中で最も自社のニーズに合うものを選ぶのは中々難しいです。
特に中小企業にとって、たしかに個人向けサービスと法人向けサービスはありますが、利用する従業員が少ないなら個人向けサービスも選択肢として十分ありえます。
ここでは、法人向けのサービスを中心に、選定するときのポイントをご紹介します。
オンラインストレージでやはり最も重要なのは容量です。そして、容量単価(1GBあたりの料金)も無視できません。
無料プランや個人向けプランだと、2GB(Dropbox)や5GB(OneDrive)、15GB(Google Drive)など容量が小さめのプランになりますが、法人向けの有料プランだと最低でも1TB(=1000GB)からスタートすることになります。
最近のノートPCで最もハイスペックのものであっても、大体ディスク容量は1TB程度なので、通常の用途であれば1TBでも十分だと言えるでしょう。
とてつもない大容量が必要な場合、ほぼすべてのプランで容量無制限のBoxを検討すると良いかもしれません。
オンラインストレージは、容量だけでみると大差ないかもしれません。しかし、機能面と性能面、使い勝手を含めてそれぞれの色が出ています。
詳細は割愛しますが、以下の点は特にチェックしておくことをおすすめします。
通常、個々のユーザーはそれぞれのオンラインストレージを自分自身で管理します。
しかし、ユーザーのアクティビティの監視、従業員の入退職に伴うアカウントの開設と削除、また削除時にオンラインストレージに保存されているデータの処分方法など、管理者しかできない業務も多々あります。
さらに組織が大きくなると、1人の管理者ではなく、それぞれの部門にオンラインストレージの管理者がいて、その上に統括管理者がいるような管理者の階層化も考えないといけません。
このような、個人ユーザーではまったく必要としない機能ですが、法人向けのオンラインストレージでは必要不可欠となります。
オンラインストレージも「抱き合わせ販売」が流行っています。
例えばMicrosoft社のOneDrive for Businessや、グーグル社のGoogle Driveの場合、単体のプランもありますが、他の製品とセットにしたプランのほうがお得です。
OneDrive for Businessの場合、毎月1,360円のMicrosoft 365 Business Standardを契約すれば、OneDriveだけでなく、Outlook、Word、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリや、ビデオ会議アプリのTeams、メールアドレスとメールボックスまでついてきます。
考え方を変えると、Officeアプリのためにこの料金プランを契約した会社から見ると、OneDriveはただで付いてくるものです。
そのため、オンラインストレージだけでなく、他の必要なアプリも合わせて検討したほうが良いでしょう。
最後に、法人向けオンラインストレージのおすすめサービスをご紹介します。
OneDrive for Businessは、すでにOffice 365を利用中の会社から見ると無償で使えるので導入のハードルが低いオンラインストレージです。
WindowsやOfficeとの相性がよく、Officeでファイルを保存する際にOneDriveを直接指定できるなど、使い勝手が良いのが魅力としてあげられます。
サービス名 | OneDrive for Business / Microsoft 365 Business |
---|---|
提供会社 | Microsoft社 |
料金プラン(1ユーザーあたりの月額相当額) | OneDrive for Business (Plan 1):540円 OneDrive for Business (Plan 2):1,090円 Microsoft 365 Business Basic:540円 Microsoft 365 Business Standard:1,360円 上記以外に、大企業向けプラン別途あり |
容量 | 1TB~無制限 |
対応端末 | Windows、Max OS X、Android、iOS |
公式URL | https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/onedrive-for-business |
Google Driveは、Googleが提供するオンラインアプリセット「Google Workspace」の中にあるオンラインストレージです。
Google Workspaceの料金プランには大人気のGmailやGoogle Docs、Sheets、Formsなども含まれているので、Gmailを社員メールに採用している会社からするとGoogle Driveは無償で使えるので導入ハードルは低いといえるでしょう。
サービス名 | Google Workspace |
---|---|
提供会社 | Google社 |
料金プラン(1ユーザーあたりの月額相当額) | Business Starter:680円 Business Standard:1,360円 Business Plus:2,040円 上記以外に、大企業向けプラン別途あり |
容量 | 30GB~無制限 |
対応端末 | Windows、Max OS X、Android、iOS |
特徴 | 大人気のGmailやGoogle Docs、Sheets、Formsなどが含まれるプランで、Gmailを社員メールに採用している会社からするとGoogle Driveは無償で使えるので導入ハードルは低い |
公式URL | https://workspace.google.co.jp/intl/ja/ |
Boxは、Business以上のプランが容量無制限で、大容量保存をしたい企業に向いています。
強固なセキュリティときめ細かいアクセス権制御機能が特徴で、ガートナー社から業界リーダーと評価されているのも特徴です。参考:ガートナー、「コンテンツ・コラボレーション・プラットフォームのマジック・クアドラント」レポート│Box
サービス名 | Box |
---|---|
提供会社 | Box社(日本ではCTC、NTTコミュニケーションズなど数十社の代理店あり) |
料金プラン(1ユーザーあたりの月額相当額) | Starter:550円 Business:1,800円 Business Plus:3,000円 Enterprise:4,200円 (年払いで上記から5%オフ) |
容量 | 100GB~無制限 |
対応端末 | Windows、Max OS X、Android、iOS、Blackberry |
公式URL | https://www.box.com/ja-jp/ |
Dropboxを提供するDropbox社は、2007年創業の老舗で、個人ユーザーから厚い信頼を得ている企業です。
Dropbox Businessは、操作がわかりやすいのと、ファイル復元は最長180日と他のサービスより遥かに長いことが特徴。
最近、MicrosoftやGoogleに負けないようにDropbox Paperなどのコラボレーションツールを積極的に推進しています。
サービス名 | Dropbox Business |
---|---|
提供会社 | Dropbox社 |
料金プラン(1ユーザーあたりの月額相当額) | Standard:1,250円 Advanced:2,000円 Enterprise:個別見積もり |
容量 | 5TB~無制限 |
対応端末 | Windows、Linux、Max OS X、Android、iOS |
公式URL | https://www.dropbox.com/business/ |
オンラインストレージの機能、メリット・デメリット・代表的な製品をご紹介したので、おそらくオンラインストレージがどんなもので、自社の業務に向いているかどうかについてある程度判断できるようになっていると思います。
ただ、「いつ導入しようかな?」と導入タイミングについて迷っている方がいらっしゃるかもしれません。
「うちの社員、ITに疎いので使いこなしてくれるか?」「コロナが収束したらいらなくなるのでは?」「競合他社の様子見をしようか」など、躊躇する理由はそれぞれあるとは思います。
もし「導入の必要性がある」と認識できたら、躊躇する理由がなんであれ、いち早く導入することをおすすめします。
というのも、オンラインストレージを導入せずリモートワークを推進すると、従業員たちは今まで通りにファイルを扱うことができず、困ってしまいます。
困った結末、フリーの個人向けファイル共有サービスを勝手に使い始めるケースも珍しくありません。
これは最も怖いことです。なぜかというと、
といったように、どんな情報が誰の手によってどこに行ってしまったかを追えなくなるからです。これは情報漏えいが簡単に起きる状態、と言ってもいいでしょう。
そのため、従業員が不便を感じて、自ら解決策を探す前に、企業の経営者とIT部門が一歩先に会社としての公式回答を提供することがポイントになります。
タイミングを逃さず早い段階でオンラインストレージを導入し、統制を効かせて企業の大事なデータを守りましょう。
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