リスティング広告のやり方を簡単に解説 自分でやる運用方法・費用・出稿も
リスティング広告は本当に届けたいユーザーに対して配信するので、比較的短期間で売上増加や見込み顧客の獲得が期待できます。自分で出稿・運用する場合と広告代理店に依頼する場合の2パターンについて、リスティング広告運用や内製化支援に多数携わってきた筆者が解説します。
リスティング広告は本当に届けたいユーザーに対して配信するので、比較的短期間で売上増加や見込み顧客の獲得が期待できます。自分で出稿・運用する場合と広告代理店に依頼する場合の2パターンについて、リスティング広告運用や内製化支援に多数携わってきた筆者が解説します。
目次
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの媒体を通じて、ユーザーが検索したキーワードやWebサイト上での行動に連動して表示される広告です。
リスティング広告は検索連動型広告とも呼ばれ、ユーザーがGoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際に、検索結果周辺に表示されます。(上図赤枠)
リスティング広告で上位を獲得できた場合、自然検索結果よりも上位に表示されるため、ユーザーにクリックされやすく、集客にとってより有利になります。
サイトを立ち上げても、検索エンジンから良好な評価を受け、上位表示されるには一般的には6ヶ月以上は必要です。
また、検索エンジンのアルゴリズムの変化や競争の激化などで、狙ったキーワードで上位表示することが日に日に難しくなっています。
しかし、リスティング広告であれば、その日からでも狙ったキーワードやオーディエンスに対してリーチすることが可能です。
リスティング広告はGoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果内に表示されます。(下図赤枠)
リスティング広告で上位となった場合、検索窓の直下に表示され、自然検索より有利な位置となります。
これ以外に、ページ送りの直前や、次ページの検索結果一覧の冒頭などにも表示されます。
リスティング広告には、拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告の2種類あります(※)。
どちらも見出しと説明文で構成され、検索キーワードに対して表示される広告であることは同じです。
しかし、レスポンシブ検索広告のほうがより多くの見出しや説明文などのテキストを登録でき、関連性が高いテキストを自動で組み合わせてくれるため、一致率が高くなり、参加できるオークションが増え、表示回数が増えるなどのメリットがあります。
※2022年6月までは、拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告どちらでも作成が可能です。ただしGoogleは、Google広告において、2022年6月以降、拡張テキスト広告の作成や編集ができなくなるため、レスポンシブ検索広告への移行を推奨しています。
リスティング広告は、基本的にはキーワードに対して入札金額が高い順に上位表示されます。しかし、それ以外にも品質スコアも重要な要素として加味され、総合的な広告ランクが決定されます。
品質スコアは、対象のキーワードに対する広告文やページ内容などのマッチ率、クリック率、ページでの滞在時間や目標達成率など、ユーザーに対して有益なページであるかを判定する指標によって評価されます。
そのため、同じ予算でもキーワードによりマッチしており、ユーザーにとっても有益であるページのほうが多く表示されやすくなります。
リスティング広告は、クリック課金と呼ばれるクリックごとに課金される方法が主流です。
入札によるオークション制なので、先ほどの広告スコアも加味しながら、ターゲットに対して、より高い金額を提示した広告主が上位表示となります。
クリック単価(1クリックあたりの金額)の相場は、全てのジャンルを総合すると概ね100円〜200円程度です。
しかし、業界や業種によってクリック単価の相場は変わります。
基本的には客単価や1回あたりの注文額が高い業態では、クリック単価も高くなります。不動産や冠婚葬祭、自動車や保険業界などは1クリックあたり数千円にもなります。
一般的に「10~30万円」程度を初期費用として開始する企業が多いですが、上記の通り業界によって大きく異なるため、一概にこの限りとは言えません。
むしろ状況や希望にあわせて、たとえば数万円といった少額でも出稿できるのが、リスティング広告の良さでもあります。
以上の特徴を踏まえて、リスティング広告のメリットとデメリットを見ておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・広告掲載開始までが早い ・少額からでも出稿可能 ・効果の検証が容易 ・状況に応じて細かい調整がしやすい ・即効性が高い ・狙ったユーザーに配信しやすい |
・入稿作業や媒体ごとの規定を覚える必要がある ・媒体によって特徴が異なる ・相場感や予算感が運用者の経験次第 ・認知広告には不向き ・しっかり運用しないと効果が安定しない ・運用者の手間や時間が必要 |
ターゲティングの方法が豊富で精度も高いので、本当に広告を届けたいユーザーに対して配信しやすく、広告の掲載開始までが早い、運用中も調整対応がしやすいといった点が大きなメリットです。
ターゲットとなるユーザーが決まっている、もしくは特定の悩みなどを解決するようなプロダクトやサービスを取り扱っている、購入や申し込みを目標としている企業は特に成果が出やすいので、リスティング広告が向いています。
リスティング広告を出稿・運用する場合、「自社ですべてを行うパターン」と「広告代理店に依頼するパターン」の2つに大きく分けることができます。
まずは、出稿から運用までを自社で行う場合の手順を見てみましょう。Google広告での場合、次のような流れで進めます。
以下で詳しく説明します。
リスティング広告を始める際は、各媒体の広告管理画面で入稿していくことになります。
管理画面上での下書き保存が難しい、設定項目が多く気をつけないと抜け漏れが発生しやすい、などの理由から、事前にアカウント構成を考えておくことをおすすめします。
リスティング広告は媒体によって多少の違いはありますが、概ね以下の構成です。
アカウントの下に複数のキャンペーンを設定でき、各キャンペーンごとに複数の広告グループが設定できます。各広告グループに対しキーワードやオーディエンスを設定し、それに応じた広告を設定します。
リスティング広告を始めるときは、事前にある程度、内容を設計しておいたほうがスムーズです。
たとえば、予算であれば、売り上げに対する広告宣伝費の比率・割合を競合などを参考にしたりして、上長や自社の他部門などと事前に相談し決めておく必要があります。
広告宣伝費の割合は、製造業は売り上げの約1〜5%、通販・サービス業は約15〜20%のように、業界によって異なります。
キーワードは、自社のプロダクトやサービスを利用するユーザーが検索しそうなキーワードを登録します。
たとえばダイエットサプリであれば「痩せる サプリ」「脂肪燃焼 サプリ」「酵素 サプリ」など、ユーザーへのベネフィットであったり、製品の特徴などから作成します。
広告文やバナー画像については、自社のプロダクトやサービスの強みや提供できるベネフィットを訴求するキーワードを入れます。
アカウントの構成を考えたら、Google広告のページを開き、「今すぐ開始」をクリックします。
Google広告の設定画面が開いたら、左のメニュー内の「キャンペーン」→「キャンペーン」から「+」のボタンをクリックし、「新しいキャンペーンを作成」を選択し、キャンペーンを作成していきます。
キャンペーン目標を選択します。サイト内での購入などが目的であれば「販売促進」、メルマガ登録やお問い合わせなどのリード取得が目的であれば「見込み顧客の獲得」を選択し、続行をクリックします。
キャンペーンタイプを選択します。検索連動型広告であれば「検索」、バナー広告であれば「ディスプレイ」を選択します。
達成したい目標を選択した後、キャンペーン名を入力し決定します。
キャンペーンの日予算と入札戦略を選択します。入札戦略は「重視している要素は何ですか?」の選択肢から選択します。
「コンバージョン」「コンバージョン値」「クリック」「インプレッションシェア」などから選択できますが、サイト内での購入やリード取得が目的であれば「コンバージョン」を選択します。
「目標コンバージョン単価を設定」は目標コンバージョン単価が決まっていれば金額を入力します。チェックを外し、目標コンバージョン単価を設定しないことも可能です。その場合、入札戦略は「コンバージョン数の最大化」となります。
ネットワーク、地域、言語、オーディエンスセグメントを設定します。
「キーワードの入力」のボックス内に、出稿したい対象のキーワードを入力し設定します。
広告テキストの設定を行います。
「最終ページURL」は誘導先ページのURLを入力します。広告テキストとして、「広告見出し」「説明文」を入力します。広告テキストは媒体の入稿規定に沿っている必要があります。
右側に掲載イメージがプレビュー画面で表示されます。
「サイトリンク表示オプション」「コールアウト表示オプション」「電話番号表示オプション」「画像表示オプション」などの広告表示オプションも可能であれば設定します。
必須ではありませんが、これらを設定しておくことで掲載広告により多くの情報を表示することができるため、クリックやコンバージョンされやすくなります。
確認して「キャンペーンを公開」をクリックすると、出稿開始となります。
広告を開始した後は、以下の点に注意して運用していくと良いです。
日予算に従って配信されますが、状況によっては予算よりも多く出過ぎたり、あまり配信できず少なくなることもあります。そのため、1ヶ月の予算に合わせて微調整が必要です。
多く出過ぎている場合は日予算を下げて調整しますが、少ない場合は出稿したいキーワードに対しての検索量などが不足していることが考えられます。
この場合、キーワードを追加したり、キーワードのマッチタイプの変更など母数を増やすような調整が必要となります。
表示がほとんどないキーワード、獲得に結びつかないキーワード、こちらの意図とは関係のないキーワードなどが出てきます。
検索キーワード、検索語句などを定期的にチェックして、これらのキーワードを除外する必要があります。
キーワードに対する品質スコアが低いと、表示回数の減少、クリック単価の上昇などに繋がるため改善が必要です。
品質スコアは、広告のクリック率、広告文や誘導先ページとのマッチ率などの要素で判断されています。
そのため、これらを改善するように広告文や、さらには誘導先ページなどを改善していきます。
広告の成果は主にコンバージョン(顧客獲得)単価で確認します。
1件あたりの獲得にかかる単価のことですが、コンバージョン単価が安いほど広告としての費用対効果は良いため、なるべくコンバージョン単価を下げることが目標となります。
ちなみに、コンバージョン単価は以下の式で表すことができます。
コンバージョン単価=広告費÷コンバージョン数=(クリック単価×クリック数)÷(コンバージョン率×クリック数)=クリック単価÷コンバージョン率
そのため、コンバージョン単価はクリック単価の改善、もしくはコンバージョン率の改善で可能です。
リスティング広告の出稿から運用までを広告代理店に依頼する場合を見ていきましょう。
広告代理店は、代理店によって対応範囲の差はありますが、運用戦略立案、タグ設置、広告クリエイティブ(広告文、バナー画像)作成、運用結果のレポート共有、広告や誘導先ページの改善提案などに対応してくれます。
つまり、リスティング広告についてわかっている人材が社内にいない状態でも、広告配信、その後の改善までサポートしてくれます。
具体的には、次のような手順で出稿・運用を行います。
広告代理店によって特徴があります。自社と相性の良い広告代理店を選ぶときに、広告代理店のどのような点に着目すればいいのか見てみましょう。
大規模な広告代理店の場合、広告予算が少ない案件だと新人や比較的経験の浅いメンバーが練習を兼ねて担当となるケースが多いです。
それが一概に悪いという訳ではありませんが、できれば経験豊富な方に担当してもらいたいのであれば、広告予算に合った規模感の広告代理店を選ぶと、そういったミスマッチは起こりにくくなります。
広告代理店によって作業を分業する分業型、1人が一気通貫で担当する専任型があります。
分業型は営業、運用、レポートなどの作業に応じて担当が分かれています。プロダクトやサービス、ターゲットが多岐に渡っており、作業量が多くなりそうな場合は分業型が向いています。
専任型は普段の連絡やコミュニケーションから運用、レポート作成、改善提案、報告までを1人の担当者が行います。依頼の意図や背景、過去の流れや変化点などを理解してもらえるので、より深い運用や提案が期待できます。
自社の広告運用担当者を育成しながら運用していきたい場合、インハウス支援を行っている広告代理店がおすすめです。
この場合、自社の広告運用担当者が基本的に運用を行いますが、コンサルティング的なサポートやアドバイスを広告代理店のプロの視点で行ってもらうことができます。最終的に広告運用を自社のメンバーで内製化することが可能です。
広告代理店に問い合わせをすると、まずは広告代理店からのヒアリングがあります。
以下のような内容について事前に用意しておくことができれば、スムーズに進みます。ただし、ヒアリング段階ではすべてが決まっていなくても問題ありません。
ヒアリング内容をもとに、広告代理店から出稿する広告媒体や予算比率、運用方針などを提示されます。それらの内容を確認し、問題なければ正式に依頼、発注します。
アカウントの開設や入稿など広告代理店側で進めてもらえます。入稿にあたって確認事項などがあれば広告代理店から連絡があります。
広告代理店から運用実績、改善提案などのレポートが報告されます。
事前に決めた目標顧客獲得単価(コンバージョン単価)、ROAS(広告費用対効果)、購入数や申し込み数などのKPIの数値に対しての達成度、また、それらについての改善提案の内容などを注意して見ると良いです。
リスティング広告は届けたいターゲットにアプローチができるため、売上増加や見込み客の獲得など自社のビジネス目標に対して比較的短期間で成果が見込めます。
運用にあたり重要なのはキーワード、広告クリエイティブ、予算など、日々改善を図りPDCAを回していくことです。
比較的簡単に始めることができるので、まずは少額から自社のメンバーで実施することも、広告代理店に依頼して運用することも可能です。
リスティング広告をうまく活用して自社のビジネス拡大に結びつけましょう。
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