FAQの作り方5ステップ 作成の目的や効果検証・改善の方法も解説
FAQを導入して、顧客の ”自己解決力” を高める企業が増えています。企業にとって顧客の問題解決力、スピードを高めることはビジネスを優位に運べるかの生命線とも言えるものでしょう。本記事でFAQの目的を整理した上で、作り方の手順や導入ポイント、導入後の注意点などを解説します。
FAQを導入して、顧客の ”自己解決力” を高める企業が増えています。企業にとって顧客の問題解決力、スピードを高めることはビジネスを優位に運べるかの生命線とも言えるものでしょう。本記事でFAQの目的を整理した上で、作り方の手順や導入ポイント、導入後の注意点などを解説します。
目次
FAQ(Frequently Asked Questions)とは、顧客から頻繁に来る問い合わせの回答集です。主にWebサイト内に「よくある問い合わせ」というタイトルで、一覧形式で用意されます。
最近は、その一覧では解決しにくいような問い合わせに対し、チャット機能を使い、一問一答形式でやり取りを進めるための有効な手段として、用いられるケースも増えてきました。
FAQを作るときは、FAQの目的を整理することが重要です。この点を押さえておくことで、質問とその回答という単なるQ&Aではなく、質の高いFAQを作ることができます。
企業の商品やサービスが多岐に渡り、ネット購入が当たり前になってきたからこそ、生活者の観点では自分のニーズに合致した商品やサービスを自ら検索して調べ、そして購入するというプロセスが生まれました。
店頭やコールセンターなどで直接問い合わせをするケースが増えると、企業にとっては顧客対応のコストをいかに押さえるかが重要な課題になります。
FAQは、そうした課題を解決するための施策です。
そのため、FAQを作るときは、「この質問と回答を用意することで、どの程度対応コストの削減ができるのか」「顧客自らが対応することと企業が対応すべきことを、どれだけ棲み分けられているか」を意識する必要があります。
自社商品やサービスにおいて、顧客が抱くであろう問いの裏にある ”抱える悩み” に対してどれだけ的確にアプローチできるかは、顧客満足度を左右します。
もし、悩みに答えられなかった場合、顧客は不満を覚えるだけでなく、同様の問いを競合他社に求めるかもしれません。
FAQを作るときは、顧客の悩みをきちんと汲み取らないと、他社との競争に知らずしらずのうちに勝てなくなる可能性があることを念頭に進めることが大切です。
FAQは問い合わせ業務の効率化というコスト効率の面と、顧客満足度を向上させるというベネフィットの面を解説してきましたが、それは、自社のビジネス課題の本質を見つめ、解決するためにあると言えるでしょう。
FAQは、顧客の問題に答えるという表面的な解決アプローチだけでなく、その問題の裏にある顧客の悩みに応える活動であり、自社商品やサービスの向上に繋がる広義のブランディング活動です。
そのため、FAQは、自社だけでなく他社をどう見ているのか?といったことまでを想定し、顧客と真摯に向き合いながら作ることが重要です。
FAQの作り方・書き方について、以下の5つのステップで解説していきます。
Step1 FAQの素材を集める
Step2 質問をカテゴリに分けて括る
Step3 質問に対する優先順位付けをする
Step4 想定問答集を作り、レビューする
Step5 シミュレーションをする
最初に、FAQを作るのに必要な素材を集めます。ここで言う素材とは、実際に取い合わせがあった実例や同業他社などの参考情報のことです。
FAQの素材を集めるにあたって、抜け漏れダブりなく効率的に集めるための具体的な方法をご紹介します。
以下を踏まえれば、顧客からどんな問いが来るのか、どう答えるべきなのかを集めて一覧化できます。
一つ目は、過去にやり取りしているログを集めることです。
店舗がある場合は店舗を統括する部門、無店舗の場合はコールセンターなど、顧客と直接接点を持ち、問い合わせや過去のクレームといった顧客要望を集約している部門には情報が集約されています。
そのデータを集めるのが最も効率的です。
二つ目は、収集する自らが顧客体験をすることです。
例えば、自社サイトや店頭を訪れて、商品やサービスを実際に調べます。もし、自分が何もしらない顧客だったら、どういうことを知りたくなるかということを想像すると良いでしょう。
また、Web上で、商品やサービスを実際に購入することができるなら、購入するところまで行うことをおすすめします。
顧客が買う前、買った後にどんなことを知りたくなるのか、自ら顧客体験することで、どんな情報が必要なのか、何が足りないのかということに気づけるでしょう。
三つ目は、同業他社のFAQを調べることです。
これが最も効率的な手法ではありますが、前述したことを経ていると、自社においてどういう回答が顧客にとって好まれるのか客観的に見えやすくなります。
次に、質問のカテゴリ分けを行います。「顧客の行動」と「顧客の心理」の要素に分けながら行うとスムーズです。
顧客の行動は、商品やサービスの購入前・後で括ります。顧客の心理は、商品やサービスに掛かるコストや時間などに関する疑問や不安、商品やサービスの使い方、不具合に対する疑問や不安です。
カテゴリの括り方は、同業を見るのが最も参考になりますが、自社で初めてFAQを作成する場合は、まずは大まかに括り、重要な10~20の質問を列挙してみましょう。
その上で、その他の質問は別ページに置くなどの工夫をすると、顧客にとって知りたいことを素早く知ることができる利便性の高いFAQになります。
質問に対する優先順位付けとは、例えば問い合わせの最も多い項目の中から重要性の高いものにチェックすることです。
これを行うことで、最低限どの内容をFAQに更新すべきかの判断基準を持っておくことができます。
この選定においては、Step1で述べた様に、自社において顧客から過去に問い合わせやクレームになったログと、自らが顧客体験して感じた疑問点や不明点を参考にすると良いでしょう。
優先順位付けをする過程で、自社商品やサービスにおける新たな課題を見つけることができるかもしれません。
こういう点があると顧客の満足に繋がるのではないか?ということに気づくことは、FAQ作成において、重要な視点です。
想定問答集を作るのは、Step1で紹介した顧客接点のある店舗の統括部門やコールセンターにて、過去のやり取りを参考にするのが良いでしょう。
FAQは顧客だけでなく、社内関係者が顧客から商品について質問があったときに参考にするケースもあるからです。
FAQを全社の協力を得ながら進めることで、活用度の高いFAQに仕上がることでしょう。
最後に、FAQを作成した後には、シミュレーションをすると良いでしょう。
テスト完成したFAQを元に、他社と比較している顧客、購入後に商品やサービスを使い始めた顧客、ある程度利用していて何かの節目を迎えた顧客(節目は、商品の不具合を感じた場合、契約更新を迎える場合など)に区分することができます。
顧客側の満足度が左右される代表的なシーンで良いと思います。
FAQを作り上げたら、ここからが本当のスタートです。
顧客の問いは、自社の商品やサービスが拡張したり、他社において類似商品などが出てきた場合など、顧客を取り巻く環境は常に変化しています。
そのため、とくに効果検証と改善が重要なポイントになります。
FAQの効果検証は、顧客と社内関係者を分けて行います。
顧客に対して効果があったかどうかについては、FAQページで最も見られた項目を把握するためにサイトアクセス数や滞在時間をチェックするなど、定量的な観点から調査します。
社内関係者には、顧客対応においてFAQが参考になったかどうかをヒアリングして、活用度を検証します。
効果検証で状況を掴んだら、下記のポイントを踏まえながらFAQを見直します。
これらを通して、常に改善を繰り返すことで、FAQコンテンツ活動の良い循環が生まれます。
FAQを通して、顧客は知りたい情報を知ることはもちろんのこと、その他のFAQ項目を見て、その商品やサービスの新たな魅力や特徴を知ることができます。
企業理解が進めば顧客獲得にも優位になることは言うまでもありません。
つまり、FAQとは顧客体験そのものと言えます。
そして、FAQは企業の総合窓口であり、一人の営業マンでもあります。企業活動において、その商品やサービスの持つ魅力や特徴を伝える場の一つが、FAQページです。
そう捉えた時に、FAQを作る本質的な理解が生まれ、実用性のあるFAQの作成ができるものと筆者は考えます。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。