クレーム対応の基本4ステップ コツや注意点も具体例を交えて紹介
クレーム対応と聞くと少しネガティブな気持ちになってしまいますよね。しかし実はクレーム対応こそ、事業改善やファン作りのきっかけとなるのです。次につなげるクレーム対応の方法と教育環境について、事業会社にて55名のコールスタッフとともに内製化に成功させた現場のプロがお教えします。
クレーム対応と聞くと少しネガティブな気持ちになってしまいますよね。しかし実はクレーム対応こそ、事業改善やファン作りのきっかけとなるのです。次につなげるクレーム対応の方法と教育環境について、事業会社にて55名のコールスタッフとともに内製化に成功させた現場のプロがお教えします。
目次
クレームが発生したときに時間をおいたり逃げ腰になり対応を怠ることで、より顧客の不安と不満は積もります。
当然顧客の心は離れその後の取引は消失しますし、過去の取引分についての返金や悪意ある口コミに繋がる可能性も。
クレームがきても落ち着いて、次の手順に沿って進めていきましょう。
クレームを受けたら、どんな場合であったとしても顧客を不安にさせてしまっていることには違いないので、しかと受け止め、謝罪をします。
例として「注文した商品が届かない」とクレームが入った場合で考えてみましょう。
「注文した商品が届かないんだけど」というこの顧客の第一声に対し、原因が分からない内は企業側にミスがあったのか、顧客の勘違いなのか、はたまた何かの事故なのかは不明です。
しかしまずは「さようでございましたか、ご迷惑をお掛けし誠に申し訳ございません」とこちらも第一声にて謝罪しましょう。
次に顧客の特定や状況確認を行います。確かな情報把握で二次トラブルを防ぐためにも、このステップは慎重に行いましょう。
状況確認では、何が起きたのか、いつ起きたのかなどを顧客にヒアリングするとともに、なぜそれが起きたのか要因を特定します。
ただ、その場ですぐに事実が把握できないこともあるでしょう。時間がかかる場合は、その場で顧客を待たせないように、折り返すようにします。
とくに「注文した商品が届かない」は、前述したようにさまざまな要因が考えられ、時間がかかりやすいケースです。
折り返しにするときは、必ず日時日程を決め、「事実確認が完了できていなかった(解決できていなかった)としても、必ずこの日に一度ご連絡させていただきます」と告げましょう。
「分かったら連絡します」では顧客はいつまで待ったら良いのか、また不安に思ってしまいますよね。
状況を把握したら、それに応じて適切な措置を取ります。
クレームの内容によって何をしたらいいのかは変わりますが、要因が企業側にあるのか顧客側にあるのかが、ひとつポイントになってくるででしょう。
もし企業側に要因がある場合は、謝罪しできれば特別な措置をとりましょう。
過剰なサービスを最初から提案する必要はありませんが、顧客の不満を一刻も早く解決できる提案をします。
「注文した商品が届かない」ケースであれば、本来なら配送に時間がかかるゆうメールの配送から、早く配送できてかつ時間指定も可能なゆうパケットに変更するなどです。
顧客側の勘違い、ミスだった場合は、その内容を丁寧に説明して、いつトラブルが解決されるのかを的確に伝えます。
また、例え顧客側の問題であったとしても、歩み寄る言葉を伝えるのが大切です。
顧客側の住所入力ミスで「注文した商品が届かない」のであれば、もう一度手配し、いつ頃届くのかの結論を提示するとともに、「ひき戻しまで時間がかかり、弊社側でも把握が遅かったため、ご心配をお掛けし申し訳ございませんでした」などの言葉で締めくくるといいでしょう。
どんなクレームに対しても必ず後日連絡をとり、フォローをいれましょう。
解決後にもお電話などをい入れ、状況をお伺いします。自社の大きなミスが事の始まりであれば、手書きのおわび状や品も必要です。
解決後にもアクションをこちらからとり、お伺いすること自体に意味があります。
”対応完了したら終わり、ではなく、きちんと顧客を大事にしてくれる会社だ”と受け取ってもらえ、その後の取引にも好影響を与えることができるからです。
実際にクレームとしてご意見を寄せてくださる方は良い顧客の方が多く、企業に期待をしてくれていたからこそ、残念な気持ちになってクレームをいれてきてくれているのです。
このアフターフォローによって絆が深まり、何年も商品を使ってもらえる、感謝を述べられる、指名でご連絡いただける…といった上顧客になることもあります。
「注文した商品が届かない」ケースなら商品が到着したころに、電話もしくはメールで「無事お受け取りいただけましたでしょうか?」と確認をいれるといいでしょう。
以上がクレームへの基本的な対応ですが、中にはそれだけでは難しいクレームもあります。
例えば、「自社に非が無いが激しいクレーム」「悪質なクレーム」です。次にこれらの対応方法についてご紹介します。
「ダイエット食品を注文したことが旦那にばれて怒られた!離婚の危機をどうにかしてくれ」
「クレジットカードがブラックリスト入りして使えない。でも絶対にこのカードで決済しろ!」
など、企業側では対応しきれない、無関係な部分で激しくクレームが入ることもあります。
この場合、次がポイントになります。
例えば実際にあったケースで見てみましょう。
「メルマガがなぜか届かない。必ず届くようにしろ」というクレーム兼ご要望です。
しかし届かない原因は、顧客自身のメールの設定により届かないようになっていたためでした。それでも「この設定のまま必ず届くようにしろ、それすらもなんとかしろ」とおっしゃいます。
このときは、まず今のままではメールが送れないことを謝罪し、どうしても対応が難しいことを、システム上の理由などを交えながら丁寧に説明しましょう。
次に、ご自身で設定できるようにやり方を案内する、操作をしてくれるショップを教える、など顧客自身で解決できる方法を伝えます。
この方法でも解決しない場合は、「特別な対応をとってほしい」という気持ちがある顧客である場合が多いです。実際によく利用してくれる上顧客だったりもします。
代替案として「メールではななく内容を郵送する」「顧客の知りたい情報についてお電話でお知らせする」など、要望の奥にどんな期待があるのかを聞きだし対応しましょう。
クレームをしてくる人の中には、
といった人がいます。
こうした人の場合、明確な要求がない傾向にあります。
要求が不明で「どう詫びるんだ!なんなんだお前らは!金で解決しようとするのか!」と、全ての対応に対し揚げ足とってくるような場合は、下記の手順を取るようにしましょう。
電話でのやり取りをしていた場合は「これ以上のご案内が必要であればご訪問いたします」と言えば止まることが多いです。
こういった方は「優位に立ちたい、社会的な優越感を味わいたい」を求めているだけのことが多く、自身が脅威を感じるようなリスクは避けたいからです。
ただ、悪質というより犯罪や良からぬことに繋がる可能性もありますので、実行はおすすめしません。あくまでも一例としてご理解ください。
クレームから学ぶことが多く、結果として自社の改善すべき点を指摘いただけたという場合は多いです。真摯に受け止め、再発防止・施策改善などに活かしましょう。
同じ顧客から連絡があった場合に、違うスタッフが対応したとしても状況をすぐ正確に把握できるように、共有の管理システムに記録を残しておきましょう。
いつ・なんと顧客が言っていたのかはもちろんのこと、自分がどのように何を伝えたかも忘れず記録します。
結果的に行った事務処理だけではなく、自社側がどのようにご案内したのかが後々重要なキーとなっていることもあるためです。
これは解決した後にまとめていれるのではなく、都度リアルタイムで残しておきます。
個人単位で気を付けることであれば教育マニュアル、個人への指導で構いません。
しかし企業単位で把握しておくべきことであれば、同様の問い合わせが月に何件あるのか「量」を確認したうえで課題としてあげます。
システム改修など解決に費用がかかるものであれば、費用対効果も加味したうえで対策を提案しましょう。
いつ何時クレームが来るか分かりませんから、誰でも対応できるようにしておきたいですよね。
ただ、それには特別な試験や研修が必要なのではなく、普段の環境づくりこそが大切だと筆者は考えます。
顧客を否定する文化ができていたらどうなるでしょうか?クレーム対応時に「わ、嫌な客にあたった」とスタッフ側に被害者意識が発生します。
良い関係を続けるための積極的な提案は生まれませんし、誠意のこもらない謝罪としてお客様に伝わり、さらに不満が増長してしまうでしょう。
これでは適切なクレーム対応はできません。
常日頃から下記の3点を習慣化させましょう。
クレーム対応において、一次対応が重要だという意識をスタッフ全員(新人や役職のない人も含む)に持ってもらうように伝えましょう。
エスカレーション(上司に対応を代わる、引き継ぐこと)になったとしても、引き継ぐまでの対応がその後の状況をも左右します。
そもそも難しいクレーム対応が来たからと言って、すぐにエスカレーションするような仕組みは避けたほうが無難です。
スタッフに対して「上に代わってもらえることはまずない」「自身で対応・解決するのが前提」だと伝えると、スタッフがこれは自分が受け止めるべきクレームだ、と当事者意識を持つようになります。
スタッフ一人ひとりが一次受けの段階でしっかり受け止められるようになれば、顧客からの信頼感が増し、クレーム対応自体も早々に着地することが増えるでしょう。
クレームは自社に期待をしてくれているからこそ発生するものです。だからこそ顧客も残念な気持ちになるのです。
顧客が体力と気持ちを消耗しながら訴えてきてくれているのがクレームです。まずは、それだけ期待してもらえたことに感謝しましょう。
ここを理解していればクレームは対応は誰にでもできます。むしろクレームをクレームとも思わない強靭なチームが完成するでしょう。
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