目次

  1. 案件管理とは
  2. 案件管理のポイント
    1. 情報を共有する
    2. 情報のデジタルデータ化と見える化
    3. 情報へのアクセシビリティ
  3. 案件管理はツールの利用がおすすめ
    1. ツール導入のメリット
    2. ツールの選び方
    3. 案件管理におすすめのツール3選
  4. 案件管理の技術向上で他社と差別化を

 案件管理とは、商談やプロジェクトなどの「案件」の情報を整理してまとめ、関係者で共有してナーチャリング(顧客育成)やプロジェクトマネジメントなどを行う仕組でありコンセプトです。

 Goo国語辞書によると、「案件」とは、次のように定義されています。

  1. 問題となっている事柄。審議しなければならない事柄
  2. 訴訟になっている箇条、訴訟事件

 一般的な意味では、案件とは、日常の仕事において取り組まなければならない事柄や、広い意味でのタスクと言っていいでしょう。

 ビジネスシーンであれば「商談」「顧客管理」「プロジェクト」といったものが主な「案件」として挙げられるでしょう。そうした案件を管理する仕組やコンセプトが「案件管理」です。

 案件管理は、行う必要があると言うよりも、何らかのビジネスを行っている人や組織であれば、何らかの形で必ず行っているものであると言うべきかもしれません。

 たとえ案件管理ツールなどを使っていなくても、人や組織は必ず案件を頭の中で管理しています。

 それをより効率的に、より効果的に行うために案件管理という仕組みやコンセプトを向上させようとしているのです。

 では、実際に案件管理を行う際のポイントは何でしょうか。以下に挙げます。

 第一のポイントは情報の共有です。

 営業現場などでありがちなのは、商談や顧客などの情報が、特定の営業担当に属人的に偏在してしまうことです。

 特定の営業担当に情報が偏在してしまうと、組織として案件管理をすることができなくなります。

 また、仮にその営業担当が退社した場合、商談や顧客などへの対応が非常に困難になります。

 よって、情報は可能な限り全員で共有する必要があります。

 第二のポイントは情報のデジタルデータ化と見える化です。

 いくら情報を共有できたとしても、紙などのアナログデータで共有されていたり、物理的に遠いところに保管されたりしては意味がありません。

 情報は、必ずデジタルデータ化されていて、見える化されている必要があります。

 第三のポイントは情報へのアクセシビリティです。

 情報がデジタルデータ化されて見える化されていても、アクセスが限定的だと意味がありません。

 幹部だけが情報へアクセスできる、社長だけが情報へアクセスできるなどといった状態では宝の持ち腐れです。

 情報へは、可能な限り関係者全員がアクセスできるようにする必要があります。

 上述の案件管理のポイントを満たすには、ツールの利用がおすすめです。

 案件の数が少ない場合は、エクセルやスプレッドシートなどに情報を入力し、関係者で共有するのも手ですが、案件の数が多い場合、特に複雑なプロジェクトを多数管理すると言った場合などは、案件管理専用のツールの利用が現実的です。

 以下に案件管理ツール導入のメリットを挙げます。

  • 情報共有が簡単にできる
    基本的にメッセージングやコメントといった機能があるため、情報共有が簡単。属人化を防ぎやすくなるので、チーム全体によるプロジェクトマネジメントが可能になる

  • 情報へのアクセシビリティが良い
    多くのツールはスマートフォンやタブレット端末なども使えるマルチデバイス対応。クラウドベースで提供されているものが多いので、いつでもどこでも情報へアクセス可能

  • 時系列で情報共有ができる
    ツールによってはガントチャートやカンバンなどが利用できるため、特にプロジェクトマネジメントの際に極めて有用

  • リマインダーやスケジュールなどの機能が利用できる
    リマインダーやスケジュールなどの機能があるため、タスクのやり逃しや見落としを防ぎ、確実な遂行をアシスト

 ツールの多くはスマートフォンなどのモバイル端末にも対応しているので、ユビキタスな利用が可能です。

 また、エクセルやスプレッドシートでの情報共有は、導入や運用が簡単というメリットがありますが、データを上書きしてしまったりするリスクがあったり、リマインダー機能などが付いていないので注意が必要です。

 現在、案件管理ツールは、多くの会社が開発・提供を行っています。その中から、自社の案件管理を効率よく行うためには、次のようなポイントをおさえながら選ぶことが大切です。

ツール導入の目的は何か明確にする

 第一のポイントは目的の明確化です。

 一口に案件管理ツールと言っても、エンジニア・プログラマー用プロジェクト管理用もあれば、デザイナーなどのクリエイティブワーカー用タスク管理用もあります。

 さらに、営業現場用では顧客管理用、商談管理用などもあります。

 そもそも何の案件管理のためにツールを導入するのか、明確にすることからスタートです。

操作性はどうか確認する

 第二のポイントは操作性の事前確認です。

 特にITリテラシーが低い人や組織の場合、操作が難しいツールだと利用が進まない可能性があります。

 また、営業マンなどモバイルでの利用が想定される場合、モバイル端末での操作性の良さがポイントになります。

 ツールの多くは無料トライアルなどが利用できますので、導入前に操作性を必ず確認してください。

必要な機能が備わっているかチェックする

 第三のポイントは機能です。タスク管理やリマインダー機能など、必要な機能が備わっているツールを選びましょう。

 もし、どの機能が必要なのかわからないという場合は、案件管理ツールを導入したときに何がしたいのか整理し、それを解決する機能は何か、といった視点から探すことをおすすめします。下表も参考にして下さい。

目的例 必要な機能
顧客・商談情報の共有 顧客データベース、CRM
社内コミュニケーション メッセージング、コメント
プロジェクトマネジメント ガントチャート、カンバン
各社員の仕事状況の把握・管理 タスク管理、リマインダー
マーケティング分析 営業レポート、商談分析

 同じ機能名でも、各社によってそれぞれ使い勝手が異なるので、可能であれば無料トライアルなどを利用してチェックして下さい。

 ここで筆者おすすめの案件管理ツール3選をご紹介します。

Semses

 マツリカが開発・提供している営業支援に特化した案件管理ツールです。営業チームの行動実績、商談情報、取引先情報などをすべて一元管理できます。

 案件はカード形式で確認でき、ステータスの変更などはドラッグアンドドロップで簡単に操作できます。

 スマートフォンやタブレット端末などでも操作可能なマルチデバイス対応で、営業現場で直接利用可能です。

 また、売上実績などのレポーティング機能も充実しています。

製品名 Senses(センシーズ)
開発元 マツリカ
目的・用途 営業支援
利用形態 クラウド
特徴

・案件はカード形式で直感的に管理、簡単で使いやすい
・外部情報を自動取得、取引先データを常時アップデート
・強力なレポーティング機能で商談をアシスト
・マルチデバイス対応で、ユビキタスな利用が可能
・Gmailとの連携が可能
・無料トライアルあり

おすすめの企業

・営業担当と案件数が多い企業
・取引先が多い企業
・営業力を強化したい企業

コスト

・Starter…月額2万5000円~(5ユーザーまで)
・Growth…月額10万円~(10ユーザーまで)
・Enterprise…月額30万円~(20ユーザーまで)

 Sensesの公式サイトはこちら。

Stock

 Stockが開発・運営している「情報ストックツール」です。

 「営業先との商談記録」「介護施設の入居者の介護記録」「システム会社の顧客情報」といった各種の「案件」を簡単にストックできる便利なツールです。

 操作も簡単で、スマートフォンやタブレットからも写真などの投稿ができます。

 データや情報であればほとんどストックできるので、広い用途で利用が可能です。

製品名 Stock(ストック)
開発元 Stock
目的・用途 商談支援、顧客情報管理など
利用形態 クラウド
特徴

・操作が簡単で、比較的スムースな運用が可能
・ノートに紐づいたメッセージのやりとりが可能
・情報へのアクセシビリティが非常に良い
・無料プランあり

おすすめの企業

・案件管理ツールを簡単に導入したい企業
・ITリテラシーが比較的低い企業
・共有すべき情報が多い企業

コスト

・ビジネス5…月額1980円(5ユーザーまで)
・ビジネス10…月額3480円(10ユーザーまで)
・ビジネス20…月額6480円(20ユーザーまで)
いずれも年間一括払いの料金。上記以外に、管理・セキュリティを強化したい企業向けのプラン(エンタープライズプラン)有

 Stockの公式サイトはこちら。

Asana

 アメリカのAsanaが開発・運営し、世界中で利用者を増やしている話題のタスク管理システムです。

 FacebookとGoogle出身の二人のエンジニアが発案、開発した、それぞれのユーザーのタスクやスケジューリングなどを視覚的に「見える化」してくれます。

 カンバンやリスト、タイムライン、ガントチャートなどが利用でき、使いやすいと評判です。

 また、カレンダーをGoogleカレンダーと同期させることができるので、Googleカレンダーのユーザーにも適しています。

製品名 Asana(アサナ)
開発元 Asana, Inc.(アメリカ)
目的・用途 タスク管理
利用形態 クラウド
特徴

・タスク管理のレイアウトを自由にデザインできる
・スマートフォンでも利用可能なマルチデバイス対応
・Sales Forceなど、外部のシステムとの連携が可能
・無料プランあり

おすすめの企業

・メンバー数が多いプロジェクトを展開している企業
・納期厳守が求められている企業
・Googleカレンダーを使っている社員が多い企業

コスト

・Premium…月額1200円/1ユーザー
・Business…月額2700円/1ユーザー
いずれも年間一括払いの料金

 Asanaの公式サイトはこちら。

 案件管理の究極の目的は他社との差別化です。

 「商談」の管理で他社からマーケティング上で優位に立ち、「顧客情報」の管理で顧客との関係性構築で優位に立ち、「タスク」の管理で販売上の優位に立つのです。

 それゆえ、案件管理をおろそかにしている企業は今後の競争に勝てなくなります。

 案件管理ツールを正しく導入して案件管理の技術を向上させ、ライバル企業と差別化して下さい。