【徹底比較】主要MAツール6選 選び方や導入後の注意点も解説
MAツールはマーケティング業務を自動化し、マーケティング活動の効率を向上させるツールです。現在、多くの種類がリリースされています。導入の必要性は感じても種類が多いため自社に適したものを選ぶのは大変だと感じるかもしれませんが、ポイントをおさえればベストに近いツールの導入ができるでしょう。
MAツールはマーケティング業務を自動化し、マーケティング活動の効率を向上させるツールです。現在、多くの種類がリリースされています。導入の必要性は感じても種類が多いため自社に適したものを選ぶのは大変だと感じるかもしれませんが、ポイントをおさえればベストに近いツールの導入ができるでしょう。
MA(Marketing Automation)ツールは、その名の通りマーケティング業務をオートメーション化(自動化)してくれるツールです。
企業規模が大きい、データ量が膨大、顧客数に対して営業社員が少ないなどが理由でマンパワーだけでは管理がなかなか行き届かない場合でも、MAツールを利用すれば新規顧客の獲得から育成、管理までを自動化させることができます。
また、顧客の行動見込みを評価し、スコアリングできるデータの精度をより向上させることができれば、顧客への提案によって部門売上をアップさせるような戦略を実施することも可能です。
MAツールには、具体的に次のようなメリットがあります。
しかし、各種のMAツールにはそれぞれ異なった特徴があり、それを利用する企業の業種・業態、抱えている課題などによって、適するものが変わります。
自社の業務にとって最適なツールを選んで導入するには、次のようなポイントを意識すればいいでしょう。
導入したいMAツールが「BtoB(対企業向け)」「BtoC(対個人向け)」どちらのタイプに対応した製品なのか、サポート内容なども含めて必ず確認するようにしてください。
大まかに言えば、「BtoB」は顧客が企業ですから顧客数が少ないのが特徴です。商品やサービスを購入する基準は「経済的利益」であり、価格やランニングコストにシビアなため、最初のアプローチから購入までの期間が長くなる傾向にあります。
「BtoC」は顧客が個人ですから顧客数が非常に多いです。購入する基準は「個人的な興味や関心」で、気に入れば価格やコストは二の次になることがあると言われており、購入までの時間が短いという特徴があります。
そのため、BtoBとBtoCでは、取るべきマーケティング戦略が変わります。
実際のところ、「BtoB」用ツールと「BtoC」用ツールでは、顧客数、マーケティングの目的、手法、リードへのアプローチ方法、意思決定へのプロセスなど、異なる部分が少なくありません。
なお、ベンダーが「BtoBにもBtoCにも対応しています」と言っていても得意、不得意はあるようですから、できればくわしく聞いてみてください。
MAツールが、自社で利用している「CRM(顧客情報管理)ツール」と連携が可能かどうかは、必ず確認したいチェックポイントです。
MAツールではリードへのアプローチを行いますが、その結果、見込客が顧客に変われば、今度は顧客満足度を高め、追加受注につながるようなアプローチができるCRMツールの出番です。
そのため、MAツールの見込客情報、CRMツールの顧客情報がシームレスに、一元的に管理できれば、企業が持つ情報資産全体の精度が上がります。
獲得したデータを戦略的に活用することで売上の向上、生産性の向上にもつながるでしょう。
今や、マーケティングは、LINE、Twitter、Instagram、FacebookといったSNS(Social Networking Service)抜きには考えられなくなっています。
SNS連携は今後、より盛んにはなっても衰えることはまずないと考えられますから、SNSとの連携ができるMAツールを選ぶことは、それが対個人の「BtoC」であれ、対企業の「BtoB」であれ、有利でしょう。
特殊な商品やサービスでSNSとの関係性が薄い、あるいはセキュリティ上の問題でSNS連携ができないような事情でもない限り、SNS連携の支援機能の有無は大きなポイントです。
MAツールは、高機能を売りにするものほど、運用するのにそれなりの専門知識を必要とするものや、運用の専任者を必要とする傾向があります。
たとえばCRMやSFAとの連携をとる必要があったり、コンテンツ作成を行うための専門人材を必要としたりします。
そうすると当然ながら、教育・研修費用や専任者の人件費など必要なコストがアップします。
ツールを選ぶ際は、機能の高さとそれに必要なコストが見合っているか、費用対効果のバランスを考えるようにしてください。
高機能なツールほど専門知識が必要で、使い方についてのサポートを受ける頻度も増えるものです。
運用専任者を置く余裕がなければ、サポート体制がどれだけ充実しているかは大きなチェックポイントです。
運用上のトラブル発生に対応できるように、ベンダーから自社の運用体制に合ったサポートを受けられるかどうか、必ず確認してください。
なお、MAツールには、利用料金にサポートが含まれている「サポート込み料金」のツールもあれば、利用料金とサポート料金が別々になっているツールもあります。
運用専任者がいるなど、自社内で問題を解決できる可能性が高ければ、サポートを利用する頻度は少なくなりますから、サポートがオプションで別料金になるツール、料金プランを選べばトータルの運用コストを低く抑えることができます。
逆に自社内で問題を解決できる可能性が低いようなら、利用料金が「サポート込み料金」で、サポートを何回でも利用できるようなツール、料金プランが適しています。
自社内で問題を解決できるかどうかと、利用料金、サポート料金をよく見比べて、ツールを選んでください。
では、ここで主要なMAツールを6つご紹介します。
MAJINは、日本語による直感的で使いやすいシンプルなインターフェースが特徴のMAツールです。
メールをはじめ、LINEやSMSなど、さまざまな配信チャネルが用意されています。
ツール名 | MAJIN |
---|---|
提供会社 | ジーニー |
特徴 |
・BtoB、BtoC両方に適している |
利用時の注意点 |
・最初の接触、名刺管理、商談管理から受注までの一貫した管理には、営業支援ツール「ちきゅう」との連携が必要 |
向いている会社 |
・MAツールを初めて導入する会社 |
料金 |
・初期費用 要問合せ |
公式サイトURL |
HubSpot Marketing Hubは世界90カ国以上の3万4000社を超える企業に導入されている、初期費用不要のMAツールです。
無料でも機能、メニューは豊富なので、試しに使ってみたい場合、ハードルが低くなっています。
ツール名 | HubSpot Marketing Hub™ |
---|---|
提供会社 | HubSpot, Inc. |
特徴 |
・BtoB向け |
利用時の注意点 |
・他のMAツールと比べると、使い慣れるまでに多少時間がかかる |
向いている会社 |
・最初はできるだけ多くのMAツールを試してみたい会社 |
料金 |
・初期費用 0円 |
公式サイトURL | https://www.hubspot.jp/products/marketing |
SATORIは純国産のMAツールで、導入実績は1000社を突破しています。
BtoBの新規顧客の獲得、リード(見込客)の育成については特に優れています。24時間365日、日本人スタッフが日本語で対応するサポートも売り物です。
ツール名 | SATORI |
---|---|
提供会社 | SATORI |
特徴 |
・BtoB向け |
利用時の注意点 |
・インサイドセールスの機能では見劣りするので別のツールが必要になることもある |
向いている会社 |
・導入、運用で高度なサポートを必要とする会社 |
料金 |
・初期費用 30万円 |
公式サイトURL | https://satori.marketing/ |
b→dashは、データマーケティングに必要な機能が揃った国産MAツールです。
イラストを用いたわかりやすい画面で簡単に操作でき、メール以外にWebやLINEなど多彩なチャネルで顧客にアプローチできます。
ツール名 | b→dash |
---|---|
提供会社 | データX |
特徴 |
・BtoB、BtoC両方に適している |
利用時の注意点 |
・本格導入すると操作するのにそれなりのトレーニングが必要になる |
向いている会社 |
・MAツールを一つと決めて、全面的に長期、そこに任せたい会社 |
料金 | 要問合せ |
公式サイトURL | https://bdash-marketing.com/ |
マルケトは、世界39か国以上、6000社を超える会社で導入されています。
顧客とのチャネルづくりを重視していて、Webパーソナライズ、メールの作成・配信、デジタル広告配信の機能に優れています。
ツール名 | マルケト |
---|---|
提供会社 | アドビ |
特徴 |
・BtoB向け |
利用時の注意点 |
・海外産なので日本語化が不十分な部分がある |
向いている会社 |
・大量のイベント記録、トラッキング、実行を処理したい、中堅規模以上の会社 |
料金 | 要問合せ |
公式URL | https://jp.marketo.com/ |
Salesforce Marketing Cloudは、クラウド型営業支援システムです。
ツール名 | Salesforce Marketing Cloud |
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提供会社 | セールスフォース・ドットコム |
特徴 |
・消費財のBtoCに向いている(同じベンダーの「Pardot」は比較的高価な商材やBtoB、商談型マーケティングに向く) |
利用時の注意点 |
・単体では情報の詳細な分析までできず、セールスフォースの別のツールを購入して利用する必要がある |
向いている会社 |
・小売業など顧客数が多いBtoCの会社 |
料金 |
初期費用 要問合せ |
公式URL | https://www.salesforce.com/jp/products/marketing-cloud/overview/ |
MAツールはマーケティング活動を効率化できるツールですが、導入しただけでただちに効果があらわれるような「魔法の道具」ではありません。
そもそもMAツールでは対応しきれない業務もありますし、計画的にステップを踏んで導入しないと効果があらわれにくいケースもあります。
担当者がMAツールに不慣れで使いこなせない場合もあるでしょう。
では、導入した後はどんな点に注意すべきでしょうか。
MAツールを導入したら、実際に運用する前に、顧客との個別のコミュニケーションを構築するためのコンテンツを作成しなければなりません。
具体的にはメールのデザイン、あいさつ文から配信のセグメント分け、配信のタイミング、フォローのやり方などです。微妙なニュアンスの違いも含めて、多種類のコンテンツを用意しておく必要もあります。
コンテンツを設計するときは、「マーケティングで何を実現したいのか」を明確にし、時間をかけて自社オリジナルのものを構築することが大切です。
見よう見まね、行き当たりばったりで行っても、顧客の心を掴むことはできません。
スコアリングとは、リード(見込客)の見込み度合いを数値で評価し、ランクづけを行うことです。
これはマーケティングの結果を左右するので、MAツールで最も重要な部分だと言ってもいいでしょう。
スコアリングは社内で蓄積したデータをもとに自らの手で設計する必要があります。
しかも最初のスコアリングの定義づけでミスをすると、MAツールから出てくる結果がみんな間違ったものになってしまいます。
それは営業活動にムダが生じ、成果があがらないだけでなく、全体の戦略が失敗して重大な損失を被る事態にも陥りかねません。
逆に、最初のスコアリングの定義がうまく決まると、見込客に見込み度の高いホットリードが生まれやすく、営業活動でも戦略面でも好結果につながります。
スコアリングでは、定義する前にノウハウとデータを蓄積しておく準備が重要で、準備が整えばMAツールをより効果的に運用できるようになります。
MAツールを利用するのは主にマーケティング部門ですが、売上向上のような恩恵を受けるのは営業部門、販売部門です。ですから社内各部門との連携は必須です。
もし、マーケティング部門と営業部門でリード(見込客)についての認識にズレがあったら、MAツール導入の効果をあげるのは難しくなります。
スコアリングの定義などMAツールの設計を行う前に、営業部門との連携を密にして、認識を共有しているかどうか、きちんと確認しなければなりません。
導入する前だけでなく、導入して運用を開始した後でも、必要に応じて部門間の連携調整を行うようにしましょう。
MAツールはマーケティング業務を自動化するツールです。
生産や物流のためのツールなら「リードタイムが10%高速化した」というように効果が短期間で目に見えることが多いのですが、マーケティングはもともと効果測定に時間がかかる業務ですから、ツールの導入効果は短期間では目に見えにくいものです。
たとえば「顧客リストを再活用して休眠顧客を発掘できた」とひとことで言っても、売上が上向くなど数値的な効果があらわれるまでに半年、1年かかるケースはザラにあります。1カ月や2カ月で効果を見きわめるのはなかなか難しいでしょう。
そのため、短期間で見切りをつけてツールをコロコロ乗り換えたりしないで、いったん導入したら長期的に運用し続けることが必要です。
ツールのベンダーでも「効果が出るまでに3カ月から半年かかります」とアナウンスしています。
MAツールの導入に成功すると、マーケティング業務で顧客のデータを管理して効果をあげるだけでなく、売上の向上など企業戦略上、重要な行動にも寄与することができます。
多くの種類があるので、導入する目的を明確にして、BtoB・BtoCのどちらに適しているか、サポートはどうかなど、自社、自部門に最適なツールを選択してください。
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